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オバマ候補と親イスラエル団体の危険な関係(TUP)
http://www.asyura2.com/08/wara3/msg/228.html
投稿者 近藤勇 日時 2008 年 6 月 24 日 22:03:03: 4YWyPg6pohsqI
 

オバマ候補と親イスラエル団体の危険な関係
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/795

オバマよ、おまえもか

TUPエッセイ
パンタ笛吹 著

2008年6月11日


わたしはオバマが好きだ。

忘れもしない。あれは2004年、民主党党大会でのバラク・オバマ上
院議員の演説だ。

「ここには黒い米国もない。白い米国もない。アジア系の米国もない。
中南米系の米国もない。あるのはアメリカ合衆国だけだ」と高らかに詠
いあげたその感動的なスピーチに、「おおっ、ついに米政界にミック・
ジャガーが現れた!」と驚いた。あのとき、ジョン・ケリーではなくて
オバマが大統領候補だったら、この国はどんなに良くなるだろうと考え
たものだ。

わたしの住んでいるコロラド州ボルダー市もまた、オバマファンの多い
町だ。6月3日の夜、民主党大統領候補指名が確定したのを受けて、オ
バマが勝利宣言を行った。わたしはその演説をボルダーのスポーツバー
で友人とビールを飲みながら聴いていた。ほぼ満席の客たちは、テレビ
の大画面に映るオバマが「決め台詞」を言うたびに、拍手とやんやの大
歓声。まるでフットボール試合で地元チームがタッチダウンをしたとき
のような盛り上がりようだった。

テレビに映る会場内は、まるでロックコンサート。ミネソタ州セント
ポールにある2万人収容の大ホールは超満員で、入りきれなかった支持
者がホールの外に1万人以上いたという。人びとは「わたしたちは変革
を信じている」と書かれたプラカードを掲げ、ケネディー元大統領以来
のカリスマと呼ばれるオバマの一言一言に熱狂的な声援を送っていた。

翌朝、興奮はまだ覚めやらず。新聞はもちろん一面トップに、「オバマ
氏、歴史的な激戦に決着」との大見出し。2大政党では史上初の黒人大
統領候補の誕生を、まるで祝うようなタッチで報じた。わたしはその朝、
指圧を受けたのだが、行きつけのマッサージ師は背中や足を揉む間、前
夜のオバマの演説がどんなにすばらしかったかを、ひっきりなしにしゃ
べりまくった。代金を払うときにも、「オバマがこの国を救ってくれる
と信じてるわ」と、選挙権を持たないわたしに駄目押しをした。

ところがその夜、まるで断崖から突き落とされるような失望を味わった。

6月4日、首都ワシントンで、米政界に大きな影響力を持つ親イスラエ
ルのロビー団体「米イスラエル公共政策委員会」(AIPAC)の年次総会
が開かれた。米国中から7000人ものユダヤ人有力者が集まった【1】。
また、次の選挙で AIPAC から支援してもらおうと、会場には約300
人の米議員もかけつけた。

それだけでも盛大な政治集会だが、この AIPAC 総会の大目玉は、大統
領予備選を争ってきたマケイン、ヒラリー、オバマの三人がそろい踏み
で演説するという豪華なメインイベントだ。ビーチボーイズの替え歌で
「♪イランをボンボン爆撃しろ」と歌ったマケイン共和党大統領候補や、
「イスラエルを攻撃したら、イランを完全に抹消するわ」と語ったヒラ
リー・クリントン上院議員は、もともとイスラエルよりのスタンスで、
AIPAC から多額の政治献金を受け取っているから、総会への参加は理解
できる。

しかし、イスラエル・ロビーの反感を買ってまで、イラク戦争に一貫し
て反対してきたオバマがなぜ? 企業やロビーからの巨額献金だけに頼
らず【2】、民衆による草の根的な小口献金で記録的な金額を集めたオ
バマがどうしてまた? それもミネソタ州で歴史的勝利宣言をした翌日、
首都ワシントンにとんぼ返りまでして? 当然のことながら、わたしは
オバマが中東和平への画期的なヴィジョンを、AIPAC 総会から世界に向
けて発信するものだろうと期待した。

