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(回答先: Re: teて 投稿者 きすぐれ真一 日時 2009 年 2 月 15 日 01:01:34)
「兼業農家」が日本を滅ぼす
減反政策は諸悪の根源、コメを作って米価を下げよ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090218/186539/
山下一仁(やました・かずひと)
経済産業研究所上席研究員。1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省に入省。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農水省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任した後、2008年に農水省を退職。1982年米ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。今年1月、『農協の大罪 「農政トライアングル」が招く日本の食糧不安』(宝島社新書)を上梓した。「減反政策をやめ、コメを作るべき」と強く主張している。(写真:大槻純一、以下同)
* 篠原 匡(日経ビジネスオンライン記者)
「減反見直し」。昨年末、石破茂農相が投じた一石が農業界を揺さぶっている。政府は農政改革特命チームを結成。コメの生産調整の見直しを含めて議論し始めた。「コメの生産調整は必要不可欠」。米価維持が第一の農業関係者はこう口を揃えるが、減反に協力しない農家は数知れず。実効性は上がっていない。
1970年以降、連綿と続けられてきた減反政策。転作を奨励するために7兆円の国費を投入してきたが、この40年で食料自給率は40%に下落。生産調整の対象になった水田の多くが休耕田になった。昨年、発覚した汚染米事件も、本をただせば減反政策に原因がある。農業関係者の利益のために、水田を水田として利用しない愚行。その制度疲労は明らかだ。
「農協、自民党、農水省」。減反政策と高米価政策を推し進めてきたのは、この鉄のトライアングルだった。そして、その恩恵を最も受けてきたのが兼業農家だった。この生産調整が日本の農業にどのような弊害を与えたのか。そして、今後の農政をどう考えればよいのか。長年、減反政策を批判してきた元農水官僚、山下一仁氏に聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン記者 篠原匡)
―― コメの生産を抑制する減反政策。ようやく政府内でも見直しも含めた議論が始まりました。この減反政策がどれだけ政策として不合理なのか。その点からお聞かせください。
山下 生産調整でコメの生産を抑制し、高米価を維持する――。これは、一言で言えば供給制限カルテル。ほかの産業であれば、独占禁止法の対象になる行為でしょう。「減反政策はカルテルである」。この点を、最初に強調しておきます。
「減反政策はカルテルである」
このカルテルで最も得をするのはカルテルを破るアウトサイダーです。カルテルを破って、カルテルで維持された高米価でコメを生産すれば間違いなく儲かる。だから、生産者をカルテルに参加させるための何かのインセンティブが必要になります。そのインセンティブが年間2000億円、累計で7兆円に上る補助金でした。
この7兆円に上る補助金を負担しているのは誰でしょうか。言うまでもありませんが、私たち国民です。しかも、この高米価を維持するために、この国は輸入米に対して高い関税を課している。その代償として、ミニマムアクセスを設定し、一定の輸入米を購入している。
―― 年間77万トンのミニマムアクセス米ですね。
山下 そう。778%という高関税を設定した結果、国内の消費量の8%に当たる77万トンを輸入するという約束を世界貿易機関(WTO)と結びました。閣議了解事項でこのミニマムアクセス米は国内市場で流通させないことになっており、大半を海外の食料援助のために保管している。その保管料もバカにならない。
