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http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/bunmin/list/CK2008121402000136.html
【揺らぐ文民統制】
<5>オンブズマン 実態公表する仕組みを
2008年12月14日
「それは言い訳だと思います」。浜田靖一防衛相は珍しく声を荒らげた。防衛省で五日、行われた記者会見。この日も田母神(たもがみ)俊雄前航空幕僚長の論文問題が取り上げられた。
安倍晋三元首相が「戦後レジームからの脱却」と言うなど、政治家の発言が影響したのではないか、との問いに、浜田氏は「政治家が言ったから『私(田母神氏)が言っていい』ことにはならない」と否定した。
では、政治家は自分の言葉で歴史認識を語っているのか。
歴代首相のうち、村山富市氏が戦後五十年の節目に「植民地支配と侵略によって、多くの国々に多大な損害と苦痛を与えた」との談話を出した。麻生太郎首相は十月、衆院で「(村山談話を)私の内閣でも引き継ぐ」と答弁しただけで、自分の言葉で語ろうとはしなかった。
語らぬ政治家に代わり、制服組トップが歴史認識を語る逆転現象。だが、田母神氏の論文公表は、該当する条文がなく、自衛隊法違反には当たらないというのが防衛省の見解だ。田母神氏を更迭した根拠について、幹部は「政治判断というしかない」とする。
偏向が疑われる幹部登用試験、秘密裏に行う政治家への働き掛けなど、これまで見てきた自衛隊の実態は、外の世界から遮断された聖域にある。この聖域の中で、田母神論文が生まれ、さらには毎年九十人前後もの自殺者を出す事態を招いている。
「国民の目に見えない自衛隊、隊員たちが苦悩する自衛隊」でいいはずがない。解決策として「軍事オンブズマン(防衛監察委員)制度」の導入を提唱するのは、早稲田大学法学学術院の水島朝穂教授だ。
同じ敗戦国のドイツの場合、連邦議会から選ばれたオンブズマンが兵士からの苦情を受け付け、通告抜きで部隊訪問も行う。
「苦情の多くは海外派遣。『貧弱な装備で、危険なアフガニスタンでの任務を命じられている』という兵士の訴えが、報告書の形で議会に提出され、大きく報道される。軍内部の矛盾が表に出て、問題として認識されるわけで、風通しのよさは自衛隊とは比べものにならない」と水島氏は話す。
また、議会が軍人から報告を受ける仕組みは、米英など各国にある。日本でも制服組からの報告を求める声が上がったことがある。
次期戦闘機選定を議論した一九七六年八月の参院内閣委員会。社会党(当時)の秦豊氏は「制服組は100%知り得ている。内局はせいぜい80%、防衛庁長官は60%、国会は30%も知らされていない」と情報不足を問題にした。「じゃ国会とは一体何か、何をチェックできる、何がシビリアンコントロールだ」と話し、制服組に議会報告させるよう求めたが、「従来の慣行」を理由に一蹴(いっしゅう)された。
冷戦後、海外活動を通じて力を蓄えた自衛隊。抑える、隠すという従来の手法では、もはや収まらない。 =おわり
(この企画は編集委員・半田滋が担当しました)
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