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12月28日22時42分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081228-00000564-san-soci
急速な景気悪化の荒波にもまれて、年の瀬を迎えた低所得者らが切迫感を募らせている。家賃が払えず着の身着のまま夜逃げする母子家庭、日雇いの職を得てようやく年越しの住まいを得た単身者。公共料金の滞納も増加するなど、厳しい世相を映し出す現状に、家賃保証会社の担当者らは「来年は家賃滞納者がもっと多くなるのではないか」と危惧(きぐ)している。
■普通の家族が…
26日、神戸市内のアパート。郵便受けに投げ込まれた公共料金の督促の封書とともに、玄関先には大人と子供の靴が7足ほど並んでいた。2DKの室内には、投げ捨てられたように散らばった衣類の山。その中におもちゃや子供が描いた絵などが、無造作に残されていた。
部屋中の物をかき出して必要な物だけを持ち去ったような、切羽詰まった緊迫感が漂う。居住者は派遣社員だった40代の母親と子供。電気、ガスのほか水道まで止められ、10、11月分の家賃計6万円余りを滞納して行方不明となった。
家主側から依頼を受けた業者の社員が、次々と段ボールに物を詰め込み、一時保管する倉庫に運ぶ。
「昔と今では、夜逃げといっても様相は全く違います」。業務を請け負った大阪府高槻市の便利屋業「マック」の小林政生社長(52)は話す。
家財道具のリサイクルを副業とする小林社長自身、以前は夜逃げの手伝いの依頼も受けた。当時は事業に失敗した人が多く、値打ちのある家財道具などを運び出すケースが主だった。しかし最近は、家賃が払えない普通の家族が家財道具を置いて逃げることが多いという。
■「仕事がない」
クリスマスイブの24日、大阪府内の家賃保証会社の担当者(35)の携帯電話が鳴った。大阪市内に住む滞納者の男性(42)からの電話。家賃3カ月分を払えず、24日までに1カ月分3万7000円を納められない場合、退去が決まっていた。料金滞納で携帯電話も止められ、公衆電話でかけてきた。「あかんかったか…」。担当者の声が沈んだ。
家賃保証会社は、家賃1カ月分の3〜9割程度にあたる保証料を借り主から受け取って保証人となり、滞納時には家主に家賃保証する一方、肩代わりした家賃を借り主から回収する。
担当者が駆けつけると、男性はもはや野宿覚悟だったものの、近くの市場で日給7000円の仕事に就いていた。
「年明けなら家賃が払える」。男性の言葉に担当者は大家と交渉、退去はひとまず見合わせとなった。4畳一間の狭い部屋だが、男性は年を越せる。「彼が野宿しないで正月が迎えられるのでよかった。私も仕事だけど、やっぱり情も出てきますしね」とホッとした表情を見せた。
この担当者は毎日10〜15人の滞納者に電話をかけたり、直接訪問したりする。会社が扱う物件では年間約300件滞納が発生し、100件ほど借り主が行方不明になる。今秋以降、不況の影響を受けた建設作業員らの滞納が目立つようになった。「仕事がないし、見つからない」。困窮した声を最近よく耳にする。
■公共料金も
別の家賃保証会社の社員(48)は「生活保護や年金受給者の滞納が多くなってきた」と話す。
保証会社を使えば、保証人がいなくても物件を借りにくい高齢者や低所得者も利用できる。しかし不況などの影響で「ここ数年、全体的に生活レベルが下がってきている。今は何とか年を越せても、来年は滞納者がもっと増えるのではないか」と危惧する。
電気、水道、ガスなどの公共料金も、滞納状況は同様。大阪市水道局によると、今年4〜11月では、滞納率は13・31%(前年同期11・75%)、滞納が続いて停水となったのは6393世帯(同5802世帯)と、いずれも前年に比べ増加している。
同局の担当者は「景気が悪くなると、確実に徴収率は悪くなるのです」と表情を曇らせた。