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2008年 12月 02日
村山談話ってそんなにひどいか?
アルルの男・ヒロシです。
タモタモ論文(田母神論文)の登場を機に、新たにクローズアップされた、「村山首相談話」。
右派やネットウヨクの皆さんからはかなり批判されていますが、改めて、文章だけを読んでみると、それほど酷いものではない。むしろ、左派からは「謝罪と反省が足りない」と批判されるンじゃないかと思うほどです。
以下に転載しますが、重要なのは、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ」という部分。議論になっているのは、続く、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」という部分だろう。
どんな右派であっても、大日本帝国が、戦争に敗けたことが、「国策を誤」った結果であることを否定するものはないでしょう。
「植民地支配と侵略」の部分は、多少、私も違和感を覚えるが、それでも、戦時中に、「アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」というのも事実だろう。むろん、それだけではなく、欧米の直接的な植民地支配を終らせるきっかけを作ったり、韓国や台湾などの近代化に貢献したことも事実である。村山談話が、一面的であることは確かだが、重要なのは、日本が「国策を誤った」と、一応、第二次世界大戦の「総括」を行っている点だ。
村山首相談話をことさらに否定する人々は、どういう談話ならば良いのだろうか。田母神論文も、国策の誤りについては少し認めている。それは付言しておくべきだろう。で、あるならば、村山首相談話をなぜ、田母神氏は否定すべきだと述べるのか。
私が田母神論文を警戒するのは、むしろ現在における視座である。彼は、アメリカとの集団的自衛権行使を容認している。そもそも、日本・自衛隊が対外的に活動しているときに、万が一でも襲撃を受けた場合、それに反撃するのは個別自衛権の範囲である。ところが、ことさらに、集団的自衛権を論じているのは、「戦場レベル」ではなく、「戦略構想のレベル」でアメリカと軍事的行動をともにするという狙いがあるのではないか。
私は、田母神論文が、コミンテルン陰謀論を打ち上げたことを中ば評価しつつ、それがあの当時はアメリカの財界との「同盟関係」でもあったことを無視したことに、疑惑を持っている。「あの当時はアメリカは社会主義のデクスター・ホワイトに支配されていましたからね。真珠湾も陰謀なんです。つまり、あの時はアメリカは批判されるべき存在だったんですよ。今のアメリカは違いますから、一緒に行動できるんですよ」という風に言っているようにもみえるからだ。
親米保守の中にもそうやって折り合いをつけて、自分を騙している人が多いんじゃないかな。アメリカはあの時と変わっていないのにね。
田母神さんは、まさか現代の「桜会・橋本欣五郎中佐」でも気取ろうとしたのか?しかし、当時と違い、桜会の思想を裏付けるイデオロギーが存在しない。彼等の「言論クーデター」は上手く行かないと思う。
昭和維新の再来を警戒して、事前に日本の首脳陣は、田母神氏をはじめとする「革新派・自衛官」をあぶり出したのだろうか。
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村山内閣総理大臣談話
「戦後50周年の終戦記念日にあたって」(いわゆる村山談話)
平成7年8月15日
先の大戦が終わりを告げてから、50年の歳月が流れました。今、あらためて、あの戦争によって犠牲となられた内外の多くの人々に思いを馳せるとき、万感胸に迫るものがあります。
敗戦後、日本は、あの焼け野原から、幾多の困難を乗りこえて、今日の平和と繁栄を築いてまいりました。このことは私たちの誇りであり、そのために注がれた国民の皆様1人1人の英知とたゆみない努力に、私は心から敬意の念を表わすものであります。ここに至るまで、米国をはじめ、世界の国々から寄せられた支援と協力に対し、あらためて深甚な謝意を表明いたします。また、アジア太平洋近隣諸国、米国、さらには欧州諸国との間に今日のような友好関係を築き上げるに至ったことを、心から喜びたいと思います。
平和で豊かな日本となった今日、私たちはややもすればこの平和の尊さ、有難さを忘れがちになります。私たちは過去のあやまちを2度と繰り返すことのないよう、戦争の悲惨さを若い世代に語り伝えていかなければなりません。とくに近隣諸国の人々と手を携えて、アジア太平洋地域ひいては世界の平和を確かなものとしていくためには、なによりも、これらの諸国との間に深い理解と信頼にもとづいた関係を培っていくことが不可欠と考えます。政府は、この考えにもとづき、特に近現代における日本と近隣アジア諸国との関係にかかわる歴史研究を支援し、各国との交流の飛躍的な拡大をはかるために、この2つを柱とした平和友好交流事業を展開しております。また、現在取り組んでいる戦後処理問題についても、わが国とこれらの国々との信頼関係を一層強化するため、私は、ひき続き誠実に対応してまいります。
いま、戦後50周年の節目に当たり、われわれが銘記すべきことは、来し方を訪ねて歴史の教訓に学び、未来を望んで、人類社会の平和と繁栄への道を誤らないことであります。
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。
敗戦の日から50周年を迎えた今日、わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて、平和の理念と民主主義とを押し広めていかなければなりません。同時に、わが国は、唯一の被爆国としての体験を踏まえて、核兵器の究極の廃絶を目指し、核不拡散体制の強化など、国際的な軍縮を積極的に推進していくことが肝要であります。これこそ、過去に対するつぐないとなり、犠牲となられた方々の御霊を鎮めるゆえんとなると、私は信じております。
「杖るは信に如くは莫し」と申します。この記念すべき時に当たり、信義を施政の根幹とすることを内外に表明し、私の誓いの言葉といたします。
http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/press/danwa/07/dmu_0815.html
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