1トン当たりの保管料は約1万円。77万トンを保管するだけで77億円かかる。もちろん、過去の在庫がありますから毎年保管料に100億円以上がかかる。しかも、国産米が玄米で流通しているのに対して、ミニマムアクセス米は精米の状態で輸入している。
昨年9月、米加工会社、三笠フーズによる汚染米の横流しが発覚しました。残留農薬やカビのあるコメを酒造会社などに転売した事件ですが、あのコメも大半はミニマムアクセス米でした。わざわざ腐りやすい精米を長期間保存しているわけですから、カビが生えるのも当たり前でしょう。
コメの主業農家を殺した減反政策
―― 汚染米事件の原因は減反政策にあったわけですか。
山下 つまり、国民はカルテルで形成された高い米価と減反補助金の財政負担、ミニマムアクセス米の保管料と二重、三重の負担を強いられている。生産調整と高米価という消費者負担型の農政を展開した結果、減反政策を守るための財政負担がかかるだけでなく、77 万トンのミニマムアクセス米を輸入し、その輸入米を保管するためのコストがかかっている。コストがコストを呼ぶ仕組みになっているわけですよ。
―― 減反政策は、国民に多くの負担を強いているわけですね。
山下 この二重、三重の国民負担が減反政策の悪の1つ。さらに、もう1つの悪を挙げると、この政策のしわ寄せがコメ作りを専業にする主業農家にいったことでしょう。
第1に、高米価政策を採ったことで零細の兼業農家が滞留した。ご承知の通り、コメを作るのはそれほど難しくありません。実際のところ、週末だけの農作業でもコメが作れてしまう。そうして作ったコメが高値で売れていくのだから、兼業農家が農地を手放すはずがありませんよね。
零細の農家が水田を手放さなかったために、主業農家の規模拡大が難しくなった。規模拡大ができないのだから、コストを下げられない。コストが下がらないからコメを専門にしても所得も増えない。高米価政策の影響を受けたのは主業農家でした。
それに、減反政策をやるのであれば、生産コストが高い兼業農家に減反面積をたくさん背負わせればよかった。コメを低コストで生産しようと考えれば、規模が大きく生産コストの低い主業農家がコメを作り、高コストの兼業農家が減反をすべきでしょう。そうすれば、兼業農家がコメを作るメリットが薄れ、主業農家に農地が集約されたはず。それが、国民のためになるし、コメを専業にしている主業農家のためにもなる。ところが、一律の減反配分をやってしまった。
農業の中でも異常なコメの世界
―― それはなぜでしょう。
山下 農協の政治的な基盤は圧倒的多数の兼業農家。その兼業農家に減反を強制することは自分たちの政治力を削ぐことになる。まあ、やりませんよね。その代償として、コメを専門に作る主業農家がどんどん不利になっていった。
ほかの農業を見ると、酪農だって、野菜だって、主業農家のシェアは8割から9割はあるわけですよ。稲作だけですよ、主業農家のシェアが40%を切っているのは。こんな変な産業は農業の中でもないわけですよ。コメだけですよ、本当に。
―― 同じ農業の中でも異常ですよね。
山下 異常なわけですよ。減反政策の悪はほかにもあります。当たり前のことですが、転作で作った作物と転作の奨励金を足したものが稲作の収益よりも高ければ、皆転作をしますよね。ところが、実際には、生産性の高い稲作農家は収益も高いため、転作には応じない。
その代表が、秋田県の八郎潟でした。八郎潟は生産コストが低いため、稲作の収益が高い。転作して奨励金をもらうよりも、稲作を続ける。だから、八郎潟は減反賛成派と反対派で村を2分するような争いになった。同じことは新潟県も言える。新潟県の場合、生産コストはそこそこだけど、品質のいいコメができるので高く売れる。これまた収益がいいわけですよ。
農家の説得に忙殺された市町村職員
八郎潟や新潟県のようなところで転作をやるには、転作奨励金を上げなければならない。ところが、財政事情から補助金を減額してきた。減反政策を進める経済的なメリットが失われてしまった。その中で、減反を進めるために、都道府県や市町村の担当者が生産者のところに頼みに行かなければならなくなった。
―― 最後の手段は説得ですか…。
