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http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/bunmin/list/CK2008121202000113.html
【揺らぐ文民統制】
<4>首相官邸 司令塔の機能果たせず
2008年12月12日
「これがロケット弾でございます」
陸上自衛隊がイラク派遣されていた二〇〇四年から〇六年まで、首相官邸で連日、開かれていた秘密会議。鉄製の模擬弾薬がゴロリと置かれた。
会議を主宰したのは二橋正弘官房副長官。外務省からは総合外交政策局長、防衛庁からは背広組の運用局長と制服組の統合幕僚会議第三幕僚室長が呼ばれたが、防衛庁のメンバーはすぐ第三幕僚室長の将官だけになった。
サマワ宿営地にロケット弾が撃ち込まれたり、陸自車両が手製の遠隔操作爆弾攻撃を受けると、将官は模型を手に官邸へ向かった。関係者は「サマワで何が起きたか官邸は熟知していた」という。
「私に聞かれたって、どこが非戦闘地域か分かるはずがない」と国会で答弁し、派遣前には開き直りを見せた小泉純一郎首相。だが、制服組の評判は悪くない。
陸自のイラク派遣に際して開かれた安全保障会議で、小泉氏は「自衛隊に自主裁量権を与えているだろうな」と話し、事実上、制服組にカネを渡すよう指示した。
陸自は宿営地の要塞(ようさい)化などに防衛費を使い、外務省を巻き込んで途上国支援に使う「草の根無償資金」を部隊の保険代わりに活用した。
自衛隊法上、首相は最高指揮官に位置づけられる。文民統制の頂点に立つのが首相である。過去、首相から「自衛隊への指示」はあったのだろうか。
「目標があれば、活動はどうだったか評価できる。だが、自衛隊には一度も目標が示されたことはない。不満だった」と東洋学園大の冨沢暉(ひかる)理事はいう。
陸上幕僚長だった一九九四年、冨沢理事はアフリカのルワンダ難民救援を命じられた。危険な地域だったことから、わずか三カ月の活動で撤収した。何人の難民を治療するのか、目標は示されなかった。
今年五月、来日したルワンダのカガメ大統領との会談で、福田康夫首相は九四年の自衛隊派遣に触れず、大統領からの謝意もなかった。活動は歴史から消えたに等しい。
イラク派遣では人道復興支援活動が閣議決定された。陸幕長だった先崎一(まっさきはじめ)防衛省顧問は「確かに目標は示されなかった。自分たちで施設復旧率は何%、給水は必要量の何%と目標を定め、達成率を官邸に報告した」という。
自衛隊が政治家の意思をくみ取り、自らを統制することを文民統制とはいわない。また自衛隊に関心のある首相の登場によってのみ、機能する文民統制では場当たり的過ぎる。
今年七月、官邸に置かれた防衛省改革会議が報告書をまとめた。「官邸の司令塔機能の強化」の項目には、安全保障戦略の策定、首相に直結する安全保障の専門アドバイザー設置などが提言された。
麻生太郎首相が主となった官邸に、実現へ向けた動きはない。
(肩書はいずれも当時)
■関連記事「東京新聞」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/bunmin/list/CK2008121002000140.html
【揺らぐ文民統制】
<3>参事官制度 疑心暗鬼三つどもえ
2008年12月10日
「一度でも参事官が長官に意見具申したことがあるのか。長官どうですか」
「補佐を受けたことは一度もありません」
二〇〇四年六月、旧防衛庁で開かれた「防衛力のあり方検討会議」。古庄幸一海上幕僚長は、石破茂防衛庁長官に水を向けた後、庁内の文民統制の大幅見直しを列挙したA4判二枚のメモを配布した。
日本の文民統制は、戦前、「天皇による統帥権」の名の下に軍部の暴走を許した反省から、国会と内閣による統制に加え、防衛庁の背広組である内局に長官を補佐する参事官制度を設け、制服組を統制するシステムをとっている。
参事官は大所高所から長官を補佐する役割が期待され、各省庁の事務次官経験者などが想定された。だが、実際には内局の局長が兼ねており、制度は空文化した。
古庄氏は「参事官制度の廃止」「廃止できない場合、統合幕僚長や陸海空幕僚長も参事官にしてほしい」と訴えた。根底にあるのは、内局への不満だ。官僚組織の内局が自衛隊を統制するのは「文民統制ではなく、文官統制だ」というのだ。
米中枢同時テロから間もない〇一年九月二十一日深夜、私服姿の海上幕僚監部の佐官たちが安倍晋三官房副長官の自宅を訪ねた。
佐官らは米国のアフガニスタン攻撃を支援するため、自衛艦が「危険な場所」に派遣されることを想定して「隊員が亡くなった時に『すぐ帰って来なさい』というのであれば初めから出さないでもらいたい。腹をくくってほしい」と直訴した。
安倍氏を訪ねた幹部の一人は「内局で検討したのが政府専用機を米国に派遣し、米国内の自国民を助けること。世界中がテロと戦う時にこれでは駄目だと思った」。同じころ、陸上幕僚監部の佐官たちも背広に着替え、アフガン派遣をしないよう政治家の自宅を訪問して回った。
内局は、こうしたロビー活動を察知していた。「文民統制に反する」との声が上がったが、注意さえしなかった。命懸けの海外活動と向き合う制服組の前に内局は沈黙した。
「参事官制度の廃止」を求める動きは、制服組が力を持ち始めた時期と一致する。石破氏との連携プレーといわれたが、古庄氏は「打ち合わせてはいない」と否定し、「石破さんは武器には詳しいが、『動ける部隊はどこにいる』というような指揮官らしい問い掛けは一度もなかった。その点、歴代長官と変わりない」とした。
石破氏はどう言うか。
「『自衛隊には何ができて、何ができないのか、教えてほしい』と呼び掛けたが、制服組からの反応はなかった。自衛隊は陸海空がそれぞれ閉じこもり、外部の介入を許さない。(専門家から)『自衛隊を好きな人でもいろいろ口出しすると、うとまれて自衛隊をきっと嫌いになる』と言われた」
内局幹部は「都合のよい場面にしか制服組は顔を出さない。甘やかしすぎた」。政治家、内局、制服組。三つどもえの疑心暗鬼だ。
(肩書はいずれも当時)
■関連投稿
【揺らぐ文民統制】<1>幹部教育 『現場任せ』 残す疑念(東京新聞)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/741.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 12 月 09 日
【揺らぐ文民統制】<2>政治不信 増える任務『余力なし』 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/08/senkyo56/msg/742.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2008 年 12 月 09 日
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