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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-09-02/2008090204_01_0.html
2008年9月2日(火)「しんぶん赤旗」
テロは外交解決が最良
98年報復攻撃検証
米の解禁文書指摘
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このほど解禁された米エネルギー省の一九九九年の内部報告が、国際テロ組織アルカイダに対する米軍による前年の報復攻撃について、新たなテロ攻撃を招く可能性があり、テロ問題への対処には「国際外交が最も効果的な手段だ」と指摘していたことが分かりました。同報告は、米民間研究団体のナショナル・セキュリティー・アーカイブが八月二十日に公開しました。
九八年八月七日にケニアとタンザニアの米大使館が爆破された事件に対し、米国はアルカイダによると断定して同月二十日、アフガニスタンとスーダンの「関連施設」を数百発の巡航ミサイルで報復爆撃しました。その影響やテロ対策について、サンディア国立研究所(エネルギー省所属)のゲアリー・リクター博士がまとめたのが、今回の報告「ウサマ・ビンラディン―事例研究」です。
報告は、軍事的選択肢を含むテロ対策を検討。「イスラム過激派の脅威の根本原因は、個人や集団の扇動ではなく、イスラム世界の多くに広がる根深い不満にある」のだから、「外交的選択肢が最も広範・有効に長期的に脅威を削減する」と提言しています。
二〇〇一年の9・11対米同時テロの七周年を前に福田政権は、テロ問題への軍事的対応ばかりを強調し、新テロ特措法の延長をめざしていますが、当の米国の政府部内で9・11に先立ってテロ問題の外交解決の有効性が主張されていたことが判明したのは重要です。
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解説
報復攻撃は「損失」
テロ問題への対処には「国際外交が最も効果的な手段だ」とする米サンディア国立研究所(カリフォルニア州)の一九九九年の内部報告は、一般報道など公開情報をもとに、国際テロ組織アルカイダの実態、九八年のテロ攻撃と米軍による報復攻撃を検討し、テロ対策はどうあるべきかを提言しています。
報告は、米軍による報復攻撃について、「法的に疑問がある(特に国際法の下で)」「同盟国との関係を傷つけた」などの「損失」があると指摘しています。
さらに、「攻撃が、一握りのミサイルを使っただけの象徴的なものでなく、(ミサイル数百発を使う)あまりに圧倒的なものだったため、より大規模な報復をするようテロリストに促すことによって、今後の暴力のレベルをエスカレートさせるかもしれない」と述べています。
同報告を明らかにした米民間研究団体のナショナル・セキュリティー・アーカイブは、関連するその他の解禁文書も同時に公開。「米軍の報復攻撃は、アルカイダと(アフガニスタンを支配していた)タリバンを政治的、イデオロギー的にいっそう結束させることになったかもしれない」と指摘しています。その三年後の二〇〇一年には、9・11対米同時テロが起こりました。
日本共産党は九八年の米軍の攻撃直後、それを「きびしく糾弾」する志位和夫書記局長(当時)の談話を発表しました。談話は、「テロリズムの根絶につながらないだけでなく、むしろ事態をいっそう悪化」させうるとの国連事務総長らの懸念も紹介。攻撃を「それ自体が国際社会に無法を持ち込むテロ行為」だと批判しました。
福田康夫首相は「九月十一日もやってくる。原点はそこにある」(八月二十一日)と表明。いまだに米国による報復戦争を正当化する立場に固執して、インド洋への自衛隊派兵のための新テロ特措法延長をめざしています。こんな当事者能力を欠いた“思考停止”状態で無法な戦争に日本を加担させる無責任な政治を続けさせていいのか。改めて問われています。
サンディア国立研究所はニューメキシコ州にもあり、核兵器のエンジニアリングや非核構成部分の研究開発などを担当しています。カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所やニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所などとならぶ、米国の主要核兵器開発機関の一つです。(坂口明)
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