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2008年12月12日 (金)
市場原理主義に代わるもの
12月11日のテレビ東京番組「E morning」で、コメンテーターとして出演した日本経済研究センター主任研究員の竹内淳一郎氏が雇用情勢の悪化について「非正規雇用労働者の雇い止めは企業経営の安全弁」、「雇用調整が企業の生き残りにとって有効である側面を見落とせない」と発言した。
多くの勤労者が年の瀬を控えて、仕事も住まいも失う非常事態に直面するなかで、企業の冷酷な論理を肯定するコメントを臆せずに述べる姿勢に驚きを禁じ得なかった。
小泉政権が強引に日本社会に浸透させた「効率至上主義」=「市場原理主義」=「新自由主義」=「弱肉強食奨励」=「格差拡大容認」=「弱者切り捨て」の政策路線に対する根本的な見直しが求められている。
麻生内閣の支持率が暴落して、麻生政権は政権末期の様相を強めている。自民党内部では、渡辺喜美議員のメディアへの露出が急増するなど反麻生の方針を掲げるグループの蠢(うごめ)きが活発化している。
しかし、わずか2ヵ月余り前に、自民党は日本の不況が深刻化するなかで、3週間もの時間を空費してお祭り騒ぎの総裁選を実施したのではないか。首相は行政の最高責任者で、自民党総裁が首相の仕事を放り出せば国政の空白が生じる。たび重なる無責任な政権放り出しとその後の自民党内の目を覆うばかりの混乱は、自民党が政権担当能力を完全に失っていることの証左である。
小泉政権以降の経済政策が日本国民の生活を破壊している。「生き抜く力」様が指摘するように「労働は命そのもの」である。不安定な雇用形態に安心を感じることのできない非正規雇用労働者に対して、企業は操業率の低下を理由に、恐ろしい勢いで一方的に雇い止めの通知を発している。
派遣労働者は失業するまでの期間、職探しをする時間も与えられない。雇い止めと同時に寮からの退出を迫られる。年の瀬を控えて、住まいも所得も奪われる国民が多数発生する状況を傍観しているのが自公政権の悲しい現状である。
ところが、自民党内で反麻生の旗を掲げる「小泉一家」を軸とする「偽装CHANGE集団」の基本政策は、@市場原理主義、A対米隷属外交、B官僚利権擁護、である。そもそも、弱肉強食を奨励し、弱者を冷酷に切り捨てる政策を強行に推進した勢力の中心が「小泉一家」だった。
反麻生の政治行動は国民生活を救済するためのものではなく、麻生政権が「小泉一家」を政権中枢から排除したことに対する反攻を軸にした、単なる権力争奪をめぐる諍(いさか)いでしかない。「小泉一家」の政治行動からは、国民の幸福を追求する、国民を雇用不安の窮状から救出することへの熱意はまったく感じられない。
すべての問題は「分配」の問題に帰着できる。
経済活動の結果得られる果実を誰にどのように「分配」するか。分配された所得の一部を税や社会保険料負担として政府が徴収する。これらを財源として政府支出が実行されるが、それを誰にどのように「再分配」するか。これが政治の課題である。
「市場原理主義」は分配の方法決定を市場メカニズムに委ねる。「市場に委ねる」と言うと聞こえが良いが、市場では意思決定の権限を持つ者が優位に立つ。企業では経営者が強い立場に立つし、銀行融資ではお金を貸す側がお金を借りる側より強い立場に立つ。
「市場原理主義」の下では、企業を支配する側=「資本」が「資本」に有利なルールを設定し、働く人々=「労働」に不利な状況、ルールが設定される。小泉政権は「資本の論理」だけを尊重して、「資本」の「労働」に対する横暴を全面的に後押ししてきた。これが「分配」における「市場原理主義」である。
小泉政権の「市場原理主義」が吹き荒れたのは「所得分配」の側面だけではなかった。小泉政権は財政活動という「所得再分配」の側面においても「市場原理主義」を推進した。
「資本」に対する課税である「法人税」を軽減して、「労働」=「一般国民」の税および社会保障負担を大幅に増大させた。また、政府支出においては、「労働」=「一般国民」に対する政府支出である「社会保障支出」や「教育支出」を歳出削減の標的に定めた。
つまり、「市場原理主義」は「資本」を優遇して「労働」を虐(しいた)げる政策路線なのである。「市場原理主義」の暴走により、日本国憲法第25条が保障している生存権が根本から脅かされる状況が生まれた。
若者が将来に夢を持つどころか、生活の基盤さえ奪われる状況を放置する政府を私たちは求めていない。政策の基本路線の転換が求められている。「市場原理主義」=「新自由主義」から「セーフティーネット重視」=「社会民主主義」への転換が求められている。
麻生政権は多くの国民が生存権を脅かされている時代に、「法人税減税」、「相続税減税」、「証券課税軽減」、「高価格住宅取得減税」の方針を打ち出している。麻生政権は「市場原理主義」=「格差拡大奨励」の方針を変更する発想を有していない。
「一般国民」=「労働者」の生活を重視する方向に政策の基本方向を転換するべきである。労働市場の政策においては、どのような労働法制を敷くのかが決定的に重要である。すべての労働者の安定した雇用を保証する制度の構築が求められている。
正規雇用−非正規雇用の区分を撤廃することが求められる。米国の企業経営者の高額報酬が話題になるが、企業経営者の法外に高い報酬に合理的な根拠は存在しない。
雇用、教育、医療の保証が政府の最大の役割である。高齢者、障害者、母子世帯、生活困窮世帯に対する、生存権を確実に保障する制度を確立すべきだ。
100年に1度の経済危機を、日本社会を再生させる、日本の経済政策の基本路線を根本から転換する契機として活用すべきだ。抜本的な不況対策が求められているが、経済政策の基本路線を転換する大胆な政策を打ち出すことが求められている。
政策路線を根本的に転換するためには本格的な政権交代が不可欠である。本格的な政権交代を実現し、一般国民の幸福を追求する政府を樹立しなければならない。所得分配についての諸制度の改革、所得再分配に関する財政政策方針を根本から転換することが急務である。
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