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http://www.amakiblog.com/archives/2008/12/09/#001284
2008年12月09日
クラスター爆弾禁止条約成立に関する二つの記事
去る12月3日、ノルウェーの首都オスロでクラスター爆弾禁止条約の署名式が行なわれ、日本も90ヶ国を超える国に混じって署名した。
この事に関し、目に留まった二つの新聞記事を紹介したい。
その一つは12月8日の毎日新聞の記事である。
毎日新聞は他紙を圧倒する形で、このクラスター爆弾禁止条約の成立を支持し、その動きの初期の段階から熱心な記事を配信し続けてきた。
消極的だった日本政府の尻を叩いて、ついに日本政府をして署名に転じさせた。
だからクラスター爆弾禁止条約の記事についても毎日新聞の記事は内部情報にたけた読み応えのあるものだ。この記事もその一つである。
「日本も(署名式に)行っておいて良かったというのが偽らざる気持ちだ」。外務省幹部は4日、国際的潮流に乗り遅れずに済んだ安堵感をそう表明したという。
しかし、より正確に言えば、外務省幹部は、署名式への参加ではなく、この条約に賛成し署名することに方針を変えておいて良かった、と言い換えるべきではなかったか。
外務省はこの条約づくりにずっと反対してきた。クラスター爆弾を購入し続ける防衛省の反対に押され、そしてなによりも米国が反対していたから、賛成できなかったのだ。
ところが、国際的流れを容認する福田首相の「思いを踏まえ」(外務省幹部)条約賛成へ舵を切った。
1997年に署名された対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)交渉において、小渕外相(当時)の一声で反対から賛成に転じたケースとまったく同じパターンだ。
しかし、クラスター爆弾禁止条約の場合、反対から賛成に転じ、さらに米、中、露に対し積極的に参加を呼びかけるまでに積極的になった理由はもう一つある。
それは日本が米国の為に主張した妥協案、つまり、米国のクラスター爆弾使用は妨げない事、米国などの非加盟国との共同軍事作戦は容認される事、という修正案が最終的に認められたからであった。
毎日新聞の記事は、この事について、「日本は米国の規制逃れを手助けする一方で、米国に署名を働きかけている」と書いている。どこまでも情けない日本外交だ。
クラスター爆弾禁止条約の署名に関して書かれたもう一つの注目すべき記事は12月5日の産経新聞コラム「産経抄」である。
「それほど『めでたい』ことなのか」という書き出しで始まるこの産経抄は、毎日新聞などが大きく取り上げている事を皮肉って、次のように書いていた。
「・・・そもそも大量に製造している米、露、中がそっぽを向いている条約にどれほどの意味があるのだろう。加えて、北朝鮮、韓国、台湾も、禁止の動きに同調しなかった。欧州とは比べようがないほど、緊張が高まっている東アジアで、また日本だけが軍事的なハンディを負うことになる・・・森本敏拓殖大学教授によれば、自衛隊が保有しているクラスター爆弾は、何より相手が海岸に着上陸したときに、効力を発揮する。つまり日本にはなくてはならない兵器だった・・・」
産経新聞は何を言っているのか。
クラスター爆弾の禁止を世界の多くの国が求めてきたのは、その兵器が不必要に人を傷つける非人道的な兵器であるからだ。多くの不発弾が残り、子供や市民を犠牲に巻き込む残虐な武器であるからだ。
それは国際法違反の武器だ。その武器を使用しなければならない必然性はどこにもない。
あるとすればどこまでも敵を痛めつけるという加虐性だけである。
この条約に反対する米、露、中国や北朝鮮などが間違っているのだ。
産経新聞は論点をずらしてはいけない。読者を誤誘導してはいけない。
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