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勝ち負けに固執するのは軍隊(愛国的?愚民)
負けなくても儲けられない なら、さっさと負けて利をとるのが帝国主義
(そもそも そういうことを はじめないのが 小国主義)
終わらせることができないのが軍国主義
米帝?はほんとに負けられますかね。
延々と続くイラク近現代史(帝国経営モデル例)の復習部分は省略
田中宇の国際ニュース解説 2008年7月31日 http://tanakanews.com/
▼イスラム主義を扇動し第2冷戦を画策
シャーは米英の傀儡だったはずなのに、なぜ米当局はシャーを追い出してイ
スラム主義者に政権を渡し、しかもその後、大使館占拠事件の後始末でイスラ
ム主義者の反米感情を煽り、米自らがイランから追い出される展開を作ったのか。
それを考えるヒントになりそうなことをシャーが言っている。シャーは革命
前にイラクに側近を派遣し、当時ホメイニをナジャフに亡命させていたイラク
政府(バース党政権)に対し、ホメイニを匿うとしっぺ返しを受けると警告し
た。シャー側近はイラク政府に「米は、中東諸国の政治体制をイスラム主義に
転換させようとしている。CIAは今、ホメイニを使ってイランの政権転覆を
狙っているが、それが成功したら、米は次はイラクで、バース党政権を転覆し、
イスラム主義(シーア派)の政権に変えようとするだろう」と警告した。
http://islamicweb.com/beliefs/cults/iranian_revolution.htm
イラク政府はホメイニへの警戒を強め、ホメイニは78年、米当局が接触し
やすいパリに移動した。イラン革命から半年後の79年7月、イラクでは副大
統領だったサダム・フセインがクーデターを起こし、穏健派を追い出して大統
領となり、外からの政権転覆策に対応できる独裁体制を強化した。
シャーの警告は、示唆に富んでいる。米は、中東全域をイスラム主義に転換
させる一環として、イランの政権をイスラム主義に転換させたことになる。シ
ーア派のイラン革命から9カ月後の79年11月には、サウジアラビアの聖地
メッカの大モスクで、スンニ派イスラム過激派による襲撃事件が起き、サウジ
のイスラム主義勢力が王室に対する不満を強めていることが発露された。メッ
カでの襲撃事件に米当局が関与しているかどうかは全く不明だが、79年以降、
中東全域で反米的なイスラム主義が強まったことは確かだ。
軍産複合体を中心とする米当局が、中東で反米的なイスラム主義勢力を台頭
することを扇動ないし歓迎したとしたら、その理由はおそらく、イスラム世界
と欧米イスラエルが長期対立する「第2冷戦」の枠組みを作りたかったからだ
ろう。当時、東西陣営間の冷戦は終わりつつあった。70年代初期の米ニクソ
ン政権が、金ドル交換停止によって西側陣営の経済基盤だったドル本位制を自
滅させるとともに、中国訪問や米ソ対話を行って冷戦終結への方向性を作り、
これは78年の米中国交正常化、89年の米ソ冷戦終結宣言へとつながった。
軍産複合体には、長期的・世界的に敵対できる新たな敵勢力が必要だった。
ケネディ・ジョンソン・ニクソンの3代の政権によるベトナム戦争の自滅的
な惨敗の影響で、米政界では軍産複合体に対する支持が減った。同時期には米
の財政難悪化で、米から財政支援を受けていた英の財政も破綻に瀕し、英は
1967年に海外(スエズ運河以東)の軍事基地を全廃するなど、支配力が激
減した。このような軍産英複合体の弱体化の中で、かつて国連を作った米の拡
大均衡派(多極主義勢力)が盛り返し、冷戦終結の方向に事態を動かした。
苦境にあった軍産複合体を救ったのが、衰退する英の跡継ぎのように70年
代から米政界に食い込み出したイスラエル(シオニスト右派)で、彼らが考え
たのが、欧米イスラエルがイスラム世界と長期対立する第2冷戦(今の呼び名
はテロ戦争)の構造だった。その構造を作り出すための一策が、79年のイス
ラム革命であり、80年代のレバノン戦争(シーア派ヒズボラの勃興)であり、
90年代のオサマ・ビンラディンらによる活動だったと考えられる。ホメイニ
がCIAとつながっていたのと同様、ビンラディンもCIAとのつながりがた
びたび指摘された。正確には「CIAのふりをしたモサド(イスラエル諜報機
関)」と言うべきかもしれない。
90年代には、冷戦終結に加え、英が軍産複合体を見捨てて金融面で米と結
託する新戦略に転じたことにより、一時的にイスラム対欧米の第2冷戦構造の
強化は止まったが、90年代後半の「文明の衝突」のキーワード発布あたりか
ら再びイスラム対欧米の構図が取り沙汰され、911事件とともに、テロ戦争
として劇的に復活した。
▼25年遅れてイラクのイスラム主義化
シャーの警告が示唆するもう一つの点は、イラクでのシーア派のイスラム主
義の勃興が、イスラム革命から25年遅れて、2003年に米軍がイラクを占
領した後、サドル師らの反米ゲリラとして立ち上がっていることとの関係だ。
米軍は、サドルを執拗に名指し非難し続けて反米の英雄に仕立てるなど、もと
