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2008-08-29 20:17:04 ■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1777 2008/08/29金■■ ▼前号を書きながら、どうもひっかかることがあった。3つあった。 1=なぜ、殺されたのか。誘拐後、現地の人たち1000人が捜索に協力したのである。それほど信頼厚いペシャワール会のメンバーが、なぜ、という疑問だ。 2=なぜ、「解放」から「死亡」へと変わったのか。誤報を精査する余裕はなかったのか。外務省の情報収集能力が致命的なまでに低下しているのはなぜなのか。 3=なぜ、中村さんからの死亡確認の連絡(午後1時半)より大幅に外務省の発表が遅れたのか。 ▼このうちの一つが解けた。朝日新聞8月29日付1面に、 「また中村氏はペシャワール会の現地事務所に06年から日本人を拉致するとの脅迫があったことを明らかにした」(*gataro註:「我々が撃った」伊藤さん殺害、24歳容疑者認める―朝日新聞) との記事が載っていたからだ。社会面には 「一昨年から活動に対して脅迫めいたものも続き、日本大使館からは極力用心するように言われていたという。『昨年が一番多かった。日本人を拉致する計画があるとの内容だった。荒唐無稽な内容で、韓国人の拉致事件を模倣したいたずらだと考えていた』」 ▼現地の人々に受け容れられているペシャワール会、恩を仇で返すことはしないアフガン人、タリバン、しかし、信頼されているはずのペシャワール会のメンバーが殺された。 三軒茶屋の教会で行われた中村哲の講演を聞きに行ったとき、ペシャワール会の努力によって広大な荒れ地が見事な緑に変わった様子を映したスライド写真を観た。あのときの感動は忘れられない。 しかし、ならば逆に、近くに住んでいながらあの復興の恩恵を受けられない人々がいた場合、彼等が感じるやるせなさ、憎しみもまた、大きいのではないか。あくまでも、推測だけれども。 とにかく、誘拐・殺害に繋がる、何かしらの前兆があったのではないか。事実、今年になってペシャワール会は現地から日本人を帰し始めていた。「以前は日本人なら大丈夫だったが、4月ごろから対日感情も急速に悪化していた。伊藤くんをとどめた私が悪い」と中村哲も語っている。 と、考え倦ねていたところに、如上の朝日の記事を読んだわけだ。ペシャワール会は、以前から、ニッポン人を誘拐するぞとの脅迫を何度も受けていたのだ。この事実によって、今回の事件の意味、価値はまるで変わった。 そして、それだけではない、まだどこでも報道されていないようだが、ペシャワール会に対しては、【誘拐予告】だけではなく、【誘拐未遂】も数回あった。【銃撃】すら、あったようだ。 もしそうなら、現地での判断は、ニッポン人を帰国させ始めた動きは正しかったものの、その動きが鈍かったということになり、ペシャワール会は、急激な対日感情の悪化に対して、不注意、無神経だったと言わざるを得ない。まさに、「われわれの治安悪化に対する認識が甘かった」(中村)のである。 確かに信頼はされていた。ぼくが見聞きする範囲で、あれ以上の努力は、ちょっとやりようもないだろう。だからといって、全員から信頼されていたわけではなかった。そんなことは、ありえない。しかし、信頼されていると、思いたかったのかも知れない。それだけの積み重ねが、あったのだから。 大使館が既に注意していたということは、大使館も誘拐未遂の発生や銃撃について知っていた可能性がある。 これを読んで、ペシャワール会周辺を追いかけ始める人がいるかも知れないが、ぼくが最も恐れる事態は、ペシャワール会の過失が公になることによって、「だから草の根には限界があるのダ」という、木村太郎式の短絡や、「だから民間だけではダメなのダ、自衛隊が乗り込まなくてはいけないのダ」「だから憲法9条はダメなのダ」などという、いつものアホ言論の過熱であり、恥知らずな個人攻撃である。 ぼくは、「なんでだよ!」という怒りとともに、ペシャワール会の良心の発露を待ちたいと思う。 根っこは、両方とも「官僚の保身」「官僚の無能」という同じ根かも知れないし、実質的には一つの疑問なのだが、とくに、「解放」から「死亡」という誤報は、酷(むご)すぎる。一事が万事、ここにニッポンの外交戦に欠けている何かが象徴されているような気もする。 