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2008年12月14日 社説
[テロ新法成立]
給油の検証が不十分だ
海上自衛隊のインド洋での給油活動を可能にする改正新テロ対策特別措置法が成立した。麻生太郎首相は「国際社会の一員たる日本が補給支援活動を継続することは誠に意義深い」とし、「海上阻止活動はインド洋でのテロリストの行動を阻止、抑止している」との談話を発表しているが、果たしてそうだろうか。
活動が成果を挙げているというからには、給油の使途やニーズの検証が不可欠だが依然、不透明だ。
海上自衛隊の給油先は「テロリスト海上阻止活動に従事する艦船」に限定するとされるが、燃料がその通り使われているか疑問は残る。
実際、二〇〇三年二月には海自補給艦から間接的に給油された米空母がペルシャ湾に直行していたことが判明しているにもかかわらず、米国は今年一月に日本政府が要求した燃料の使途検証の明文化を拒否。個別具体的な検証は事実上できない。
給油量についても、〇一年度に十一万九千キロリットル、〇二年度十七万五千キロリットルだったが、〇七年度は一万六千キロリットル、本年度は十一月末までで一万一千キロリットルにとどまっている。
給油した燃料の最終的な使途の検証が不十分な上に、給油量も大幅に減少している現状で海上自衛隊を遠くインド洋にまで派遣する意味があるのだろうか。自衛隊の海外派遣の在り方も含めて、国民的な議論が必要である。
政府は給油活動についてより一層の情報公開と、国民が納得する検証方法を明らかにすべきだ。
この国が米国主導の「テロとの戦い」に参加したのは〇一年の米中枢同時テロがきっかけだった。同じ年に旧テロ対策特措法が成立、アフガニスタンでの対テロ戦の後方支援に限って海自の給油活動を始め、今に至っている。
麻生首相は改正対テロ新法に基づく、海自の給油活動継続について「テロとの戦いは日本自身のための取り組みである。引き続き国際社会において責任を果たしていく」としているが、抽象的で分かりにくい。
旧対テロ法から七年が経過し、アフガンはどうなったか。政府と武装勢力の抗争が激化するばかりで、沈静化の兆しは一向に見えない。政府はこの間の活動を再点検し、自衛隊の派遣に限定しないアフガン支援の方策を探るべきだ。
改正対テロ新法は、民主党など野党が多数を占める参院で否決され、衆院で自民、公明など与党側の「三分の二以上」の賛成多数により再可決された。
平和憲法や国の安全保障にかかわる重要法案だったが、国会での審議が十分尽くされたとはいえない。
与野党ともに衆院の解散・総選挙への対応を急ぐあまり、政局優先の国会運営となり、議論が深まらなかった。国会の使命は立法府として法案の審議を尽くし、成果を残すことにある。
与野党は、政府の対テロ活動を根本的に論議する努力を怠ってはならない。解散・総選挙の前に優先すべきは国民の目線に立った審議の充実であるべきだ。
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