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汚染米問題。ミニマムアクセスは義務ではない。中国はほとんど輸入を行っていない現実と解決法【Yahoo政治記事読みくらべ】
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/894.html
投稿者 ブッダの弟子 日時 2008 年 12 月 13 日 15:35:42: WrVq5GKL9DWTY
 

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全文
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20081209-01-1501.html


汚染米事件を招いたのは、ミニマムアクセス米の無意味な輸入だ。「高米価維持」の大方針を変えぬ限り、事件が再発しても不思議ではない。
 起こるべくして起こった、と言わざるをえまい。米粉加工会社「三笠フーズ」が農林水産省から工業用の糊として処分するために売却された汚染米を、焼酎、菓子などの加工用途、給食用などに不正に横流しした汚染米事件のことだ。
 問題のコメは、アフラトキシンというカビ毒や一般のカビ、メタミドホス、アセタミプリドなどの残留農薬で汚染されていた。そしてその後、三つの企業が同じような横流しをしていたことが判明した。
 汚染米八千三百六十八トンのうち、横流しされなかったことが確認できたのは、わずか二百十三トン。半分以上の四千二百六十三トンは横流し業者に処分されたことがわかっており、残りも調査中だ。ほとんどが横流しされたと考えてよい。
 工業用の糊向けに売却すると一トン一万円程度だが、焼酎などの加工用途だと七万円、食用なら二十五万円で売れるとの報道もある。横流しすると必ず儲かるのだ。
 農水省がカドミウム汚染米を、同じく工業用の糊向けに売却したことがあった。このときは、コメを粉々に粉砕したうえで、顔料のベンガラで赤い色をつけるという横流し防止処置を徹底した。当時の農水省は、用途によって大幅な価格差がある以上、横流しが起こるのは当然と考えていた。現在でもカドミウム汚染米には同じ処理をして売却している。
 ところが今回の汚染米については、そうした処理がなされなかった。
 特にアフラトキシンというカビ毒は自然界最高の猛毒で、カドミウムとは比較にならない毒性を持っている。九・五トンという量ではあったが、この汚染米は他の汚染米と同様、通常食用に市場流通しているのと同じ「丸米」という状態のままで、糊用として売却された。
 報道されているように、そもそも、現在では工業用の糊にコメはほとんど使用されていないにもかかわらずである。
 農水省が当初、五年間に九十六回も実施したと公表した売却後の横流し防止の検査についても、当の三笠フーズの担当者が、帳簿に名前のある会社に確認していれば不正は簡単に見抜けたはずだ、と話している。検査日を事前に三笠フーズに通告していた点も国会で追及され、担当局長は検査の杜撰さを認めた。

問題のすりかえが進行中?
 それでも、農水省の白須敏朗事務次官は「私どもに責任があると考えているわけではない」と述べ、さらに太田誠一農水相は「じたばた騒いでない」と発言し、消費者重視を内閣の看板に掲げていた退陣間際の福田首相に更迭された。
 ここまで販売・検査の不正・不備が出てくると、農水省は横流しされるのを知っていたのではないか、という疑いさえ向けられ始めている。
 そのようなことは信じたくないが、そうだとすると、政府は消費者の味方であるというイメージを広めるために、汚染米の流通先として一方的に社名を公表された菓子・焼酎業者などの方々は、あまりにも気の毒である。
 石破茂・新農水相は九月三十日、清酒約三万本分の自主回収を余儀なくされた熊本県の「美少年酒造」を訪れ、「第一の責任は農水省にある」と認め、汚染米を使用した業者に「大変ご迷惑をおかけしました」と陳謝した。
 実は、石破農水相は農業・農政問題に関して、永田町の中では特筆すべき知識と理論を持っている。自民党総裁選の最中には、汚染米問題の核心は高い関税で農業を守るという農政の根幹にあり、見直すべきだと主張しており、水田を票田としてしか捉えられない政治家とは違う。しかし、今のところその手腕を発揮しているとは言いがたい。
 九月二十二日、政府は汚染米を廃棄処分し、流通させないという対策をとりまとめたが、これは汚染米が発生した後にどうするかという対策であり、汚染米が発生しないようにするための根本的な対策ではない。
 また、農水省は二十八日、汚染米問題を受け、農水省全体の組織などのあり方を見直す、若手官僚中心の「改革チーム」を十月に設置することを決めた。これは「正論を言って疎んじられてきた」(石破農水相)若手課長ら約十人で構成されるという。
 しかし、過去に「正論を言って疎んじられてきた」者の杞憂かもしれないが、幹部が変わらない以上、正論を言っても大臣が代われば、いずれ飛ばされてしまう、と彼らは考えてしまうのではなかろうか。
 農水相就任後、石破氏が官僚からの“ご説明”を受けて、論点が、農水省の検査体制や組織の問題にすりかわってしまったとすれば、残念だ。まさか、大臣が「正論を言って」、農水省の事務方から「疎んじられた」わけではなかろうが。

