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http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2008102702000089.html
品質に問題がないのに、ラベルに印字ミスがあったり、賞味期限が近づいたりなどの事情で捨てられる大量の食品。それらを企業や個人から集め、物資が不足した人々に配る「フードバンク」の取り組みが全国で広がってきている。各地の関係者が集い、課題などを話し合う「フードバンクシンポジウム」も初めて開かれた。 (吉田瑠里)
東京都内で今月十六日に開かれたシンポには、主催のNPO「セカンドハーベストジャパン」(東京)をはじめ広島、沖縄、名古屋のフードバンクの運営者らが参加。冒頭であいさつしたセカンドハーベストジャパンのチャールズ・マクジルトン理事長は「毎日東京だけで六千トンの食料が捨てられている。これを再分配すれば社会が変わってきます」とフードバンクの意義を強調した。
フードバンクは米国で始まり、四十年以上の歴史がある。日本では二〇〇二年に「セカンドハーベストジャパン」が初めて設立され、食品の提供元も配布先も北海道から九州までと全国で活動を展開する。〇三年に兵庫県で設立された「フードバンク関西」(兵庫)は「地産地消型」を理想とし、関西の食品企業二百社に活動報告のニュースレターを送り続け、提供企業を広げてきた。
昨年から今年にかけ相次いで設立された各地のフードバンクも、それぞれ特色がある。広島市のNPO「あいあいねっと」を設立したのは、診療所やデイケア施設に勤務する管理栄養士、看護師ら。栄養指導を行う中で「指導は分かったが、食品を買うお金がない」と話す独居の高齢者が増えたと感じたことがきっかけだった。
「フードバンク沖縄」は豊見城(とみぐすく)市の主婦奥平智子(さとこ)さん(34)が昨年秋、一人で始めた。福祉施設に電話してチラシを配り、フリーマーケットにブースを出して食べ物を集める“体当たり”の活動で急成長中。
名古屋市のNPO「セカンドハーベスト名古屋」は昨年から月一回、ほとんどが仕事を持つ約十五人のボランティアが食料を母子福祉センターや児童養護施設などに届ける活動を始めた。
フードバンクの活動は、食品を提供している食品メーカーからも歓迎されている。カレー専門店チェーンの「壱番屋」(本社・愛知県一宮市)はセカンドハーベストジャパンに野菜パックを提供している。栃木工場長の青木義宏さん(51)は「提供しているのは具のジャガイモが煮崩れたもの。見た目は悪いが時間、手間を掛けて作ったもので捨てるより食べてほしい」と話す。
商品の提供を受ける福祉施設なども「食費の分を部活動などに回せる」と喜ぶ。母子福祉センターを通じて食品を受け取る愛知県半田市の石川美恵さん(47)は中学三年の息子と二人暮らし。「食べ物をいただくと、プレゼントのようにうれしい」と話す。
良いことずくめのようなフードバンクだが課題は資金面。各運営団体は企業や個人からの寄付などでやりくりしている。フードバンク関西の事務局を担当する浅葉めぐみさん(60)は「メンバーがテレビに出た時の出演料も貴重な資金源。最近はガソリン代も高く、運営は綱渡り」と打ち明ける。さらに人材の問題もある。企業への説明や食品の受け取りなどには常時対応できるスタッフが必要だが、セカンドハーベスト名古屋の鈴木二郎代表(39)は「メンバーは仕事があるので、平日の昼間に動ける人が少ない」と嘆く。
しかし、フードバンクの活動は少しずつ浸透しており、浅葉さんは「最近は主食の米や、安売りせずブランドイメージを守りたい老舗企業からの提供が増え、受け取る障害者が喜んでくれ、エネルギーになっている」。
食品の寄付などの問い合わせは、セカンドハーベストジャパン=電03・3838・3827かセカンドハーベスト名古屋=電052・913・2810=へ(名古屋は個人からの食品寄付は受け付けていない)。