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http://www.chunichi.co.jp/article/feature/yomawari/list/CK2008102702000157.html
先日、私の講演に、中学校時代の私の友人が、家族と来てくれました。中学時代、彼はスポーツ万能、そして成績も優秀、みんなに好かれる男でした。私は、先生方の管理主義にいつも抵抗し、わが道を行くと、いつも1人で突っ張っていましたが、そんな私にとって大切な友人でした。いつも2人で未来を語り合っていました。
彼は、自動車会社に勤め、夢のようなスポーツカーを作ることが夢でした。彼は、高校、大学と順調に学び、夢の通り、ある自動車会社の開発部門に就職しました。そして、30代で日本が世界に誇ることのできるスポーツカーの開発の中心にいました。中学時代の同級生と結婚、2児の父親としても幸せな日々を過ごしていました。そのころの彼は輝いていました。会うたびに、私に新しい車のすごさを熱く語っていました。
ところが、彼は、38歳の時に視力を失いました。交通事故でした。会社も私たち友人も家族も、必死で彼を支えました。しかし、彼は荒れました。生きる気力を失い、酒浸り。私が彼の家に行っても会うことすら拒否されました。私は、彼の奥さんと連絡を取り合い、ただ待つことしかできませんでした。奥さんから、彼がマッサージ師の資格を取り、働き始めたことや、自分の店を出したことは、聞いていました。でも、私が会いたいと伝えると、その度に断られていました。
その彼が、家族4人で私の講演に来てくれました。白いつえをつく彼を、奥さんと2人の子どもが笑顔で支えながら来てくれました。講演後、彼と15年ぶりにお酒を飲みました。彼の家族も一緒に。彼は、昔のようにビールを立て続けに飲みながら、こう話してくれました。
「水谷、本当に久しぶり。俺(おれ)は14年前、視力を失い、すべての夢も希望も失い、生きることが嫌になった。家族には、いっぱい迷惑をかけた。働きもせず酒を飲んで暴れて。でも、そんな俺を立ち直らせたのは、お前だよ。お前は35歳の時、俺がやめろと言ったのに夜間高校に異動した。エリート教員の道を捨てて。でも、それからのお前は輝いていた。いつも夜間高校の恵まれない子どもたちのこと、熱く語っていた。きっと俺にも、家族のため社会のため何かができる、そう思ってマッサージを勉強。今は、美容のためのマッサージや病気予防のためのマッサージ、手広くやってるよ。水谷、俺は視力を失って、いっぱい最高のものを手に入れた。鳥の声や風が、時間や季節を天気を知らせてくれる。いいもんだよ。何より大切な家族の愛を」
みんなで、泣きました。
子どもたち、あきらめない。あきらめない。明日は、来ます。
夜回り先生のエッセー
視覚と聴覚 美しいもの探して 【中日新聞】 08 年 9 月 22 日
http://www.asyura2.com/08/social6/msg/156.html
座禅の勧め 苦しみから解放されよう 08 年 8 月 11 日
http://www.asyura2.com/08/social6/msg/119.html