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http://www.news.janjan.jp/world/0808/0808265540/1.php
アフガニスタンで軍事的勝利を収めることは不可能（WAM）
ＩＰＳJapan2008/08/27
アフガニスタンで、タリバンがかつての勢力を確実に取り戻しつつある。米国と同盟国はそれにもかかわらず「アフガニスタンでの軍事的勝利は可能」との見解を変えていない。米国の唯一の選択肢はタリバンや他の部族勢力を周辺諸国と共に議論の場に着かせることだ。アフガンでは誰も軍事的勝利を収めることはできない。
【アブダビWAM＝８月６日】
アラブ首長国連邦(UAE)英字日刊紙は、タリバンがかつての勢力を確実に取り戻しつつあるにもかかわらず、米国とその同盟国がアフガニスタンでの勝利を主張している点について論評した。
シャルジャに本拠を置く『ガルフ・トゥデイ』紙は６日付の社説で次のように論じた。「タリバンは復活を遂げ、着実にその勢力を拡大しているなか、米国とその同盟国は相変わらず『アフガニスタンでの軍事的勝利は可能である』との見解をしている。新たな軍事戦略としてタリバン側は、パキスタンから流れるNATO軍の補給ラインを切断し、パキスタン国境からカブールへの侵攻ルートを確保しようとしている。いずれにせよ、これはそれほど容易な戦略ではない。しかし、今のところタリバンには、米国とその同盟国によるアフガンでの目的達成を阻止し彼らを予断の許さぬ困難な状況に追い込むことのできる能力は十分にある」
「米国とその同盟国はアフガン戦争での確実な敗北を認め戦いに終止符を打とうとせず、現在もパキスタン国境沿いの部族地域を含めテロとの戦いを拡大するつもりのようだ。そうなれば、かつて（戦争の長期化により）米国の形勢が硬化するなか周辺のラオスやカンボジアまで巻き込むことになった『ベトナム戦争の二の舞』になる危険性が出てくるだろう」
「ブッシュ政権の当面の課題は、９・１１同時多発テロ後の２００１年にアフガン侵攻を開始した『任務』を終えることである。そうなれば、米国は親米カルザイ政権と共にカブールを完全に掌握し、アフガニスタンを介した中央アジアの新たな貿易ルートを確保できるはずだ」
「しかしこの可能性は極めて低い。アフガニスタン侵攻から７年が経っても、米国主導の連合軍はアフガニスタンを上手くコントロールできる段階にも達していない。むしろ、米国はアフガニスタン各地で何とかして手に入れた全ての支配力を徐々に失い始めているのだ」
「国連の予測ではアフガニスタン全土のうち３分の１が侵入不可能で、国土のほぼ半分が極めて危険な状況にあるという。各地の戦闘は２００７年に比べて５０％以上も増加している」
「米軍によるタリバン掃討作戦での一般市民の犠牲者数も昨年から徐々に増加し、市民の間には連合軍や政府軍への敵意が確実に広まっている」
「米国がアフガニスタンに侵攻した２００１年、実効支配していたタリバンは強硬的思想を国民に無理やり押し付けたことで、多くのアフガン国民から見放された。従って、米軍がタリバンを政権から引きずり下ろすことは比較的容易であった。しかし、その後の治安状況に一向に好転の兆しが見えないことや一般市民の犠牲者の拡大により、米国とその同盟国はアフガニスタンで一層不利な状況に置かれた」
「２００７年にカナダ人のあるグループが行った世論調査がある。（アフガニスタンのような国では実際このような世論調査はあまり行われないため検証する価値は十分にある）。方法論から判断してもこの調査はかなり正確であるようだ」
「同調査によると、７４％がタリバンとの話し合いを求め、５４％が（強硬的姿勢には反対しながらも）タリバンを含めた連立政権を支持すると答えた。また、半数を超える５２％が今後３年から５年の間に連合軍がアフガニスタンから出て行くことを望むと答えた。アフガン国民は混沌とした状況下での連合軍の早期撤退はかえって危険であると理解しているが、一方で戦争の長期化も頑なに拒否しているのである」
「『アフガンでは誰も軍事的勝利を収めることはできない』、アフガニスタンの壁に書かれたこの文章は国民の意思を明確に示している。唯一の選択肢はタリバンや他の部族勢力を（パキスタン、イラン、インド、ロシア、トルクメニスタン、タジキスタン、中国など）周辺諸国と共に議論の場に着かせることである。これによって、米国がアフガニスタンでの目的を達成する機会を与えないようにする『妥協案』を引き出すことができる。撤退後の混乱を未然に防ぐことができるよう、計画的に米軍と連合軍がアフガニスタンから引き上げることが残された唯一の道である」と同紙は締めくくった。（原文へ）
翻訳＝松本宏美（Diplomatt）／ IPS Japan 武原真一
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