せっかく核心を突いたなら
 問題の本質は何なのか。今回、問題を起こしたコメのほとんどは「ミニマムアクセス米」と呼ばれる輸入米である。
 一九九三年のウルグアイラウンド合意で、コメについて関税化の特例措置を採り、日本が輸入数量制限を維持した代償として、また、その後九九年に関税化に移行し、七七八%という高い関税率を設定することの代償として、日本が現在の消費量の八%に当たる七十七万トンを低い関税率で輸入することをWTO(世界貿易機関)に約束しているものだ。
 この「約束」は、実は一般的には輸入機会の提供であって、義務ではない。現に、中国は五百三十二万トンのコメのミニマムアクセスを設定し、その半分は国家貿易企業が輸入すると約束しているのに、ほとんど輸入していない。
 自由貿易の促進を目的とするWTOは、日本のコメのように高い国内農産物価格維持のための輸入禁止的な高関税を認めるかわりに、ミニマムアクセスという低関税の輸入枠を提供させることで、一定量の輸入を行なわせるようにした。中国の場合は、国内のコメの価格の方が安いため、ミニマムアクセス米が入り込む余地がないのだ。
 普通の民間貿易であれば、ミニマムアクセスで輸入されたコメも輸入国の市場で流通する。だが、日本の場合、政府は九三年のミニマムアクセス米受け入れに当たり、農家に対して、国内の需給、すなわち国内のコメの生産や価格には影響を与えないという閣議了解を行なった。
 このため、ミニマムアクセス米を輸入しても、市場から隔離される(一部は流通するが、それ以上の国産米を海外援助で処分する)ので、国内の需給は今までどおりで価格も下がらない。
 コメを輸入するのは、民間企業ではなく農水省という“国家貿易企業”であり、国が約束したものを国が輸入する以上、義務であるというのが政府の見解だ。
 その一方で、コメの高価格を維持し国内農家を保護するため、国家貿易企業による貿易で輸入しても、国の判断で流通はさせなくてもよいという措置を取っているのだ。
 こうして無意味に輸入されたミニマムアクセス米は、その大半が海外への食糧援助用などとして保管されている。海外から要請があるまで長期間保管せざるを得ない。ピーク時には、在庫はミニマムアクセス米の年間輸入量の三倍程度の二百三万トンにまで膨れ上がった。
 しかも国際的に流通しているコメは、国産米のように玄米ではなく精米の形態なので品質保持が難しく、カビが生えやすい。これを承知の上で輸入し、かつ長期間保管しているのである。
 その上、ミニマムアクセス米によって、膨大な財政負担が生じている。毎年トン当たり一万円の保管費用がかかり、百万トンの在庫なら財政負担は百億円にも達する。売却損益も入れると、九五年度から二〇〇六年度までで七百十六億円の財政負担がかかっている。
 いくら汚染米発生後の対策を講じたとしても、ミニマムアクセス米を保有する以上、汚染米は発生し、財政負担は増加し続ける。
 しかも、政府はWTOドーハラウンドで、ミニマムアクセス米をさらに消費量の五%上乗せし、百三十万トンに拡大する方向で交渉を進めている。八〇〇%近いコメの関税の削減を最小限にとどめ、高い関税を維持し、国内の高い米価を維持したいからである。
 この「高米価で農家所得を維持する」という戦後農政の矛盾・破綻がミニマムアクセスであり、汚染米発生の最大の原因なのだ。
 農水省は、水田の四割にコメを作らないという供給制限カルテル=減反により、高い米価を維持してきた。カルテル破りが発生しないよう、政府は毎年二千億円に上る補助金を出して、農家を減反に参加させている。総裁選中の石破発言は、高米価高関税ミニマムアクセス汚染米という問題の核心を突いたのだ。
 それなのに、石破農水相が決まったのと同じ日に、自民党農林部会は減反奨励金をさらに積み増して、米価維持のためにあらゆる手段を講じると決定している。
 そもそも海外のコメの値段の上昇で、内外価格差は大幅に縮小している。減反で維持している国産米の価格は六十キログラム当たり一万四千円、輸入している中国産米は一万円だ。八〇〇%もの高い関税など必要ない。五〇%もあれば十分なのだ。
 減反をやめると、さらに国産米の価格は低下する。これによってコメの値段が海外のコメの値段よりも低下したら、現在の七十七万トンのミニマムアクセス米すら輸入しなくても輸出国から文句は出ず、汚染米も発生しない。それどころか、国産米の価格は輸入米を下回るので、海外へ輸出できるようにさえなる。
 汚染米は農政の根幹にあるひずみが生んだ問題であり、農政の抜本的な転換を要求しているのである。総裁選でそれを指摘した石破大臣には本当の「決断と実行」が求められている。


関連

【マスゴミが伝えない野党情報】WTOでこのままいけば、ミニマムアクセス米は現行76.7万トンから120万トンを求められる 08 年 12 月 05 日
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/501.html
農水省、食用流通を放置 05年、メタミドホス検出後【中日新聞】08 年 11 月 14 日
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事故米「極力主食用に」/農水省が通知していた/売却方法も定める/紙議員入手(しんぶん赤旗) 08 年 10 月 25 日
http://www.asyura2.com/08/senkyo55/msg/279.html
【毒米と自由競争(笑)させられ貧困になった農家】去年2月に事故米ではないかという二度の告発を農水省が無視【産経】 08 年 10 月 01 日
http://www.asyura2.com/08/senkyo54/msg/288.html
中国人自身が買わない食品を「安い」と輸入、食べる日本人の怪【JANJAN】
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JAを通さず、農業者を保護する「農業者戸別所得補償」は世界の常識。中間搾取を防ぐ【国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行】
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マクロ的には竹中と違い有効需要を理解していても、従来の道路をつくる、という形しか提示できない麻生太郎【TV JAN】
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【動画】 餓死迫る日本−食糧自給率37%の「嘘」と打開への道【反・ロスチャイルド同盟】
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「偽りの豊饒〜コメ農家に迫る廃業の危機〜」
http://www.asyura2.com/08/social6/msg/142.html
【動画】 ライスショック〜あなたの主食は誰が作る〜【反・ロスチャイルド同盟】
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