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フランスのパリ在住の友人、飛幡祐規さんから久しぶりにメールをいただいた。オブリ対ロワイヤルで「女の戦い」となった社会党書記長選挙の熾烈な争いとトラブルを横目に、ひとりサルコジ大統領のみが漁夫の利を得る構図となっているようだ。そして、鉄道の運行妨害で逮捕された若者たちが、テロリストと見なされて、日本では少し遠ざかっていた共謀罪の網がかけられている事件も起きているようだ。ここに紹介したいと思う。 [飛幡祐規さんからのメール] ご無沙汰しています。お元気ですか? さて、フランス社会党の書記長選挙の件はそちらにも報道されていると思います。選挙にインチキがあったと告発して、内部の腐敗をさらけ出しただけでなく、ここまで憎悪が助長されると、もう統一は不可能で社会党の信憑性は市民にとって壊滅した感じ。サルコジほくほく、まったくこの経済危機の大変なときに、とんでもない醜態で、唖然とします。 わたしの分析・感想としては、「わたしは絶対に大統領になる」と神懸かり的に信じるロワイヤルの政治性の欠如が、内部に膿をためていたフランス社会党の崩壊に拍車をかけたと思う。彼女はどこまでも自分の欲望を曲げないだろうから、なにかよほどのことがないかぎり、2012年の大統領選で左翼は絶対に勝てない状況が確立した感じです。(トロツキスト系のブザンスノーが来年はじめに新しい政党をつくり、極左、左派の人々をひきつけると思いますが、政権をとる左翼の代表にはなれない)というわけで、サルコジ天下がつづくのかとうんざりですが、現在のフランス政権の危険な傾向を象徴するような事件が起きたのでちょっと報告しておきます。 11月7日から8日の晩に、国鉄のTGVの架線のカテナリーつりの破壊があり、それによってTGVの運行が大幅に乱れたという事故がありました。最初から「破壊は鉄道のことを知るSNCF内部の人間ではないか」といった口調の報道があって、これは組合潰しのキャンペーンだろうかと思ったら、11日に逮捕された一部を今度は「ウルトラ左翼の陰謀説」が大々的に吹聴され、15日(96時間の拘束後)にはそのうち9人が検挙され、うち5人が身柄を拘束されています。ひとりの青年(34歳)は、「テロを目的とするグループの指導」という名目で、4人は「テロ計画と関係のあるギャング」(例の日本の「共謀罪」のヨーロッパ大陸版)という名目で。 この5人の若者たち(23歳〜34歳)は、タルナックというコレーズ県の村に住み着き、食料品店を営むなどしながら、コンサートや文化イベントの企画をとおしてその村の活性化に貢献してきた人たちで、村人たちはさっそく「彼らがテロリストだなんて冗談じゃない」と支援の会を結成しました。ネオリベ経済に反対し、消費社会と異なるオルタナタィヴな生き方を実践してきた若者たちで、「首謀者」とされる青年とそのつれあいは、アメリカのイラク戦争反対デモに参加してからカナダにいったときに検査を受け、そのときの情報がFBIからフランスの国土監視局(DST)にわたってすぐ彼らへの監視が始まり(4月)、今年6月末に「国土監視局」が改革再編成されたDCRI(国 内諜報局)の権限が強まって、ますます密な尾行を受けていたというわけです。 彼らは破壊された鉄道線の近くにいたという疑いで逮捕され、家宅捜索によってアナーキー的なラディカルな内容の本や鉄道時刻表、大工道具が見つかったことを「証拠」にして、「テロを計画する危険なウルトラ左翼集団」のように内務大臣によって発表されました。そして、国営テレビをはじめとするテレビのニュース番組でまるで「危険な過激主義者集団」のように報道されたため、村人や心ある市民たちはショックを受けました。はじめの報道で「DNAを確認している」と言われましたが、そんなものは見つからず、指紋もなし。「テロリスト」という名目をたてるような重要な証拠はないにもかかわらず、法律改正で最高10年が20年になった犯罪名をつけられたことに、弁護士は抗議しています。 一般の署名運動も始まっていますが、少年犯罪への刑罰の強化、精神異常者に対する刑罰の強化と並び、サルコジ内閣の危険な傾向を如実にあらわす事件で、今後の展開に気をつけるべきだと思いました。ハプニング的に変わった行動で政策など反対する若者たち(政党や組合に属さない新しいタイプの抗議者たち)が増えてきているので、そういう人々の表現の自由を奪おうとする試み、また郊外の暴動がいつかは起きるだろうから、そのときに備えて着々と弾圧体制を進めているその一貫のひとつ、などと政治学者などから解釈されているようです。 いずれにせよ、監視体制は着々と進んでいるのがあらわれています。長くなりましたが、ちょっとお耳に入れておきたいと思って。 (飛幡祐規) |
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