★阿修羅♪ > 戦争a0 > 386.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: イラク3邦人拘束事件:『週刊文春』のもう一つの記事 投稿者 外野 日時 2008 年 1 月 24 日 21:48:03)
『FRIDAY』2004.04.30号
イラク人質事件の「闇」
「冷血」首相と「無能」外務省は他人事だった 〜 小泉&官邸「許されざる家族への暴言」【オフレコ言行録】
邦人拉致事件の「真相」がいまだ明らかにならないなか、インターネットを中心に、ある情報が流布されている。
拉致された今井紀明さん、高遠菜穂子さん、郡山総一郎さんの3人は、実は「被害者」ではない――。これは「自作自演」の騒動である、という常識はずれの説だ。いったい、なぜこのような情報が氾濫することになったのか。
その背後には、なんと「政府」の影があった。
カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」の報道に、日本列島が振り回されていた渦中、小泉政権の閣僚や与党幹部、官僚トップの口からは、事件を解決できない自分たちの責任を棚に上げ、なぜか3人の人質やその家族に対し、無慈悲としか言いようがない発言が相次いだ。
「親が自分の子供を止めることができないで、戦地に行かせてしまう。どこかおかしい」(平沼赳夫前経済産業相)
「3人は、自ら危ないところに飛び込んだ」(小池百合子環境相)
「イラク(にいる日本人)には退避勧告を出している。邦人保護に限界があるのは当然だ」(外務省・竹内行夫事務次官)
そして4月14日には小泉首相自身が、「13回も退避勧告を出していた」と会見で“言い訳”をした。
彼らは「そもそも危ないところに行った3人が悪い」というのである。もっともらしい発言だが、これは政府の「責任逃れ」に他ならない。人質の3人はボランティアとジャーナリスト。こうした人々の活動があればこそ、戦場の非道さや残虐行為が世界に報じられ、イラクの市民へ援助の手が差し伸べられてきた。
「人道援助」を標榜する日本政府だが、その実績のほとんどは、彼らボランティアやNGO(非政府組織)が担ってきたもの。その事実をまったく無視し、「行ったヤツが悪い」とは呆れるほかない。
なぜ、こんな耳を疑うような暴言を政府首脳が連発するのか。そこには不可解極まる、ある政府内の動きがあった。
「事件が発覚した直後のかなり早い段階から、『3人と、その家族の素性を洗え』という動きが一部のメディアにありました。同時にネット上には、3人があたかも事件を前もって計画していたかのような情報が氾濫しだした。誰が煽っているのかと情報源を辿ってみると、どうやらそれが、官邸周辺なのです。小泉首相の側近や警察の公安担当部門が、記者たちに『調べてみろ』と圧力をかけていたという形跡がある」(全国紙政治部記者)
実際にこの頃、ある政府首脳を囲んだオフレコ懇談で、記者たちとこんなやり取りが交わされていたという。
政府首脳「○○新聞さん、なんか新情報ないの?」
記者「実は、人質に△さんはですね・・・」
政府首脳「(知っていたという態度で)ふうん。それは××新聞さんに教えてあげれば。すぐ記事になるんじゃないの」
記者が告げたのは、人質とその家族の中に、共産党の関係者がいるという情報だった。だがそれが、今回の事件に直結する明かな証拠など、何も確認されてはいない。しかし、政府首脳はこの情報を、「記事にしろ」と示唆したのだ。はっきりいおう。これこそ、政府による「情報操作」「世論誘導」だ。
現実に、こうした政府側の動きに基づき、一部のメディアは、「今回の事件は3人の自業自得」との論調を強めた。同時に、ネット上などではあたかも事件に「日本人」が関与しているというような“証拠”が溢れ始めた。
●声明文の日付がイスラム暦ではなく西暦で、しかも表記の順序が「年・月・日」という日本独自のもの。
●犯行グループの「自衛隊撤退」という要求は、被害者3人の日ごろからの主張と一致している。
これらは、見方によってはどうにでも解釈できる程度のもの。断言できる事実など何ひとつない。ところが、こうした”疑わしい状況証拠”をもとに、世論の一部では「人質3人が悪い」との説が定着してしまった。
その結果、追い詰められているのが誰かといえば、人質3人の家族である。今井さんの自宅では、「自業自得だ」などという嫌がらせ電話が鳴り止まず、留守番電話に「死ね」との暴言や、「チーン」という仏具の音が吹き込まれたりしているという。心労から、高遠さんの弟の修一さんは病院に担ぎ込まれた。家族には連日のように、「自業自得で拉致されたのに、態度が大きい」「迷惑をかけた他の国民に対する謝罪の気持ちがない」などと、罵詈雑言が浴びせられている。
こうした「世論」を、率先して形成した張本人が、まさか政府だとは誰も思うまい。いま政府は、イラク現地での情報収集能力ゼロ、頼りはアルジャジーラと米軍のみ、という無能ぶりを曝け出している。外務省も、川口順子外相が「確認した」と“断言”した人質解放の報がガセだったり、逢沢一郎副相がイラク入りもせず「情報がない」と嘆いていたり、対応はお寒いの一言だ。
ところがそのウラで、彼らは特定の方向にせっせと世論を誘導していたのである。いかなる理由であれ、こんな行為は許されるはずがない。これは小泉政権が国民を完全に舐めており、実は民主主義を根幹から否定しているという、恐るべき事実を示している。
「私のところにも、“自作自演”を通報してきた人がいますが、事件が起きた状況を分析する限り、そんなことはあり得ないと思う。3人とその家族の人物像がどうであれ、国家としては自国民の命の救済を、最優先するのが使命であるはず」(軍事評論家・神浦元影氏)
政府の対策本部(本部長・福田康夫官房長官)は、4月13日に「今後、人質事件の取材に応じない」との決定を下した。国民を侮辱し、欺き続ける政権が、存続できると思ったら大間違いだ。