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トヨタ系部品メーカー、偽装請負を内部告発した期間工を更新日3日前の雇い止めで“報復”
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081202-00000002-mnj-soci
12月2日19時52分配信 MyNewsJapan
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雇い止めの無効を求め提訴した埼玉地裁熊谷支部前でアピールする安田美貴さん(中央)。
安田美貴さん(仮名・29歳)がジェコーの本社工場(埼玉県行田市)で働き始めたのは2001年5月。大手請負業者日研総業と雇用契約を結び、請負の形で派遣された。
ジェコーは従業員約500名の自動車部品メーカーで、親会社であるデンソーが34%、トヨタが15%の株を保有し、社長はデンソーから継続的に派遣されている、典型的なトヨタ系部品メーカーだ。
勤務は昼勤の約束だったが、派遣されて3日後くらいに、夜勤を言い渡され、その後7年間にわたり夜勤を続けることになった。
夜勤の製造ラインで女性は安田さん一人。燃費を向上させるための部品である電流センサーの組み立て業務についている。目と神経を使う仕事で、作業は全て立ち仕事だ。
勤務は平日の午後6時25分から午前3時25分までの9時間拘束。 夜勤の後は日研総業が借り上げた寮に戻り、食事、風呂、せんたくなどを済ませてから午前8時頃に寝るが、昼間の物音がするために熟睡はできず、起きた時にも疲労感が残る。
「だんだん体がきつくなり、25歳になった頃には疲れがとれなくなり、遊びにいっても楽しさが出てこなくなりました」
基本給は、1日8時間勤務で6500円。夜勤手当1400円と残業代がつくが、水道光熱費とは別に寮費2万7000円などが天引きされ、手取りは10万から12万、少ない月は8万円以下だった。
貯金はできず、ローンが組めないために車も買えない。外食ではお金が持たず、食事は全て自炊だったという。
「それでも、他に帰る場所もないし、就職活動をするにもできない状態なので、働くとしたらこの場所しかないかな、と考えていました」
ジェコーの社員と一緒の製造ラインで働き、ジェコー社員のリーダーから業務の指揮命令を受けていた安田さんは、JAM神奈川ジェコー労働組合の組合員から、それは偽装請負で法律違反だ、と教えられ、2005年11月に組合に入った。
組合を通してジェコーに待遇改善を要求したが、会社が応じないため、2007年6月末に埼玉労働局に申立書を送って偽装請負を告発した。
この告発を契機として、ジェコーは偽装請負状態で働いていた従業員を期間工として直接雇用に切り替え、安田さんの手取りは月約15万円と3万円ほどアップした。
2008年4月26日からは、6ヶ月の契約期間となる機関従業員として契約した。
しかし、7年間にわたる夜勤を続けてきた安田さんの体調は悪化し、仕事に出られない日が多くなった。
今年2月には「不眠症、胃炎、頭痛」などの診断が下り、その後、「自律神経失調症」の病名も加わり、4月からはほとんど出勤できなくなった。8月頃には「うつ病」と診断された。
診断書には、「原因として夜間勤務による身体的、精神的ストレスが考えられます」と明記されていた。
就業規則によれば、業務上による疾病の場合、会社は3年間解雇できない、とされている。
ところが、契約更新日3日前の10月22日に会社から呼び出しがあり、翌日の総務部長と取締役との面談で、「就業規則に30日間を超えて病気で休んだら更新がないと記載がある。6ヶ月間の猶予を与えたが、改善も見られなかった。10月25日で辞めていただく」と一方的に告げられた。
安田さん以外にも、少なくとも2名の組合員が、更新日の2、3日前に雇い止めを通告された。
厚生労働省が告示した「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」には、「使用者は、〜中略〜期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない」と定められている。
11月4日、安田さんたち3名の組合員は埼玉地方裁判所熊谷支部に雇い止めの無効を訴えた。
ジェコー労組の武田信義委員長は、「ぎりぎりのところで低賃金で働かせた人たちを、景気が悪くなれば放り出す。実質的に、企業はホームレスを作っている」と憤る。
原告弁護団は、「偽装請負を告発したことと、今回の雇い止め通告とは関係があると考えている」と語り、病気についても会社に労災を認めるよう求めていくという。
第一回の裁判は、来年1月末に埼玉地裁熊谷支部にて開かれる予定だ。
(伊勢一郎)
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最終更新:12月2日19時52分