★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK56 > 156.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008112490070652.html
記者の眼 『東京は豊か』は本当か
2008年11月24日 07時15分
人・物・金が集中する東京。だが、都内で高齢者介護の現場を取材すると、暗たんたる気持ちになる。東京って本当に豊かなのだろうか?
■介護の世界の逆格差
「東京のお年寄りは、かわいそうですよ」
東京都墨田区にある特別養護老人ホームの施設長が訴える。事業主の社会福祉法人は静岡県や長野県でも特養を運営しているが、同じグループ内でも食事の質はまったく違うのだという。
「地方ではデザートに新鮮なフルーツを出しているのに、うちは缶詰の果物。おかずも冷凍食品が中心です」
なぜ、そんな差が出るのか。施設長が説明する。「東京は調理師の人件費や食材の価格が高いのに、介護保険で定められた食費の基準額は全国一律。人件費を削れないので、食材の質を落とすしかないんです」
東京のお年寄りは、行き場だって限られている。
例えば、認知症の高齢者が少人数で共同生活するグループホーム。都内には二百七十二カ所あるが、定員数は六十五歳以上の人口一千人当たり一・五九人という“狭き門”だ。全国平均は五・一七人。青森県や長崎県は十三人を超え、人件費や地価の高さが壁となり整備が進まない東京とは大きな開きがある。
介護の現場が、地方よりも東京の方がひどい状況にあるのは、今や常識になりつつある。東京の業界では「逆格差」と呼ばれている。
■一極集中の固定観念
「われわれは数年前から、逆格差の実態を訴え続けていた。だが、東京はなんでも豊かなはずだという固定観念があるせいか、マスコミも政治家もほとんど関心を持ってくれなかった」
そう語るのは、東京都世田谷区にある特養「博水の郷」の田中雅英施設長。
介護施設の人件費や事業費の原資は、国が額を定める介護報酬。その報酬額の改定に向けた論議が、厚生労働省の審議会で進んでいる。
田中施設長は「最近になって、ようやくマスコミがこの問題に目を向けるようになってきた。国も、われわれの主張を無視できなくなっている」と言う。
■足元に目線を
マスコミの情報が東京発に偏る現状を指して、「報道の一極集中」と指摘する声は強い。だが、永田町や霞が関、大企業などが情報源の全国ニュースが大半で、地域に根ざしたローカルニュースは意外に少ない。
情報が錯綜(さくそう)し集中する首都で取材をしていると、つい全国ニュースに目を奪われがちになる。だが、上への目線ばかりでニュースを追っていると、足元で起きている出来事を見過ごすことにもなりかねない。
(社会部・鬼木洋一)
(東京新聞)
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK56掲示板
フォローアップ: