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支持率急落 「迷走する政治」の限界だ【西日本新聞】
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/64534
2008年12月9日 11:00 カテゴリー:コラム > 社説
目を覆いたくなるような支持率の急落ぶりである。内閣の発足からわずか2カ月半で「政権末期」の様相とは、極めて異常と言うほかない。
報道各社の世論調査で、麻生内閣の支持率が急降下した。その1つ、共同通信社の調査では、麻生内閣を「支持する」という有権者は、11月の前回調査から15.4ポイントも下落し、25.5%だった。
一方、「支持しない」という人は19.1ポイント増え、61.3%に達した。支持率が4人に1人の割合に落ち込み、不支持率は6割を超えたのだから、「末期的症状」と診断されても仕方あるまい。
なぜか。理由は次々に思い浮かぶ。まず麻生太郎首相は「いまは政局より景気対策だ」として衆院の解散・総選挙を先送りした。臨時国会を延長しながら、その景気対策を裏打ちする第2次補正予算案の提出は、年明けに持ち越した。
2次補正の目玉となる定額給付金も「選挙目当てのばらまき」と野党から痛烈に批判され、給付対象者の所得制限の是非をめぐって首相発言は揺れ動いた。
道路特定財源の一般財源化で地方に配分する1兆円を「地方交付税」と明言したかと思えば、翌日に「交付税でなくても構わない」と軌道修正した。基礎年金の国庫負担割合の引き上げ問題でも、来年4月実施をめぐって二転三転した。
総理大臣といっても、生身の人間である。単純な勘違いや不得手な分野の理解不足もあるだろう。漢字の読み間違いなどで揚げ足を取るつもりはない。
しかし、国民生活に直結するような基本政策の根幹部分で最高責任者の発言が右往左往するのはいただけない。「医師には社会的常識が欠落した人が多い」といった一連の問題発言は論外である。
支持率急落のもつれた糸を解きほぐしていけば、そもそも麻生内閣とは何を目指す政権か−という核心に行き着く。
安倍晋三、福田康夫両首相が2代続けて政権を投げ出した非常事態を受け、麻生首相は衆院の早期解散を断行し総選挙で国民の信を問う指導者として、与党から圧倒的な支持を取り付けた。
発足当初は次期衆院選を戦うための選挙管理内閣だったはずだ。解散・総選挙を棚上げにしたまま、突発的な金融危機への対応や山積する政策課題の実現に、にわか仕立てで政権の存在意義を見いだそうとしても、やはり無理がある。
内閣支持率の異常な急落が物語るのは、単に麻生首相の「不人気ぶり」だけではあるまい。経済、雇用、社会保障、そして国民生活も危機的な状況に直面しているのに、事態打開の展望を描ききれない政治の迷走と劣化を嘆く国民の悲鳴にこそ、耳を澄ますべきである。
早期の解散・総選挙で民意を問い、国民の信任を得た政権が敢然と危機の克服に立ち向かうべきだ。「非常に厳しい数字だ」と受け止めた首相にとっても、それが政権を立て直す1本道ではないか。
=2008/12/09付 西日本新聞朝刊=
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