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ジョージ・ソロス「ドル時代の終焉」を高らかに宣言。米国の危機は今までと根本的に異なる
http://www.asyura2.com/08/wara0/msg/448.html
投稿者 大西健二 日時 2008 年 1 月 29 日 00:54:28: Zg4goyIkX.Zhg
 


【RPE】ソロスの歴史的発言とアメリカ危機

http://www.mag2.com/m/0000012950.htm


★ソロスの歴史的発言とアメリカの危機


全世界のRPE読者の皆さまこんにちは!

いつもありがとうございます。

北野です。

日本でどの程度取り上げられているかわかりませんが。

ソロスさんがダボスで超爆弾発言をしました。

<世界はドルの買い増しに消極的=ジョージ・ソロス氏

1月24日7時35分配信 ロイター

[ダボス(スイス) 23日 ロイター] 著名投資家のジョージ・ソロス
氏は23日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、世界
的にドル離れが進んでいるとの認識を示した。

同氏は「金融市場には保安官が必要だ。世界はドルを買い増すこ
とに消極的だ」と発言。> 

「全然爆弾発言じゃないだろ!」(怒)


まあまあ、爆弾発言はこの後です。

<「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終えんを意味する。
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワシントン・コンセンサスではなく、新しい保安官が必要だ」と述べ
た。>(同上)


え”〜〜〜〜〜〜〜〜!

いいんですか、こんなこと言っちゃって!


私が05年1月発売の「ボロボロになった覇権国家」
(詳細は→ http://tinyurl.com/dypky )

および

「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日」
(詳細は→ http://tinyurl.com/yro8r7 )

および

メルマガで一貫して主張してきたこと。

いろいろと批判のメールもいただきましたが、ついにソロスさんも
認めてしまった。

今回は、ソロス発言にいたるまでの経緯を書いていきます。


▼ドルの歴史1(1945〜ニクソンショックまで)


現在起こっている問題は、「サブプライム問題」といわれますが、
本当の原因は大昔までさかのぼります。

第2次大戦が終わり、アメリカは天下を取りました。

敵だった日本・ドイツ・イタリアをぶちのめし。

味方だったイギリス・フランス・ソ連・中国もボロボロ。

アメリカは当時、世界の工場であり、世界最大の軍事大国。

世界で唯一核兵器を保有する国。

まさに、完全無欠のスーパー覇権国家。

そして、当時の通貨体制は

ブレトンウッズ体制=金(きん)ドルシステム。

アメリカは、「金1オンスを35ドルと交換する」ことを保証。

ドルは基軸通貨としての地位を確立したのでした。

しかし、夏の後には秋がくる。

アメリカ合衆国も、その運命から逃れることはできません。

60年代。

日本や西欧諸国の経済が復活し、アメリカの貿易収支はどんど
ん悪化していきました。

アメリカが貿易赤字になるとどうなるか。

貿易相手国の方にドルがどんどんたまっていく。

そして、西欧諸国の特にいじわるなフランスなどは、手持ちのド
ルをどんどん「ゴールドに換えてくれ!」と迫ってくる。

要するに、アメリカから金(きん)が大量に流出していく。

困ったアメリカ。

1971年8月、ニクソンは「金・ドル兌換の停止」を宣言。
(ニクソンショック)

これで、ドルは金の裏づけのないタダの紙切れになった。

しかし、経済的にも軍事的にも他国を圧倒するアメリカのドルは、
「他にかわりがない」という一点で、その後も基軸通貨の地位を維
持したのです。


▼ドルの歴史2(レーガンの時代)


アメリカ経済は、60年代から日本と西欧諸国に押され、地位が相
対的に下がっていきました。

70年代になると、日本が世界の工場になった。

アメリカの製造業者は、安い労働力を求め、どんどん外国に流出
していきます。

80年代のはじめにレーガンさんが大統領になったとき、もうニッチも
サッチもいかない状況だった。

そこで、レーガンさんとブレーンたちは、「もう製造業はいいや」とあ
きらめます。

美しい理論もついていました。


「人類社会は1、農業社会 2、工業社会 3、情報化社会へと進む。
アメリカは工業社会を卒業して情報化社会に進むので、ものづ
くりはやらなくていい」(^▽^)


それでどうしたか?

