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(回答先: 立花隆さんの「メディア ソシオ-ポリティクス」の海外アーカイブを阿修羅のスレッドでまとめて保存してくれないかと、。 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 05 日 18:06:37)
第113回 次期リーダーまでぶっ壊した参院選大敗の戦犯小泉前首相 (2007/08/01)
http://web.archive.org/web/20080101134025/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070801_senpan/
2007年8月1日
自民党大敗北の日、深夜の選挙総括番組(TBS)に出て、この選挙の自民党大敗北をどう見るかと問われて、これは安倍政治の評価というより、小泉政治の評価ではないかといった。
格差問題、地方経済の疲弊など、今回の選挙で敗北の要因とされている多くの問題が、小泉政治の積み残し部分である。それより何より、安倍晋三を総理大臣にしたことそれ自体が、小泉政治最後の1ページである。
基本的な資質の欠如が露呈した10カ月
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いちおう形ばかりの総裁選はあったものの、あれはほとんど形式だけの総裁選みたいなものだった。事実上の小泉前首相による指名みたいなものだった。 03年に安倍を幹事長に抜擢したあたりから、小泉の安倍を後継者として育成する大プロジェクトがはじまっていたといってもよい。
だが、安倍が総理大臣になってからの10カ月間で何よりも明らかになったことは、この人には、総理大臣になるために必要な基本的資質が決定的に欠けているということだった。何よりも「人を見る目」がないから、自分と同じように「政治家としての基本的な資質が欠けた」人ばかり集めたような内閣を作ってしまった。
next: ぶっ壊れた集票装置
http://web.archive.org/web/20080101134030/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070801_senpan/index1.html
ぶっ壊れた集票装置
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もちろん誰より責任を負うべきは安倍首相本人であるが、自分が総理総裁であったときに、絶大な影響力を行使して、このような人を次の総理大臣にしてしまった小泉前首相は、安倍首相とほとんどならぶくらいの責任を負っているというべきだ。
あまりの大惨敗に、自民党内からは、小泉前首相の再登板論が出ているとも聞くが、それはとんでもない話だと思う。
小泉前首相は「自民党をぶっ壊す」と叫んで、総理大臣になった人だが、今回の選挙結果の細かいデータを見ていくと、どうやら自民党は本当にぶっ壊れてしまったらしいということがわかる。
これまでの自民党を支えてきた集票組織がほとんどぶっ壊れている。今回の自民党敗北の最も大きな要因の1つが、1人区をほとんど失ってしまったことである。しかもそれが地方の、これまでは自民党の金城湯池とされてきたような保守色の濃い地方での末端の自民党集票組織の崩れから起きている。
小泉政権の5年間に、伝統的な自民党の集票組織が次から次にこわれていったのである。そのような組織の崩れのもうひとつのあらわれが、比例区での惨敗である。自民党の比例区は大組織をバックに出てくる組織代表の連合体のような部分があったが、これが軒並みダメになっている。
next: 小泉前首相のぶっ壊しは旧田中派つぶし
http://web.archive.org/web/20080101134036/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070801_senpan/index2.html
小泉前首相のぶっ壊しは旧田中派つぶし
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これまで自民党の参院では、旧田中派・経世会(現津島派)が特別に強力だったのは、特に田中派・経世会が、このような組織候補を沢山集めていたからだ。
それは74年参議院選挙を何としても勝ちたいと思っていた田中角栄首相(当時)が、意識的に大組織を次から次に自ら口説いては、組織依存候補を立候補させていったからだ。
派閥単位でいうと、今回津島派がいちばん数を減らしたのは、このような組織依存候補がいちばん多かったのが、津島派(旧田中派)だったからだ。
小泉前首相の「自民党をぶっ壊す」は、実は「自民党の中の旧田中派・経世会の部分をぶっつぶすということを意味しているといわれてきたが、それが本当にその通りだったことを証明したのが今回の選挙だったと見ることもできる。
小泉前首相は、旧田中派にかぎらず、派閥政治全体をぶっ壊してきたとよくいわれる。事実そうだったが、派閥を壊しすぎた結果、派閥政治の持っていたポジティブな側面も同時に消えてしまった。
next: 自由にものが言えない自民党
http://web.archive.org/web/20080101134041/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070801_senpan/index3.html
自由にものが言えない自民党
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それは何かというと、かつては、自民党の権力構造が、派閥ボス(実力者)のパワー均衡の上にのっていたから、党内には独特の“自由と民主主義”があった。
しかし、小泉時代になってから、派閥の力を意識的に弱体化させていったため、総理総裁だけが圧倒的なパワーを持つようになってしまった。
そのため派閥均衡の上にのっていた“自由と民主主義”も消え、総理総裁が専制的に党全体を仕切る専制国家のような政治風土になってしまった。
先のTBSの番組で、後藤田正純議員がいっていたことだが、いま自民党の内部では、自由勝手にものを言う空気が薄れ、下部の者が総理総裁や執行部を堂々と批判する空気がほとんどなくなってしまっているという。だから、これほどの大敗を喫すれば、当然党内から噴出してくるはずの総理総裁批判、執行部批判の声があまり聞かれないことになるだろうという。
今回、これまでの自民党であれば、すぐにでも吹き荒れていたであろう安倍退陣論がさっぱり出てこず、安倍首相が続投を表明してもそれに反対する声がさっぱり出てこない理由は、安倍を辞めさせたあと、この人にやってもらいたいと衆目が一致するような後継候補がいないことにあるという。
next: 次期総裁候補こそ派閥の求心力
http://web.archive.org/web/20080101134046/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070801_senpan/index4.html
次期総裁候補こそ派閥の求心力
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これほどひどい人材払底が起きたのも、小泉前首相の派閥ぶっこわし政策がもたらしたものということができる。
派閥の重要な機能のひとつが、次世代のリーダーを育てるということにあった。そもそも派閥は次世代の有力リーダー(候補)が作るもので、有力リーダーたちは、派閥を率いつつ互いに切磋琢磨しあうことで、いつでも総裁選に出馬できるだけの政治力をたくわえていった。
だから、このように選挙で歴史的敗北を喫し総理総裁の退陣が必至という事態になれば、いつでも出馬できる状態の馬が何頭もパドックにいるというのが、自民党のこれまでだった。
派閥は、次の総裁候補がいることがその派閥の求心力につながっているから、次の総裁候補が中心部にいるだけでなく、同時にその他の世代のニューリーダー候補も周辺部で複数育成していた。
つまり、派閥が健在であれば、将来何世代にもわたってリーダー、ニューリーダーたちが自動的に育成されてきたのである。
next: 何世代にもわたるリーダーをつぶした小泉前首相
http://web.archive.org/web/20080101134051/www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070801_senpan/index5.html
何世代にもわたるリーダーをつぶした小泉前首相
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小泉前首相は自分と同世代の競争相手を意識的につぶしていっただけでなく、派閥をつぶすことによって、将来何世代にもわたるリーダー候補たちをつぶしてしまったのである。
これが自民党に総理総裁になっておかしくない人材がほとんどいなくなってしまった最大の理由だ。
だが、自民党内からは安倍辞めろの声が聞こえてこなくても、自民党外からは、「安倍ヤメロ」の声が日ましに高まるばかりである。
安倍首相はいつまでガンバルことができるだろうか。
立花 隆
評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月 -2006年9月東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。2006年10月より東京大学大学院情報学環の特任教授。 2007年4月より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授。
著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。近著に「滅びゆく国家」がある。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。
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