山下 現場で突き上げを食らうのは市町村の担当者。しかも、ほとんどが兼業農家ですから昼間はいない。夜の集会に行くしかない。完全なサービス残業ですよ。
―― 悲惨ですね。
山下 まだありますよ。建前では、転作奨励金は食料自給率を向上させるために、麦や大豆を植えるということになっている。本当に麦や大豆が植えられているか、確認しなければならない。これを、現場の市町村の職員が一筆一筆、確認しているわけですよ。地域の農政を担う大切な人間が、農家の説得と転作面積の確認という後ろ向きの作業に従事しなければならなかった。この損失も大きい。
―― そういう確認に農協の職員が関わることはないのですか。
山下 農協の職員も立ち会うかもしれないけど、実際に説得し、確認するのは市町村の担当者ですよ。この減反政策で誰が最終的に得をしたのか、というと農協です。農協にとって見れば、米価が高い方が販売手数料は増える。肥料や農薬も高く売れる。政治力の源泉である兼業農家も喜ぶ。
農協による農協のための高米価
戦後、農協を作ったのはコメの集荷のため。いわば、農協は食糧管理制度の執行機関でした。その立場をうまく使って、農協は拡大してきました。
コメの販売代金は農協を通じて農林中央金庫に流れます。農林中金は莫大なコメの政府買い入れ代金を一時プールしてコール市場で運用してきた。それに、コメ代金は農協にある農家の口座に入りますよね。そこから肥料や農薬の手数料は自動的にさっ引ける。そして、余った代金はやはり農林中金が吸い上げて運用する。高い肥料価格を設定しても、食管法の政府買い入れ価格で肥料代が保証されていた。
―― よくできたシステムですね。
山下 もう至れり尽くせり。まさに農協のための食管制度と言っていいぐらいでした。その中で農協は儲けてきたわけです。食管制度は1995年に廃止されましたが、農協はそのサクセスストーリーから抜け切っていない。だから、政府買い入れ価格がなくなったにもかかわらず、減反政策で高米価を維持しようとしているわけですね。
―― 減反政策で一番喜ぶのは農協というわけですか。
山下 間違いなく農協ですね。2005年の話ですが、コメ価格センターの入札で価格を押し上げる不正な価格操作を行ったとして、全農あきたが入札停止の処分を受けたことがありました。高い価格で落札させ、卸売業者にリベートを払っていた。高い米価を設定すれば、それに応じて高い手数料を取れるからですよ。
じゃあ、このリベートがどこから出たか、というと農家のコメ代金でしょう。はっきり言って、農家は自分のコメがいくらで売れているか、分かっていないわけですよ。肥料や農薬、手数料などどんどん引かれていって、その代金が精算されるのが1〜2年後。そんなバカな話がありますか。
そもそも農家のために農協があったはずなんだけど、農協の利益確保のために農家がいる。農協のための、農協による、農協の政治になっている。
減反政策はすでに破綻している
―― 農水省の官僚もそういったカラクリはよく知っているんでしょう。
山下 与党の自民党にとって、組織された農民票は政権維持の要。その農民票をバックに持った農協は最大の圧力団体になりました。農水省の中にも、農協に反感を持つ、気概のある人はいた。政府の税制調査会長を16年務めた小倉武一氏のように、「日本の農業を悪くしているのは農協」と主張する人はいました。
だけど、農業が縮小するにつれて、自民党の農水族議員に頼らないと、農水省に必要な予算を取れなくなった。でも、族議員は農協から票をもらっているわけだからね。だんだん農協にものが言えなくなってくるわけですよ。農政の改革派と言われた人々は、みんな農協に嫌われていますよ。
―― 昨年末の石破農相の発言以降、減反政策の見直しが議題に上がっています。これまで40年近く続いてきましたが、もういいかげん、限界なのではないでしょうか。
山下 もう破綻しているんですよ、減反政策は。昨年、生産調整の面積を10万ヘクタール上乗せしましたが、消化できませんでした。都道府県をものすごく締めつけたにもかかわらず、このありさまなんですよ。もう崩壊しているんですよ。