AIPAC 総会でのオバマのスピーチは、語り口といい抑揚といい、人を惹
き付けずにはおかない雄弁さに溢れていた【3】。ところがオバマの発
する名調子に、途中から「あれっ? そっそんなあ?」と落胆するほど
の発言が混じり始めた。しまいには言いようのない怒りさえ覚えてし
まった。

いくらイスラエル・ロビーのご機嫌をとるためとはいえ、「わたしはイ
スラエルの真の友人だ。イスラエルと米国の絆は断ち切ることができな
いものであり、一心同体だ」と強調するオバマは、あまりにもリップ
サービスが過ぎた。大統領に選ばれるためになら、なりふりかまわずへ
つらえばいい、というものでもないだろう。

たとえば、ガザから発射された貧弱なパイプ爆弾で家を壊されたイスラ
エル人を引き合いに出し「何としてでもパレスチナ人の暴力を止めさせ、
イスラエル人の安全を守らなければならない」と強調した。だが、イス
ラエル軍がパレスチナ人難民キャンプの人口密集地帯に、戦闘機やヘリ
コプターでロケット弾を落として多数の市民を殺したり、コンクリート
の分離壁で町を囲ってガザを青空監獄にしていることなど一言も触れな
かった。

2007年の統計によると、紛争でイスラエル人が1人殺されるたびに、
パレスチナ人が40人殺されている割合になっている【4】。イスラエ
ル人の命の重さが、パレスチナ人の40倍尊いわけでもあるまいし。オ
バマはまた、国連参加国の多くがイスラエル非難決議に賛成しているこ
とも、イスラエル人が違法に入植地を広げ続けていることも、都合の悪
い事実は一切語らなかった。これではイスラエルがパレスチナ人に行っ
ているさまざまな虐待や暴力に「お墨付き」を与えた、と受け取られて
も仕方がない。

その上オバマは、「エルサレムはイスラエルの首都として永遠に存続す
るべきであり、分割されることはない」とまで言ってのけたのだ。エル
サレムを首都とすることは、国際的に承認されてはいない。ゆえに、米
国を含む各国の大使館はテルアビブに置かれている。東エルサレムがパ
レスチナ領として認められていることをまったく無視したこのような発
言は、争いの火に油を注ぐようなものだ。パレスチナ人の心情を逆なで
にするこの一言で、アラブ人が抱いていたオバマへの信頼は、あっとい
うまに丸つぶれ。これではオバマが大統領になっても、中東和平は進展
のしようがない。

この一方的なオバマの演説を聴いていて、今は亡きレイチェル・コー
リーを思い出してしまった。イラク戦争が始まる直前の2003年3月
16日、ガザ地区で「人間の盾」として活動していた23歳の米国人ボ
ランティア活動家レイチェルは、パレスチナ人の家屋を破壊しようとす
るイスラエル軍のブルドーザーを停めようとして立ちふさがり、そのま
ま轢き殺された。

もしあの世でレイチェルがこの演説を聴いているとしたら、彼女はどう
感じるだろうと想像すると、不覚にも目頭が熱くなってしまった。

わたしがオバマを高く買っていたもう一つの理由が対イラン政策だった。

2007年10月31日、ニューヨークタイムズ紙とのインタビューで
オバマは、チェイニー副大統領がイランへの軍事行動を示唆したり、上
院がイラクの失敗をイランのせいにするような決議案を採択したり、あ
まりにもイラン政策が強硬だと批判した。そして自分が大統領になれば、
イランやシリアの「指導者たちと直接会い」、さまざまな問題について
「積極果敢に自ら交渉を行う」と述べた【5】。

ところがオバマは AIPAC 総会でのスピーチの後半で、イランの脅威を
ヒステリックなまでに糾弾した。オバマともあろう人物が、すでに翻訳
ミスと判明しているアハマディネジャド大統領の「イスラエルを地図か
ら抹消する」発言を真に受け、イランバッシングのネタとして使った。
これではブッシュやネオコンと似たり寄ったりではないか。

「イランほどイスラエルの脅威になっている国は他にはない。今日の聴
衆の中には共和党員と民主党員の両方がいる。しかし、ことイスラエル
の安全保障に関する限り、われわれ米国人は民主・共和の党の違いを超
えて、肩と肩を並べて立ち上がるということを、イスラエルの敵国は思
い知るべきだ。