伊藤さんが誘拐されたのは26日の朝だったが、特に注視すべきは、アフガン・ジャララバード市の新聞のインターネット版には、【死亡記事が、既に26日の14時25分には掲載されていた】という事実だ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Taliban say kidnapped Japanese NGO worker killed JALALABAD (PAN): Taliban say a Japanese non-governmental organisation (NGO) worker they kidnapped earlier in the day has been killed in an encounter between his captors and police in the eastern Nangarhar province. The victim from Shizuoka Prefecture, working for Peshawar-kai, was snatched along with his Afghan driver from Badyali village of Khewa district in the eastern Nangarhar province early Tuesday, officials said. A Taliban spokesman, speaking to Pajhwok Afghan News over the telephone from an undisclosed location, claimed the hostages were killed during a clash between security personnel and the kidnappers. Detailed story to follow mud −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ▼この記事は、タリバン幹部に電話取材したもので、18時前には追加が更新されている。しかし、時事通信は同日20時46分に以下の記事を配信している。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 伊藤さん解放と連絡=外務省 外務省幹部は26日夜、アフガニスタン当局から現地の日本大使館に、武装グループに拉致された 伊藤和也さんが解放されたとの連絡があったことを明らかにした。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ▼アフガンやパキスタンの日本大使館関係者は、この26日にいったい何をやっていたのだろうか。休暇で留守だったとか。飲んだくれていたとか。まさか、ね。 しかし、なぜ『解放』から『死亡』へ、という最悪の誤報が流れてしまったのか。謎だ。当事者に緊張感がなかったとしか思えない。 当局から外務省へ「解放された」という情報が入ったところまではわかる。そういうこともあるだろう。現地では、何百人もテロで殺されているのだから、混乱することもあるだろう。 しかし、外務省が自国民に対して公表する段は、違う。「チェック、ダブルチェック」(by「クライマーズ・ハイ」)が、基本中の基本じゃないか。 かたや、死亡の記事が配信されていて、【その後に】解放の記事が配信される。いったい何をやっていたのかと、疑問に思わない方がおかしいだろう。 情報をキャッチしたものの、その情報の意味がわからなかったとか、ダブルチェックしたつもりがチェックになっていなかったとか、どこかの部局が「本当の情報」をキャッチしたにもかかわらず、なんらかの事情で、そのまま意図的に放っておいたとか、いろいろな情況が推測できるが、根本の一事は、「そこに『保身』は無かったのか」という点である。単純なミスではなく、ぼくはそこに保身が働いたのではないかと直感する。佐藤優の読み過ぎかな? 真相はマスメディアに接していてもわからない。この事件は、後味が悪い。また夏バテで寝込みそうである。
http://www.melma.com/backnumber_163088_4208903/ から転載。
【 PUBLICITY 】 1777 :3つの疑問〜アフガン邦人殺害
▼前号は、「マスメディアとのつきあい方」に的を絞って書いた。今号は、「マスメディアに載らない情報の流通」について少し書いておきたい。
何かが疑わしい。
▼そして、それよりもマスメディア関係者には、上記の2・3の疑問を追いかけてほしい。
http://www.pajhwak.com/
Moeed Hashmi - Aug 26, 2008 - 14:25
8月26日20時46分配信 時事通信
しばらくしてこの「解放」情報は誤報だったとわかり、結局、殺されていた、という最悪の結末を迎える。この外務省幹部たちに対して、ぼくは殆ど驚きにも似た怒りを持つ。
freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html