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12月19日6時12分配信 河北新報
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000008-khk-l03
非正規労働者の大量解雇が表面化し、失業と同時に、派遣会社が借り上げる寮やアパートから追い出される人が岩手県内でも増えている。雇い止めや派遣切りが2011人(17日現在)と東北最悪の県内では「住む所がない」と地域を離れる人も現れた。国や行政の住宅支援も限定的で、特に派遣会社が集中する県南部では「人口減少」の足音も聞こえ始めた。
(北上支局・高橋鉄男、水沢支局・宮崎伸一)
<先が読めぬ生活>
「紙切れ一枚で切り捨てられるのか」。トヨタ系の関東自動車岩手工場(金ケ崎町)に派遣されて働いていた男性(26)は11月下旬に派遣会社から渡された解雇予告通知書を見ながら途方に暮れる。働けるのは今年いっぱい。そして寮も出なければならない。
男性が古里の弘前市を離れて工場で働き始めたのは9月。「派遣先はたくさんあるので職場と住居は心配ない」(派遣会社)との触れ込みだった。寮は工場に近い金ケ崎町内にあり派遣会社の所有。50人が入居し、全員が来月5日までには寮を去る。
男性はこの先を読めない。まず懐具合が寂しい。現在は研修中のため手取りは寮の家賃を引かれて月7万円程度。預貯金はほとんどなく、新しい部屋を借りる敷金礼金はおろか、利用料金の滞納で携帯電話も使えない。
仕事探しは周辺工場の派遣求人が激減しており、望みは薄い。だから友人を頼って愛知県に行くことを決めた。「愛知で職が見つかる保証はない。いつまでも友人の部屋に居候もできない。弘前を離れて、まだわずかなのに…」と話す。
「実家の盛岡市に戻るしかない」と同僚の24歳男性。「夫婦どちらかの実家を頼ることになるが、突然で困り果てた」と別の派遣会社を解雇された34歳男性は話す。岩手県南で住まいを追われる非正規労働者たちの不安を訴える声は悲痛だ。
<優先入居できず>
不動産会社にも暗い影が差す。北上市内のある業者は今月初め、取り扱う数百室のうち派遣業者による法人契約が約70室解約された。今では100室を超え、「住人が個人契約への変更を申し出てくる。でも、コンビニなどアルバイト希望者が殺到して仕事が見つからないみたいで、契約継続もなかなか難しい」(担当者)という。
事態を重くみた全国の公共職業安定所は15日、解雇された非正規労働者に雇用促進住宅への入居などを勧める相談業務を始めた。
しかし、雇用促進住宅も政府方針で廃止が決まっている。既に県内65棟のうち50棟が全面入居停止で花巻、大船渡など5地域には入居できる部屋がない。10月末時点で空き部屋があるのは盛岡、一関両市などの約260室だ。
県労政能力開発課は「県などの公営住宅は入居率が高くて余裕がなく、まずは職安に対応してもらう」と話す。今のところ県も工場の周辺自治体も、失業した非正規労働者への優先入居支援は行っていない。
住宅問題が拡大化するにつれ、北上市の人口は10、11の両月で43人減少した。昨年12月に経済産業省の「企業立地に頑張る市町村20選」に選ばれ、雇用の創出を人口増につなげてきた市にとって「まだ氷山の一角」(ある市議)に映る。
伊藤彬市長は「大量解雇に大変なショックを受けている。住宅や雇用対策、企業への要望など、できる対策をひねり出したい」と強調している。