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投稿者 ヤマボウシ 日時 2008 年 10 月 05 日 13:08:33: WlgZY.vL1Urv.
 

Like a rolling bean (new) 出来事録
http://ameblo.jp/garbanzo04/day-20081005.html>

2008-10-05

【緊急カンパの情報を転載します】 「もやい」がサブプライムの荒波で窮地にあります!

先ほど東京新聞のこちらのニュースで知りました。記事では緊急カンパの連絡先が挙げられています。

また、湯浅誠さんの著書から重要な観点を後半に記載します。

東京新聞

『サブプライム』の荒波無情 ホームレス支援『もやい』SOS

2008年10月5日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008100502000094.html

ホームレスやネットカフェ難民などの生活困窮者を支援している特定非営利活動法人(NPO法人)「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都新宿区)の活動が、後援企業の破産で窮地に立たされている。もやいは、生活困窮者がアパートに入居する際に連帯保証人となり、後援企業が家賃保証や寄付をしていた。湯浅誠事務局長は「住居の確保は人間らしく生きるための最低限の基盤なので、活動を続けたい」とカンパなどの支援を募っている。 (菊谷隆文)

 破産したのは不動産会社「リプラス」(東京)。もやいのアパート入居支援活動に賛同し、二〇〇六年四月から、一人六カ月分の家賃保証と、もやいに毎年約千三百万円を寄付してきた。

 しかし、リプラスは米サブプライムローン不況などの影響で経営が悪化。九月二十四日、破産手続きを東京地裁に申し立てた。もやいは年間予算の約40%を失う。残る収入は、一般の人や企業からの寄付と、会費、連帯保証人申込者の保証料(一人二年間八千円)だけになる。

 もやいに連帯保証人になってもらい、アパートに入居できたのは首都圏を中心に約千三百五十世帯に上る。

 ネットカフェや個室ビデオ店などで寝泊まりしている人の場合、日雇い労働などで収入があっても、保証人がいなかったり、まとまった蓄えがないために敷金・礼金などが払えず、アパートを借りられないというケースが多い。現在も毎月約百件の生活相談がある

 湯浅さんは「支援企業を探しているが、当面の危機を乗り切るため、緊急のカンパをお願いしたい」と話す。カンパは一口五万円。振込先は、ゆうちょ銀行振替口座00160−7−37247。口座名は「自立生活サポートセンター・もやい」。

(写真は東京新聞から:『夕暮れになっても「もやい」の生活相談が続く=東京都新宿区』[略])

湯浅さんの著書を読んだとき、「もやい」の立ち上げにあたり、「アパートの連帯保証人になるとは無謀だ」というようなことを周囲から進言されたものの、事実としては95%の方がそこから自立を果たしている、むしろ想像していなかった危機は相談者が多く対応のキャパシティを超えたことだ、という趣旨のことが書かれていました。

また、もやいの支援でアパートに入り、たたみの上に20年ぶりにたたみで寝ることができた方のお話や、自分でお味噌汁を作って食べ「ああ、ようやく帰ってきた」と話された方がいたこと、アパートに入って職探しをし社会への自立的な復帰を果たされた方々のエピソードを拝読していました。

しかし、思いがけないところで苦境が生じました。

金融危機は、「一部の持てる者たちが、金融工学で庶民の住宅すら切り刻んで弄びレバレッジをかけて窮地にはまったのならそのツケはその持てる者たちが取ればよい」と切り捨てることができないほどに、その弊害がこうしたところにまで侵食しています。どのような事態でも、必ず最初に弱い対象が足元を挫かれます。

もやいの湯浅誠さんによる、『反貧困』(岩波新書)の下記目次の「第三章」から、一部抜粋します。

反貧困―「すべり台社会」からの脱出
湯浅 誠著
(新赤版1124)
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0804/sin_k407.html

■目次
 まえがき

第I部
貧困問題の現場から

第1章
ある夫婦の暮らし

第2章
すべり台社会・日本

1 三層のセーフティネット
2 皺寄せを受ける人々

第3章
貧困は自己責任なのか

1 五重の排除
2 自己責任論批判
3 見えない“溜め”を見る
4 貧困問題のスタートラインに

第II部
「反貧困」の現場から

第4章
「すべり台社会」に歯止めを

1 「市民活動」「社会領域」の復権を目指す
2 起点としての〈もやい〉

第5章
つながり始めた「反貧困」

1 「貧困ビジネス」に抗して―エム・クルーユニオン
2 互助のしくみを作る―反貧困たすけあいネットワーク
3 動き出した法律家たち
4 ナショナル・ミニマムはどこに?―最低生活費と最低賃金

終 章
強い社会を目指して

あとがき

第3章の「貧困は自己責任なのか」から、「1 五重の排除」の抄:

第三章 貧困は自己責任なのか

1 五重の排除

五重の排除とは

 第二章で見たように、多くの人たちが、年齢や性別、そして世代を超えて「すべり台」を落ち、貧困状態に陥っている。図1(二〇頁参照)(※)は、その一端を俯瞰したものだった。しかし実際には、生身の人間が社会全体を俯瞰する位置に立つことはできない。人々は、それぞれのネットの上で暮らしており、また一部の人たちは、現実にその穴を落下していく。

