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http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/list/CK2008111702000195.html
今日、私の友人の若い精神科医が亡くなったことを知りました。亡くなってから、２年の月日がたっていました。水谷にだけは、知らせないように、知られないようにと、遺書に書いてあったそうです。自殺でした。
私は、彼と、今から１１年前に知り合いました。１１年前に、東北のある町で、薬物乱用問題について講演をしました。一番前の席で、目を輝かせながら熱心にメモを取る一人の青年が彼でした。講演後、彼は、私の控室に訪ねてきました。そして矢継ぎ早の質問です。答えても答えてもきりがなく、私は、その夜、飲み屋で彼と一杯飲みながら、夜遅くまで語り合いました。
彼は、大学の医学部を卒業し、インターンを終え、その町の大きな精神科の病院に勤務したての精神科医でした。「水谷先生、この町には、多くのこころを病んでいる子どもたちがいます。先生の専門の薬物に明日を奪われていく子どもたちも。私の、小学校や中学の同級生の何人もが、こころの病や薬物で亡くなっています。私は、彼らを助けたいんです」。彼の目は、私の目を射すくめるほど、熱くなっていました。
私は、彼に言いました。「先生、私たちは、こころを病んでいる子を助けることも、薬物を乱用する子を救うこともできないんですよ。ただ、多少命を守り、教えることができるだけです。子どもたちは、自分で自分を救うしかないんですよ。先生、私は医師でなく、教員でよかったと思っています。教員の仕事は、教えることであって、救うことではないですから」。彼は、私の大切な友人、そして生徒になりました。
私は、彼に東北地方の多くの薬物の魔の手に捕まった子どもたち、こころを病んでしまった子どもたちを預けました。でも、いつも、彼は重かった。私が預けた、薬物乱用の女の子が、病院内で自殺した時は、彼は行方不明になりました。数日後に戻りましたが、自分を責め続けていました。私は、彼に子どもたちを預けることをやめました。そして、彼にいつも、この問題から離れるように伝えました。
彼は、その度に「水谷先生、私は、大丈夫です。ともかく子どもたちを助けないと」。熱く語りました。そして、ついにかかわっている一人の少女の自殺の翌日に、命を絶ちました。哀（かな）しいです。
子どもたち、特に今だれかの悩みや相談にのっている子どもたち、人は人を救うことはできません。悩んでいる、苦しんでいる人に寄り添うことは、相談を聞くことは、その人の悩みや苦しみを、さらにその人の中で大きくしていきます。子どもたち、人の悩みや苦しみは聞かないこと。そのかわり、とびっきりの自分の夢を熱く話そう。
夜回り先生のエッセー
あきらめない絶望しても再び輝く【中日新聞】 08 年 10 月 27 日
http://www.asyura2.com/08/social6/msg/216.html
視覚と聴覚 美しいもの探して 【中日新聞】 08 年 9 月 22 日
http://www.asyura2.com/08/social6/msg/156.html
座禅の勧め 苦しみから解放されよう 08 年 8 月 11 日
http://www.asyura2.com/08/social6/msg/119.html
「自殺実態白書２００８｣・・・ 自殺者数の多い順 (1)愛知･豊田 /自殺理由 (1)長時間労働 【しんぶん赤旗】 08 年 7 月 06 日
http://www.asyura2.com/08/hasan57/msg/385.html
政府の統計には実態を表さないものが多い。自殺数について 08 年 6 月 22 日
http://www.asyura2.com/08/senkyo51/msg/359.html
精神安定剤＝合法麻薬の氾濫から、アメリカ、そして日本の病み具合が見える【USA TODAY】08 年 7 月 10 日
http://www.asyura2.com/08/senkyo51/msg/749.html
派遣社員がストライキ決行 奈良県の工作機械メーカー 08 年 11 月 13 日
http://www.asyura2.com/08/social6/msg/241.html
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