「イラン政権は暴力的な過激派を援助し、さまざまな地域でわれわれに
挑戦を挑んでいる。イランは核開発を押し進め、それは危険な軍拡競争
を招きかねない。

「わたしがホワイトハウスの主になったら、イスラエルの安全を守り続
けるという、ゆるぎない約束を果たすだろう。その手始めに、イスラエ
ル軍が質的な軍事的優位を備えるための援助を惜しまないだろう。・・
・ガザからテヘランまで、どんな脅威が迫ってこようが、イスラエルが
自国防衛できるよう確約する。

「わたしは大統領として、米国の持つすべての力を使ってイランに圧力
をかけるつもりだ。イランが核兵器を保有するのを防ぐために、全力で
あらゆることを行う」

ここでオバマはポーズをとり、もう一度「あらゆることをだ」と繰り返
すと、7000人のユダヤ系米国人から割れんばかりの拍手が起った。
「米国の持つすべての力」とは核兵器も含めてという意味か、また「あ
らゆること」とは、7000万人のイラン人市民を犠牲にすることも含
まれているのだろうか?

昨年11月、米国家情報会議(NIE)が「イランは、核兵器製造の計画
を、2003年の秋には中止した」と結論づけたことをオバマだって十
分知っているはずだ。またイランは核不拡散条約(NPT)の加盟国で、
国際原子力機関(IAEA)による度重なる査察を受けているし、核兵器製
造を始めたという証拠はまったくない。

それに対してイスラエルは NPT に不参加で、もちろんIAEA の査察は一
度も受けたことがない。それどころか、イスラエルが約200発の核兵
器をすでに所有していることは、もう世界の常識にまでなっている。な
のにオバマのこの二枚舌、なんという腹芸。

イスラエル・ロビーが強力に米国の政界を牛耳っているというのは、ど
うやら事実のようだ。だが、われらがヒーロー、オバマまでがそのご威
光にひざまずくとは思いもしなかった。わたしの世界を見る目がまだま
だ甘くて青いからだろうか。

イスラエル人の票がなければ米大統領になれないのかというと、黒人や
中南米系の人口の方がはるかに多いことを考慮に入れれば、一概にそう
ともいえない。特にオバマの場合は若い世代の圧倒的な支持を得ている
ので、これほどイスラエル・ロビーに媚びる必要もないといえる。

このスピーチで、シオニズムという神話に魅せられたオバマの真の姿が
現れた、とも受けとめられる。ともあれ、イスラエルべったりのオバマ
の演説で勢いを得たのか、二日後、イスラエルの閣僚がとんでもない
「脅し発言」を放った。

6月6日、イスラエルのモファズ副首相兼運輸相は、地元紙との会見で、
「もしイランが核計画を続行するなら、イスラエルは攻撃するだろう。
経済制裁による事態打開の道は効果がないからだ。イランの核計画を中
断させるためには攻撃しか選択肢がない。そしてその攻撃は、米国のサ
ポートがあってこそ実施され得る。・・・アハマディネジャド大統領は、
イスラエルを地図から抹消すると言ったそうだが、イスラエルの前にイ
ランが消えてなくなるだろう」と語った【6】。  

翌6月7日、イスラエルのベン・エリエゼル国土施設相は、国際社会は
イランが核計画を加速的に推進しているのを非難はするが、それは口だ
けで、実際の制裁には本気で参加していないと、以下のように非難した
【7】。 

「われわれはイランにこう告げなくてはならない。『貴国がそんなにま
でイスラエルを攻撃することを夢見ているならば、その夢を見終わる前
に、イランという国そのものがなくなるだろう』とね。・・・イランが
イスラエル攻撃を真剣に考え始めるなら、それがどれほど高くつくか思
い知るべきだ」

こんな物騒な発言が続くのも、イスラエルが米大統領を都合のいいよう
に操れると踏んでいるからかもしれない。5月28日付けのアジアタイ
ムス紙は、「ブッシュは8月にイラン空爆を計画している」という見出
しで、退役外交官のリークを載せた【8】。そのときはガセネタかもし
れないと信用はしなかったが、いま読み返すと2週間前よりも現実味を
感じる。