レーガン政権は、金融業界の規制を撤廃し自由化します。

さらに、81年と86年に大型減税を実施。

金融業の自由化で、銀行がばたばたつぶれたにもかわらず、レ
ーガン時代、景気は非常によかったのです。

その一方で、深刻な問題が起こりました。


第1に、財政赤字と貿易赤字が膨大になった。

第2に、アメリカは世界最大の債権国だったが、世界最大の債務国に
なった

第3に、製造業はほとんど壊滅状態


▼ドルの歴史3(クリントンの時代)


レーガンさんの後を継いだブッシュパパ。

彼の時代、世界的大事件がドンドン起こります。


89年ベルリンの壁崩壊。
90年東西ドイツ統一。
91年ソ連崩壊。


ブッシュパパは冷戦を終わらせ、アメリカは再び天下をとったのです。

宿敵ソ連は崩壊。

経済の宿敵日本はバブル崩壊で暗黒の15年に突入。

欧州では、豊かな西欧が貧しい東欧を抱え込み苦しい。

中国はまだ弱小パンダで、無視できる存在。

とはいえ、アメリカも深刻な問題を抱えていました。

それが、財政赤字と貿易赤字の問題。

1992年には、元大統領諮問委員 H・フィギー・Jrさんが、

「1995年合衆国破産」
( http://tinyurl.com/7ufqg )←名著です。ご一読を。

を出し、大騒ぎになります。

なんといっても元大統領諮問委員が

「アメリカ合衆国はこのままいけば1995年に国家破産する!」

と宣言したのですから、当然ですね。


▼アメリカの特殊性


アメリカは世界最大の債務国でありながら、どうして存在していられ
るのでしょうか?

普通の貿易赤字国では何が起こるのでしょう?

通貨が下がりつづけ、輸入品の値段が高騰、インフレが起こります。

例を挙げましょう。

1994年のメキシコ。

北米自由貿易協定(NAFTA)が発効したのは、94年1月。

結果、アメリカからの輸入が急増し貿易赤字が拡大していきます。

貿易赤字になると、赤字国の通貨が安くなる。

メキシコ政府は、必死でペソを買い支えました。

しかし同年12月、セディジョ大統領は、「これ以上ペソを維持するの
は無理だ!」とあきらめます。

そして94年12月20日、ペソを15%切り下げ。

これをきっかけに、資本が一斉に逃避し、外貨準備が底をつき、通
貨危機に陥ったのです。

通貨危機の影響で、メキシコの国内総生産(GDP)成長率は95年、
マイナス6.9%。インフレ率は52%。

どうです?

普通の国では、一年の貿易赤字でこの結果。

ところが、アメリカではこういうことが起こらない。

皆さんご存知のことと思いますが、理由は二つあります。


1、ドルが基軸通貨(国際通貨・世界通貨)だから

ドルは世界通貨なので、需要が多い。

だからいくら刷っても刷ってもなかなか下がらないのです。

どんな需要?


・アメリカと他国の貿易決済通貨として
・他国と他国の貿易決済通貨として
・世界各国の外貨準備として
・世界中の民間人の貯金として

等々。


2、アメリカがドル還流システムをつくったから

貿易赤字でドルがどんどん流出していく。

でもそれがリターンすればいいですね。

どうやって?

例えば、


・高金利 (ゼロ金利の日本からどんどん金が来る)
・米国債 (日本や中国がどんどん買ってくれる)
・株 (外国人がアメリカ企業の株を買う)
・不動産 (外国人がアメリカの不動産に投資する)

等々。

この二つの要素がきちんとしているかぎり、アメリカは永遠に借金し
つづけることができるのです。

これを大前研一先生はなんといっているか。

<この種の「債務」がアメリカの害になることはない。アメリカはブラ
ジルとは違う。

ブラジルの場合には、国際的に通用する通貨で、対外決済を行なう
必要がある。

それができないと、どこからかドルを借りてこなければならない。

それに対してアメリカは、自国通貨のドルで決済することができる。

ブラジルにとって問題なのは、現在同国で起こっているように、自国
通貨の価値が下がれば、借りようとするドルが相対的に高くなること
である。

このような「債務の悪循環」は、国際決済通貨であるドルを国内経
済でも使っているアメリカの場合には起こらない>

(「ボーダレスワールド」大前研一248p)

で、クリントンさんは、国家破産寸前のアメリカ経済をどうしたか?


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▼ITバブル


一言でいえば、クリントンと側近たちは、ドル還流システムを強化し
たのです。

強化するとはつまり、「アメリカに投資すれば大もうけできますよ!」
と宣伝し、自発的にドル買いをさせる。

具体的にはITバブルを起こした。

90年代は、欧州・中南米・アジア・ロシアで金融・通貨危機が起こりま
した。

97年にアジアで通貨危機が起こったとき、マハティールさんは「ソロス
のせいだ!」と非難しましたが。

いずれにしても「やっぱり投資するならアメリカよね」ということになり、
株価が急騰します。

ダウは95年の4000ドルから00年には12000ドルまで3倍化(!)。

皆さん、5年で300%の投資っておいしくないですか?

クリントンさんは史上最強のラッキーガイ。

彼は、IT革命と空前の好景気のおかげで、(モニカさんと不適切な関
係をしたにもかかわらず)偉大な大統領の仲間入りをしたのです。


▼不動産バブル


これに対し、ブッシュは運が悪いというべきでしょう。

00年から01年にかけて、ITバブルがはじけてしまった。

で、どうしたか?