石破農相は9月の総裁選でこう言いました。「汚染米問題の本質は高関税で農業を守っていることにある」と。なぜ高関税なのか。それは高価格を維持するためでしょう。では、どうやって高価格を維持しているのか。それは減反政策でしょう。
農林中金が動揺している今が千載一遇のチャンス
「高関税を見直せ」と言うことは「減反を見直せ」と言うこととイコール。ですから、9月の総裁候補としての発言と12月末の「減反見直し」発言は首尾一貫している。まあ、石破さんは9月に農水大臣になってから12月まで、心の中では「減反見直し」と思っていたとしても、あえて言わなかったのでしょう。
―― それはなぜでしょうか。
山下 これは僕の推測だけど、12月に石破さんを決断させた事情があるのではないか。それは、農林中金の問題だと思う。今回の金融危機で、農林中金の有価証券の含み損は1兆5000億円に膨らみました。農協の収益源は信用事業。その親玉である農林中金が手痛い打撃を受けている。これで、農協システムが揺らぐと思ったんじゃないでしょうか。農協が動揺している今こそ、農政改革のチャンスだ、と。
―― やはり農政改革の本丸は農協改革なのでしょうか。
山下 農協が変わらなければ、本当の農政改革はできませんよ。
―― 生産調整の結果、水田の4割でコメ作りをやめてしまいました。水田を水田として使わない罪もありますよね。
山下 減反政策によって約260万ヘクタールの農地が消滅しました。今の水田面積は250万ヘクタール。今ある水田面積と同じくらいの農地が耕作放棄や転用で消滅してしまった。工場用地や宅地の転用もやったし、公共事業で道路も入った。あるいは病院や学校が作られる。そうして、農地が消滅していったんですよ。
「もう嘘はやめるべきだ」
農政は言っていることとやっていることが支離滅裂です。農業には水資源の涵養や洪水防止など、農業以外の重要性があると主張してきました。この農業の多面的機能は6兆円ある、と農政は主張している。ただ、その6兆円の3分の2ぐらいは水田の機能なんですよ。水資源の涵養、洪水防止、美しい景観 ――。これはすべて水田の機能です。ところが、一方ではこの水田をなくす政策を採っている。
農水省は食料自給率の向上を叫ぶけれども、ジュネーブのWTO交渉でやっていることは何だと。高関税を維持するために、ミニマムアクセスを拡大しようとしているわけでしょう。それが実現すると、消費量の8%だったミニマムアクセスが13%になる。これまでは財政負担で国内に流通しないようにしてきましたが、それだけ量が多くなれば財務省だってクビを縦には振らない。
―― 食料自給率が下がりますね。
山下 下がるんだよ。言っていることとやっていることがこれだけ矛盾している政策もないと思う。「多面的機能があるので農業が必要」と言っておきながら、実際にやっているのはその多面的機能を削ぐような、減少させるような政策でしょう。「自給率を向上させよう」と言っているのに、ミニマムアクセスを増やそうとしている。誰のための農政なのか。農協のための農政ではないのか。もう嘘はやめるべきだ。
―― 政策の矛盾は農水官僚も分かっているのでしょう。
山下 分かっているでしょう、さすがに。ただ、強く意識しているかは分かりませんよ。多面的機能という時、彼らは一方の減反政策を考えていませんからね。多面的機能も食料自給率の向上も農業保護の増大、あるいは維持のためですから。
―― 生産調整をやめたとすると、その後はどうすればいいのでしょうか。
「コメを作って米価を下げよ」
山下 今の日本では東京都の1.8倍に当たる39万ヘクタールの耕作放棄が生じています。減反を強化しているにもかかわらず、この10年でコメの値段が60キロ当たり2万円から1万4000円に下落しました。農業経営が厳しくなるにつれて、農地を貸したいと思う零細農家も増え始めています。
ところが、コメ価格は長期低落傾向にあり、次の収穫期にコメ価格がさらに下落する可能性もある。そのリスクを感じているため、主業農家も思い切って農地の拡大に踏み切れない。その結果、農地が引き取られず、耕作放棄が広がっている。