 政治家でも官僚でも評論家でもなく、落下する人たちと日々接している私たちは、その人たちの視線で物事を捉え直す必要があるし、そこからしか見えてこないものがある。貧困状態に陥る人々の視線で社会を見るとき、「穴を落ちる」というのは、それぞれのセーフティネットからの排除を意味する。正社員になりたいのに面接で何度も落とされる。登録しているのに仕事を回してもらえない。生活保護の申請に行っても追い返されるというのは、当の本人の経験としては、はじき出される(排除される)ことに他ならないからだ。

 これまで述べてきたことを踏まえて、私は貧困状態に至るには「五重の排除がある」と考えている。

 第一に、教育課程からの排除。この背後にはすでに親世代の貧困がある。

 第二に、企業福祉からの排除。雇用のネットからはじき出されること、あるいは雇用のネットの上にいるはずなのに(働いているのに)食べていけなくなっている状態を指す。非正規雇用が典型だが、それは単に低賃金で不安定雇用というだけではない。雇用保険・社会保険に入れてもらえず、失業時の立場も併せて不安定になる。かつての正社員が享受できていたさまざまな福利厚生(廉価な社員寮・住宅手当・住宅ローン等々)からも排除され、さらには労働組合にも入れず、組合共済などからも排除される。その総体を示す。

 第三に、家族福祉からの排除。親や子どもに頼れないこと。頼れる親を持たないこと。

 第四に、公的福祉からの排除。若い人たちには「まだ働ける」「親に養ってもらえ」、年老いた人たちには「子どもに養ってもらえ」、母子家庭には「別れた夫から養育費をもらえ」「子どもを施設に預けて働け」、ホームレスには「住所がないと保護できない」---その人が本当に生きていけるかどうかに関係なく、追い返す技法ばかりが洗練されてしまっている生活保護行政の現状がある。

 そして第五に、自分自身からの排除。何のために生き抜くの、それに何の意味があるのか、何のために働くのか、そこにどんな意義があるのか。そうした「あたりまえ」のことが見えなくなってしまう状態を指す。第一から第四の排除を受け、しかもそれが自己責任論により「あなたのせい」と片付けられ、さらには本人自身がそれを内面化して「自分のせい」と捉えてしまう場合、人は自分の尊厳を守れずに、自分を大切に思えない状態にまで追い込まれる。ある相談者が言っていた。「死ねないから生きているにすぎない」と。周囲からの排除を受け続け、外堀を埋め尽くされ他状態に続くのは、「世の中とは、誰も何もしてくれないものなのだ」「生きていても、どうせいいことは何一つない」という心理状態である。

 期待や願望、それに向けた努力を挫かれ、どこにも誰にも受け入れられない経験を繰り返していれば、自分の不甲斐なさと社会への憤怒が自分のうちに沈殿し、やがて暴発する。精神状態の破綻を避けようとすれば、その感情をコントロールしなければならず、そのためには周囲(社会)との折り合いをつけなければならない。しかし社会は自分を受け入れようとしないのだから、その折り合いのつけ方は一方的なものとなる。その結果が自殺であり、また何もかもをあ諦めた生を生きることだ。生きることと希望・願望は本来両立すべきなのに、両者が対立し、希望・願望を破棄することでようやく生きることが可能となるような状態。これを私は「自分自身からの排除」と名づけた。

 セーフティネットの欠如を俯瞰する支店から、排除され落下していく当事者への支店へと切り替えるとき、もっとも顕著に見えてくる違いが、この「自分自身からの排除」という問題である。先の図1は、あくまで「外」からの視点であり、それをどれだけ矯めつ眇めつしてもても、「自分自身からの排除」という観点は出てこない---こうした現状については理解できる人でも、「自分自身からの排除」については、なかなか想像が及ばない場合が多い。「そんなふうに考えなくてもいいじゃないか」と個人の問題をどうしても見出してしまい、「自分は絶対そうはならない」と言って切り捨ててしまう。貧困問題を理解する上で、一番厄介で、重要なポイントでもある(なお、以下の記述とは別の事例から「自分自身からの排除」を説明したものとして、仁平典宏・湯浅誠「若年ホームレス---「意欲の貧困」が提起する問い」 本田由紀『若者の労働と生活世界---彼らはどんな現実を生きているか』大槻書店、二〇〇七年がある)。

(※)

雇用・社会保険・公的扶助の3段階のネットを解説した東京新聞『生活図鑑』2007年3月25日を、湯浅さんはこの著書で引用されています。

以下URLの東京新聞のサイトでも図のサムネイルを見ることができ、またバックナンバーの購入も可能です。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/seikatuzukan/2007/CK2007032502003947.html

この東京新聞の記事で示された三段階のセーフティネットは、現在発生している問題の社会システムの設計との関係を俯瞰する上で役立つ図で、またその脆弱性の理解を助けるものだと考えています。

しかし、さらに湯浅さんが書かれているように、社会システムという仕組みの面に加えて、現実の貧困の当事者にとって支配的な、「自分自身からの排除」といういっそうの深刻な抜けがたい枠がはめられていることが分かります。

加えて、その事実に絡めとられた人々(自己責任論によって追い詰められた)に、非現実的で不躾な自己責任論を追い討ちのようにかぶせることの非道さを忘れるわけにはいかないと考えます。

東京新聞から支援先の転記を再掲します。

賛同企業がないか、各自のネットワークで一口分が集まらないか、わたし自身も考えてみたいと思います。

◆ 湯浅さんは「支援企業を探しているが、当面の危機を乗り切るため、緊急のカンパをお願いしたい」と話す。カンパは一口五万円。振込先は、ゆうちょ銀行振替口座00160−7−37247。口座名は「自立生活サポートセンター・もやい」。

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