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(回答先: 戦争のつめ跡:5年後のイラク/1(その1) 「防護壁」が囲むバグダッド(毎日新聞) 投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 3 月 16 日 15:47:38)
http://mainichi.jp/select/world/news/20080316ddm002030032000c.html
◇外国人と話すと殺害対象/ガソリン価格25倍
チグリス川をはさんで、グリーンゾーンの対岸にあるカラダ地区に入ると、緊張がほぐれた。
同地区は、イスラム教シーア派地区で、市街地でも最も安定している地区のひとつだ。多くの店が開き、買い物客でにぎわう。魚を焼いたり、山盛りの果物が並ぶなど、戦争前と同じ風景が続く。
だが、ここでも6日に、約60人の犠牲者を出すテロ事件が起きたばかりだ。
以前とは違い、外国人の姿がまったく見当たらない。親日家が多いイラクでは、かつては、日本人だと知ると人々が握手を求めてきたが、今は違う。「外国人と話しているだけで、スパイと間違われて殺害の対象となる」ためだ。
カメラを向けると顔がこわばる。フセイン大統領の抑圧下にあっても、明るさを失わなかったイラク人から笑顔が消えたのが悲しく、寂しい。
開戦前は、夜遅くまで家族連れがショッピングを楽しむなど、バグダッド有数の繁華街だったサドゥーン通りは、ほとんどの店が、シャッターを下ろし、静まり返っていた。
一時期、米軍が過激派掃討作戦を展開したためだという。
グリーンゾーンに近い、サルヘイヤ地区のアルシャド・サバハさん(21)の屋台でチャイ(お茶)を飲んだ。
サバハさんは「物価高で生活できない」と訴えた。ガソリン価格はフセイン政権時代の25倍。タクシー料金は10倍だ。
旧政権は強力な中央集権体制を敷いたが、物価を低く抑えていた。米、砂糖、食用油、せっけん、お茶など生活物資の配給制度は、現在も維持されているが、「質はフセイン時代よりも低下した。役人が自分たちの懐を肥やしているためだ」とお茶を飲んでいた男性が訴えた。
政党・政府幹部の豪華な生活、役所での身内優先の職業あっせん−−など、住民の口を突いて出る言葉は、政府への批判ばかりだ。物価高だけでなく、治安も悪化したため、「この5年間、政府は何もしてくれなかった」という不満がたまる。
グリーンゾーンに戻るには、4カ所の検問所を通らねばならない。
最初の2カ所は、ウガンダ兵、次の2カ所はペルー兵が担当する。いずれの検問所でも、全身をくまなく金属探知機で調べられるほか、携帯する電子機器も徹底的にチェックされる。犬による荷物検査の後、さらに警備担当者が手でボディーチェックを重ねる。
検問所を抜けても、30メートルおきに立つ兵士によるIDカードのチェックが続いた。
夕日が落ちる。モスク(イスラム礼拝堂)のスピーカーからアザーン(祈りの呼び掛け)が聞こえたが、すぐに上空の米軍ヘリのプロペラ音にかき消された。住民の不満は爆発寸前だ。
米軍とイラク政府は今、これを力で抑え込もうとしている。【バグダッド小倉孝保】
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イラク開戦から20日で5年。イラクをめぐる状況を、現地や周辺諸国から報告する。
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■ことば
◇米軍のイラク増派
ブッシュ大統領は06年11月の中間選挙敗北などを踏まえ、イラク政策の見直しに着手。07年1月、宗派間抗争が激化したバグダッドや国際テロ組織アルカイダが拠点化していた西部アンバル県の治安回復に向け、約3万人の増派を発表した。
配備が完了した同年夏以降、治安回復が進み、同年9月にブッシュ大統領は「所期の目的は達成した」と表明。08年7月までに増派部隊を段階的に撤退する方針を発表した。ただ大統領は今年1月、「早急な撤退はイラク治安部隊の崩壊やアルカイダの復活を招く」として夏以降の兵力規模については留保。年内に10万人規模までの削減を目指していたゲーツ国防長官も慎重な姿勢を見せ始めている。
毎日新聞 2008年3月16日 東京朝刊