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2008年11月23日
「私は貝になりたい」のヒットを願う
「私は貝になりたい」が映画化され上映の運びになったという。
この映画がヒットし、戦争を知らない一人でも多くの若者に戦争の不条理さを知らしめる切っ掛けになることを期待する。
フランキー堺が主演した50年前のこのテレビドラマを、私は11歳の時に観た事がある。
その時、子供心に感じた戦争と言うものへの不条理と漠然とした反発を、今でもよく覚えている。
それから50年、今となっては、私は明確な問題意識を持って、このドラマを評価する事ができる。
このドラマは復員兵の手記に基づいて創作されたドラマである。
理髪店を営む平凡な男が、ある日一枚の召集令状受け取って戦争にかりだされる。戦地にあって上官の命令でアメリカ捕虜兵を銃剣で刺殺しようとし、負傷を負わせる。その男は、やがて戦争が終わり、もとの生活に戻って平凡だが幸せな暮らしを始める。その矢先に、ある日突然、戦犯容疑で逮捕され、B級戦犯の判決を受けて処刑される。
上官の命令に逆らう事はできなかった、といくら叫んでも通じない。負傷させただけだと言っても通用しない。
愛する家族と別れて死地に赴くその男が最後に語る言葉が、もう人間はいやだ、牛や馬もいじめられる、今度生まれ変わるのなら、海の深底で静かに暮らせる貝になりたい、というものである。
自分が彼の立場に置かれたらどうするかを考えてみたらいい。
そういう時代を知らない戦後に生きる幸せを考えてみたらいい。
日本をそういう時代に二度と戻してはならないと考えてみたらいい。
何も知らされない国民が、徴兵制の下で有無を言わされずに戦地に借り出され、その結果戦争犯罪者として処刑される。
そんな不条理の一方で、A級戦犯容疑で処刑される立場にあったこの国の指導者たちは、占領国米国の手で無罪放免され、その後首相などになって日本を米国に従属させる手先となる、そういう不条理もあったのだ。
ニューヨークタイムズ記者のティム・ワアイナーが書いたLegacy of Ashes がやっと邦訳されて「CIA秘録」という本になって発売中である。
その中に、「CIAが主要国の指導者を選んだ最初の国が日本であった」という記述がある。我々は膨大な極秘資料に基づいて書かれたこの書の記述を、逃げることなく直視すべきだ。
史実の一部を都合よくつまみ食いして日本の戦争を正当化した田母神前自衛隊航空幕僚長の言動に対し、元軍人たちが怒りの抗議の声を上げたというニュースを目にした。
当然だろう。
死地に赴き、実際の戦争の悲惨さを命を懸けを経験した軍人たちに、戦争というものを体験した事がない者が軍人気取りで何を言っても、かなうものではない。
戦争は不条理で人を異常の中に放り込む。それは世界中のすべての戦争経験者が証言している事だ。
そんな戦争を、軽々に口にする事が出来なく映画が「私は貝になりたい」だ。
この映画のヒットを通じて、平和憲法をいただく日本がいかに素晴らしい国であるかを、一人でも多く
の若者が気づく事を期待する。
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