オバマの AIPAC 総会での演説に幻滅した者のひとり、時事評論家の
ジャスティン・レイモンドはこう記している【9】。 

「オバマについて、わたしは間違っていたと言わねばならない。『ド間
違い』だった。急速に暗さを増すこの世界で、なんとか明るいスポット
を見つけたくて、オバマの魅惑的な詭弁にしがみついたのだ。溺れる者
が救命道具にしがみつくように。

「しかし希望を間違った人間に託していては、平和の機会を作り出すこ
とができない。それは錯覚を引き延ばすだけだ。これまで以上の恐ろし
い争いが起きることが見込まれているいま、わたしたちはニセの救世主
を探し求めたり、しがみついたりしないで、真正面から現実に対処しな
くてはならない。

「新しい大統領が就任するまえに、米国がイランとの戦争に踏み切るこ
とがほぼ確実となった。オバマがイスラエル・ロビーに降伏した今と
なっては、神の恩寵がないかぎり、止めることができない。ああ神よ、
われらを助けたまえ」

またコラムニストのクリス・ヘッジは、「イランの罠」と題した論評で、
こう記している。

「AIPAC 総会でのオバマの演説は、中東の舵取りをする上で、失敗だっ
た。オバマのこの計算違いは、イラン攻撃を画策しているブッシュ政権
やイスラエル政権を勢いづかせ、のちのち重大な結果をもたらすだろう。

「われわれが正気な指導者を最も必要としている今このときに、オバマ
は自分が無責任で弱いということを証明してみせた。オバマも含めて米
民主党の指導者たちは、中東で火葬用の薪に火をつけようと準備してい
る指導者たちと同じくらいに、精神を病んでいる」

わたしもつい先日までオバマのファンだった。しかし彼もまた権力を欲
しがる政治家で、軍産複合体の信奉者だという面が垣間見えてきた。た
だ、ブッシュやマケインよりは百倍はマシかな。

仏陀はさまざまな人びとを救うために、時にはウソをついたという。
「ウソも方便」だ。オバマもまた、選挙に勝つために、AIPAC 総会で
「タカ派のふり」をしただけであってほしい。大統領に選ばれた後は、
元のスィートなオバマに戻ることを願ってやまない。

ああ、ハートブレイクだぜ。

心の中でふくれあがった希望のバルーンが、プシューッと音を立ててし
ぼんでいく。

【1】Uri Avnery, "No, I Can't! Obama and The Israeli
Lobby," Global Research (June 7, 2008). http://www.globalresearch.ca/index.php?
context=viewArticle&code=AVN20080607&articleId=9243

【2】政治献金の動向について信頼できる報告を続けている責任政治セ
ンター(Center for Responsive Politics)によると、08年5月20
日までの集計で、オバマにもっとも多額の献金をしたトップ20位はい
ずれも個人ではなく団体であり、そのうちウォール街の金融関係企業が
6社、他の大企業が5社、そしてロビー団体として活動する法律事務所
が5つある。

Barack Obama (D), Top Contributors http://www.opensecrets.org/pres08/contrib.php?id=N00009638&cycle=2008

【3】AIPAC 総会で演説するオバマの映像。
http://jp.youtube.com/watch?v=0cOJNC2EuJw&

【4】イスラエルとパレスチナの死者数の割合は、2006年には30
対1、2000年から2005年までは4対1だった。

Chris Hedges, "The Iran Trap," Truthdig (June 8, 2008). http://www.truthdig.com/report/item/20080608_the_iran_trap/

【5】"Interview With Barack Obama," New York Times (Nov.
1, 2007). http://www.nytimes.com/2007/11/01/us/politics/02obama-transcript.html?
ref=politics&pagewanted=print

【6】Dan Williams, "Israel to attack Iran unless
enrichment stops-minister," Reuters North American News Servic (Jun 06, 2008). http://wiredispatch.com/news/?id=200782

【7】"West is 'resigned' to Iran bomb: Israeli minister,"
AFP (Jun 07, 2008). http://news.yahoo.com/s/afp/20080607/wl_mideast_afp/
mideastpoliticsisraelirannuclear

【8】Muhammad Cohe, "Bush 'plans Iran air strike by
August," Asia Times (May 28, 2008). http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/JE28Ak01.html

【9】Justin Raimondo, "Obama Capitulates? to the Israel
lobby," Antiwar.com (June 6, 2008). http://www.antiwar.com/justin/?articleid=12944

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