この状況を解消するには、減反政策をやめるしかない。減反政策を段階的に廃止し、コメを自由に作らせる。もちろん、コメ価格は下落するでしょう。私の計算では、減反政策をやめると、コメ価格は60キロ当たり約9500円に下がる。この価格下落で影響を受ける下落分を直接、農家に支払えばいい。
―― 財政負担は増えませんか。
山下 ポイントは主業農家にだけ支払うことです。コメの流通量700万トンのうち主業農家のシェアは約4 割。この主業農家に、今の米価1万4000円と9500円の差額の80%程度を補填した場合、かかる費用は約1700億円になります。これは、生産調整のために農家に支払っている補助金と変わりません。
減反をやめれば「778%」の高関税も不要
コメの価格が下がることで、農地を貸そうと考える兼業農家は増えるでしょう。差額補填で地代の負担能力が高まる主業農家も安心して農地を借りることができる。兼業農家も主業農家に農地を貸し出すことで、現状の農業所得を上回る地代収入が得られる。
減反政策をやめ、主業農家への直接支払いを進めても財政的な負担は変わらない。9500円に米価が下がることで消費者も恩恵を受ける。9500円にまで米価が下がれば、需要は1000万トン以上に拡大すると見ています。
さらに、関税を気にしなくても済む。日本米と品質が近い中国産短粒種米の実際の輸入価格は1万円近くまで上昇している。国内価格が9500円まで下がれば、今の778%という高関税は不要。ミニマムアクセス米の輸入も必要なくなる。そうすれば、食料自給率も向上する。処方箋はもうできているんですよ。
―― 農協以外の誰もが得をしますね。
山下 それだけではありませんよ。国内消費しか視野になかったため、日本の農業生産は縮小してきました。確かに、日本の人口は減少しますが、アジアに目を転じれば、人口は増加していく。自動車や電機産業は海外マーケットに目を向けて発展してきました。これまで、国内の農業は国内市場の保護一辺倒でしたが、同じように海外市場に目を向けるべきでしょう。
「ストーブとクーラーを同時にかけている」
食料自給率40%ということは世界の他の国から60%の食料を輸入しているということ。国際市場で食料を調達し、食料の調達に苦しむ途上国の飢餓を増幅させているということです。減反政策をやめ、コメを増産し、コメを輸出すれば、食料安全保障に必要な農地を確保できるだけでなく、国際的な食料安全保障にも貢献できる。
―― それだけ問題の多い政策が、よく40年近くも続きましたね。
山下 1970年の時は緊急避難でした。故・渡辺美智雄氏が言っていたそうですが、この減反政策はストーブとクーラーを両方かけているようなものだと。「高米価」というストーブをつけて生産を振興しているにもかかわらず、「減反」というクーラーをかけて冷やそうとしている。
―― うまい表現ですね。
山下 これまで減反政策にあまり不満がでなかったのは国民が豊かだったことが大きい。コメが少々高かろうが、コメを買えた。ところが、最近になって事情が変わりました。今回の金融危機で相当の失業者が出ることは間違いない。この人たちにとって、高米価は死活問題です。はっきり言って、高い米価を維持する消費者負担型の農政は逆進的。貧しい人ほど、影響を受ける悪い政策なんですよ。それに対して、直接支払いによる財政負担型農政は税で負担しているわけですから累進的でしょう。
農業団体の言動にも大きな矛盾
これは笑い話ですが、消費税を導入した時、農業団体は「食品に課税することは逆進的なのでやめるべき」と言っていた。でも、逆進的な米価政策を強硬に主張しているのは当の農業団体なわけです。本音は別のところにあるんですよ。自分たちが日頃していることと、言っていることが100%矛盾しているということに全く気づいていない。
―― 政府は減反見直しにどこまで踏み込めますか。
山下 僕は各地の生産者と話す機会が多いんだけど、僕の話に理解を示してくれる主業農家の人は多いよ。よく聞くんだ。「僕が言っていることに間違いはありましたか」と。すると、「いや1個もありません」って。徐々に理解されつつあると思う。今年は農政の指針となる「基本計画」を見直す5年に1度の年。大きなチャンスですから、減反政策を見直し、保護一辺倒ではない農政を目指してほしい。