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http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/0001620841.shtml
定額給付金、富裕層の動向は 意外に堅実、辞退は少数?
「国の将来につながる制度にするため、子どもだけに給付金を支給するのも一案では」と話す森さん=神戸市東灘区、甲南大
生活支援を目的に、国が一人当たり一万二千円(十八歳以下と六十五歳以上は八千円加算)を支給する定額給付金。「富裕層にお金を配るのはおかしい」との批判が出たが、事務作業が煩雑なことなどから「自治体が高額所得者に辞退を呼び掛けることは可能」という中ぶらりんな形に落ち着いた。だが、彼らは本当にそうした行動を取るだろうか? 富裕層とその家族の実態調査を続けてきた甲南大経済学部准教授の森剛志さん(家計経済)は、きっぱりと「ノー」と言う。(新開真理)
「多くの人は『お金持ちの妻は豪邸に住む専業主婦で、消費好き、ブランド好き』というイメージを持っているかもしれない。だが実際は堅実な倹約家が多く、見えっ張りでもない」
森さんらは二〇〇三年以降、高額納税者名簿に連続して載っている人(約二千-一万サンプル)を対象に、職業や学歴▽消費・貯蓄行動と意識▽親子関係や遺産の授受-などを調べてきた。〇七年には、同名簿に載っている人の妻を対象に同様の調査(約二千サンプル)を行った。
また、給付金を高所得者層に配るべきかをめぐる論争の後、調査対象者の一部にメールで意見を聞いた。
「大半は、辞退しないと回答した。政府は『お金持ちは小額の金銭にこだわらない』と、おっとりした人物像を描いているようだが、それは誤り」と森さんは指摘する。
経済効果については、約三千二百億円と試算。「低中所得者は給付金をローンの返済や貯金に回す可能性が高く、消費する見込みがあるのは高所得者層だ。だが、その層が受け取りを辞退すれば経済効果はさらに小さくなる-という皮肉な結果が予想される」と説明。定額給付金は「公平性、効率性ともに問題がある」とみる。
一連の論争では「夫だけが高額所得者の場合、家計は同一でも妻には辞退を求められない。実態と合わない」との意見も出た。これに関し森さんは「富裕層はその多くが自営業であるため、家族を役員にして所得を分散し、節税している。フランスなどは家族がいる人に有利な税制を採用しているが、日本の富裕層はそれを独自に取り入れていると言える」と解説する。
今回の給付金をめぐる動きは、個人単位で課税する現行税制度の構造的な問題も、あらためてクローズアップしたと言えそうだ。
もり・たけし 1970年生まれ。京都大大学院修了。主な共著に「日本のお金持ち研究」「日本のお金持ち妻研究」。
(12/19 11:18)