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先日ラジオで老歴史学者が嘆いていた。「百年に一回といえばなんでも許されるのか。今時の経営者はモラルがない。あの世界のソニーまでもが」。矢沢永吉のテレビコマーシャルと同じ言葉を使ってまで彼がかみ付いたのは、昨年十二月ソニーの中鉢良治社長が一万六千人のリストラを発表した記者会見での「株主の期待は……雇用を優先して損失を出すことではない」という発言である。彼は続ける。「生産部門より財務部が権限を持ち、……金融工学とやらでワケのわからぬ合成証券に手を出し破産した。戦後日本の繁栄は株主より従業員を大切にした日本型資本主義が支えた。それをアメリカと同じ暴走資本主義の国にしようと……小泉・竹中コンビの所業です」。 彼が指摘するように「日本を代表する大企業」の経営者の驚天動地な言動が続いている。二年前に朝日新聞がキャノンの「偽装請負」を指摘したことにより、宇都宮と大分の工場が労働局から是正勧告を受けた。怒った御手洗は経団連会長であることも忘れて盗人たけだけしく「偽装というがおかしいのは法律の方だ。法律を変えるべき」と居直り、他方では朝日新聞への商品広告を一年半にもわたって中止し、当時経団連の副会長を出していた松下電器もそれに追随した。昨年秋には前経団連会長であるトヨタの奥田硯が年金問題で新聞やテレビが厚労省批判を繰り返したことに対して「マスコミに対し、なんか報復でもしてやろうかな。たとえばスポンサーにならないとか」と広告料を持ち出して自由な言論を封殺しようとするあからさまなどう喝を行った。 こうしてみると「モラルを欠いた発言者」に共通しているのは「規制緩和」に乗った「勝ち組」であり、財界総理と呼ばれる経済界の中枢に位置する者たちの傲慢不遜の現れだ。老学者の気持ちはわかるが、戦後日本の中心に位置した経営者に「人間らしいモラル」があったと思えない。何度となく繰り返された炭鉱での爆発や落盤事故、被災者が拡大し続けても工場排水のたれ流しを認めなかったチッソ水俣など例をあげれば切りがない。 戦後直後には米占領軍があり、その後は産別―総評に体現された一定「強固」な労働組合運動が存在し、かつ労働基準法を含む労働三法が経営者を規制していた結果、彼らもまた安易な言動ができなかったに過ぎない。六〇年代後半企業との一体をめざすIMF・JCが台頭し、総評が解体され、国労を中心とする公労協などの戦闘的な労働組合運動が後退する。この機を利用して労働三法が改悪された。これが労働者を人間としてみない「傲慢」な経営者の登場を許した。 昨日書店でオリックス宮内義彦の「経営論 改訂版」を手にした。彼は早くから「かんぽの宿」をねらっていたことがわかる。彼もまた「モラル」なき「規制緩和」の政商といえる。 彼らを統制できるのは労働者の闘いだけである。 (武) |