FRBは01年、なんと11回(!)も利下げをした。

その金はどこに回ったかというと、不動産にまわった。

不動産価格は以後07年まで上昇をつづけ、アメリカ経済の牽引役に
なります。

ドル還流という観点から見ると、「ITバブルは弾けましたが、今度は
不動産に投資すれば儲かりますよ!」(^▽^)

で、今大騒ぎになっている、「サブプライムローン問題」ってなんだ。

説明する必要もないと思いますが、サブプライムローンとは、信用の
低い(年収300〜400万円)人たちへのローン。

お金のない人たちが、ローンを組んで家を買った。

ところが、返済できない人の割合がなんと15%にも達してしまった。

このアメリカの問題がどうして、世界中で大騒ぎになったのか。

シティーとかメリルリンチ等々の金融機関がサブプライムローンを証
券化し、世界中で売りさばいていた。

フィッチとかムーディーズが「トリプルA」の格付けを出すもんだから、
世界中の投資家が買い捲っていた。


▼減税・利下げ、そして・・・


ITバブル崩壊時を見ると、ブッシュ政権は、大型減税を実施しました。

さらに、FRBは01年11回の利下げをした。

公定歩合は1年間で5.75%から1.25%まで下がった。

もう一つ見過ごせないことがあります。

数字には出てきませんが、01年のアフガン攻撃と03年のイラク攻撃
が、アメリカの景気回復に貢献しているということ。


今回はどうでしょうか?

ブッシュは1月18日、個人・法人減税を柱とする対策を発表しました。

規模は16兆円程度。

しかし、株の下落は止まらなかった。

FRBは1月22日、0.75%の利下げを発表。

株はその後急騰しました。

今後も利下げはつづくことでしょう。

こう見ると、アメリカ政府の対策は、ITバブル崩壊時と同じです。

もう一つ、効果の高い公共事業(イラン攻撃)が欲しいところでしょう。


▼とはいえ・・・


ITバブル崩壊、住宅バブル崩壊を世界的観点で見ると、「ドル還流
システムがやばくなっている」となります。

利下げがつづくことで、ドル離れはますます加速することでしょう。

アメリカ政府はIT・住宅バブルの後、(戦争のほかに)何を牽引役に
選ぶのでしょうか?

とはいえ、ITバブル崩壊時(00〜01年)と現在では決定的に事情が
異なっています。

当時、もう一つの柱=ドル基軸通貨体制は磐石だったのです。

今はどうでしょうか?

1999年、ユーロ誕生
2000年、フセイン、原油の決済通貨をドルからユーロにする
2001年、9.11とアフガン戦争
2002年、ユーロ現金流通開始
2003年、イラク戦争。アメリカ、イラクの原油決済通貨をユーロからド
ルに戻す
2006年、ロシア、ルーブルでの原油輸出開始
2006年、ユーロの市場流通量がドルを超える
2007年、プーチン、「ルーブルを世界通貨(基軸通貨)の一つにす
る!」と宣言
2007年、イラン、原油の決済通貨をユーロ・円にする
2007年、中東産油大国がつくる湾岸協力会議は、「2010年に共通
通貨をつくる」ことを確認


どうですか?

不動産バブル崩壊で、還流システムも心配。

ドル基軸通貨体制も、ほとんど崩壊寸前まで来ていることがわかる
でしょう。

これらの事実を全部理解した後、ソロスさんの発言をもう一度引用
しておきます。

<「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終えんを意味する。
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワシントン・コンセンサスではなく、新しい保安官が必要だ」と述べ
た。>
(ジョージ・ソロス ロイター1月24日)

▼なぜ?


なぜソロスさんはこんな爆弾発言をしたのでしょうか?

ソロスさんのブッシュ嫌いは有名です。

なぜか?

ブッシュは、アフガン・イラクを攻撃し、今度をイランを攻撃したい。

戦争の時代になると、全世界でナショナリズムが高まる。

すると各国は、人の流れ・資金の流れへの規制を強めるのです。

(例、ファンドの規制、マネロン規制、オフショア規制、投資規制等々)


ソロスさんは投資家。

投資家というのは、グローバル化が進み、国境がなくなり、世界共通ルー
ルができて欲しい。

それが一番儲けやすい環境ですからね。

別に、ドルが基軸通貨でなくても儲かればそれでいいのです。

ブッシュ政権は世界を緊張させ、グローバル化と反対の方向にむかわ
せている。

そんなわけでソロスさんはブッシュを非難しているのでしょう。

ちなみにグリーンスパンさんやバフェットさんもブッシュに批判的です。

<「現在の危機は、ドルを国際通貨とする時代の終えんを意味する。
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ワシントン・コンセンサスではなく、新しい保安官が必要だ」と述べ
た。>(ジョージ・ソロス ロイター1月24日)

アメリカはなんでこうなっちゃったのか。

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詳細な資料つきで全部わかります。(おわり)


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PS2 「あとがき」からお読みください。


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