もとバラバラだったイラクのシーア派イスラム主義勢力を結束強化する策を講
じている。
http://www.tanakanews.com/070529mideast.htm
同時に米軍は、監獄でのイラク人虐待の写真を意図的にマスコミに流すなど、
イスラム社会の反米感情を意図的に強めた観がある。今後、米軍が撤退した後
のイラクは、サドルらが権力を握るイスラム主義の国になり、同じくシーア派
イスラム主義のイランと連携し、世界の石油埋蔵量の4分の1を抑える大国に
なるだろう。軍産複合体による第2冷戦の敵方としては、十分に強い存在とい
える。
http://tanakanews.com/d0811iraq.htm
そう考えると、イスラム対欧米の第2冷戦(テロ戦争)の構図が、今後何十
年も続くという予測が出てくる。しかし、実際の国際政治は複雑だ。米政界の
上層部は一枚岩ではない。米中枢には、軍産複合体の味方のふりをして、テロ
戦争やイラク戦争をやりすぎることで、米英イスラエルの側を自滅的に弱め、
同時にイスラム世界をロシアや中国などと結束させ、第2冷戦を欧米側の負け
にして、世界を多極化してしまおうとする「隠れ多極主義」(拡大均衡派)の
勢力が存在している。
軍産複合体と、隠れ多極主義者のどちらが最終的に勝つのか、もしくは戦後
60年、彼らの間での暗闘が延々と続いてきたように、今後も決着のつかない
暗闘が何十年も続くのか。米共和党(軍産複合体系)のシンクタンク「ランド
研究所」は最近「テロ戦争は、もう終わりにした方が良い」「テロ防止は、軍
事戦略としてではなく、犯罪捜査として行った方が良い」とする報告書(主張)
を発表した。
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2008/07/30/2003418901
テロを戦争ではなく犯罪捜査で解決するのは、地下鉄サリン事件を犯罪捜査
によって解決した日本での展開を見れば、当然の常識であると簡単にわかる。
だが米では、その常識がランド研の報告書になるまでに7年を費やした。報告
書が今ごろ出てきた意味は「テロ戦争に名を借りた軍産複合体の戦略は、マイ
ナス面が大きすぎるので、もう終わりだ」ということである。
▼ブレジンスキーも隠れ多極主義者
911後、チェイニー副大統領やネオコンの中に、隠れ多極主義の勢力がい
ると考えられるが、ほかには、民主党オバマ候補の外交顧問になったブレジン
スキーも、隠れ多極主義者と疑われる。イラン革命当時、カーター大統領の安
全保障担当補佐官だったブレジンスキーは、革命後の80年7月、イラクを訪
問してフセイン大統領と面会した。その2カ月後、フセインはイランに侵攻し、
8年におよぶイラン・イラク戦争が展開された。
http://islamicweb.com/beliefs/cults/iranian_revolution.htm
イランでは革命後、シャー派や親米派が多くいた国軍幹部に対する大粛清を
ホメイニが挙行した。ホメイニは国軍の代わりに、革命派を集めて新たな軍と
して「革命防衛隊」作ったが、新軍はろくな訓練も受けておらず、イランの軍
事力は劇的に弱くなった。イラクのフセインはそれを見て、長年の国境紛争の
地帯を一気に分捕るには今が好機だと考え、イランに侵攻したと考えられる。
そして、そこに米カーター政権を代表してゴーサインを出したのがブレジンス
キーだった。
イラン・イラク戦争が8年も続いたため、イランのイスラム革命がイラクに
伝播してイラクにイスラム政権ができることは防がれ、中東諸国にイスラム主
義が拡大することは阻止された。ブレジンスキーはフセインにイラン侵攻をそ
そのかすことで、イスラム対欧米の第2冷戦の状態が形成されることを防いだ
と言える。
ブレジンスキーは同時期に、CIAなどを動かし、79年末からソ連軍が占
領したアフガニスタンで、イスラム主義勢力を統合してソ連との「聖戦」を開
始する戦略を進めたが、これも「反冷戦」的な動きである。米が冷戦を長期化
するには、当時すでに経済難が続いていたソ連の国力を、これ以上弱めないよ
うにする必要があったが、ブレジンスキーはイスラム主義勢力をけしかけてソ
連をアフガンでゲリラ戦の泥沼に陥れ、本気でソ連潰しをやってしまった。ソ
連はアフガン占領で疲弊し、10年後にはアフガンから無事に撤退するために
米の協力を得ることを決め、ゴルバチョフとレーガンの劇的な和解・冷戦終結
となった。
ブレジンスキーがオバマ候補の外交顧問になっているということは、オバマ
が大統領になったら、テロ戦争やイラク戦争に負ける演出が行われ、第2冷戦
の構造が崩壊し、欧米中心の世界体制を多極型の拡大再均衡に転換する流れに
なるかもれしない。共和党のマケイン候補の外交顧問はネオコン勢であり、ネ
オコンも隠れ多極主義者だと疑われるから、今年11月の米大統領選挙でどち
らが勝っても、来年からの米次期政権は、第2冷戦構造を壊して世界を多極型
に持っていくことになりそうだ。
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