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[机上の妄想]米国型「下流(貧困)食いビジネス」に便乗した日本メメディアの蒙昧(原点から考えるシリーズ3-1)
<注記>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081218
【画像1】Nana Mouskouri White Chiristmas
[http://www.youtube.com/watch?v=AAjcBfus6IM:movie]
【画像2】Lara Fabian Quedate
[http://www.youtube.com/watch?v=yw02DWF9L28:movie]
・・・<注記>quedate=とどまる、居残る(再帰動詞 quedarse )の2人称・単数、肯定命令≒行かないで!
【画像3】山下達郎 クリスマスイブ
[http://www.youtube.com/watch?v=npMJlymaZVc:movie]
[1]「小泉劇場」がメディアとつるんで導入した“下流(貧困)食い”ビジネスモデル(米国型・市場原理主義)の崩壊
サブプライムローン問題に端を発した大恐慌以来の金融・経済危機が広がるなかで、アメリカのみならず日本の一般国民の生活も次第に様々な面から脅威に晒されつつあります。例えば、ソニー・トヨタ・キャノン・ニッサンなど一流大企業から始まり深刻化するばかりの派遣切り、正社員解雇、内定取り消しなどが続発しています。一方、銀行の貸し渋りによる中小企業の資金繰り悪化等で企業倒産件数が増加しつつあります。
しかも、何より気の毒なのは、その犠牲者がワーキングプアと呼ばれる最も弱い立場の労働者階層の人びと、つまり契約社員・派遣労働者・アルバイトなどに集中していることです。やっと政府(厚生労働省)も重い腰を上げ始めましたが、即座に契約を打ち切られ、寮など日常生活の居場所を追い出された若者を中心とする失業者が巷に溢れており、もはや燎原に拡がる炎と化した悲惨な現実を目の前にして、只管たじろぐばかりの状態です(参照、下記◆)。
◆「住」の悲鳴 初日で1267件 ハローワーク派遣切り相談窓口、http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081217/trd0812171316008-n1.htm
これは別の記事(参照 → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080901)でも書いたことですが、かつて、NHKクローズアップ現代(8/27)『日雇い派遣禁止/さまよう若者たち』(参照→http://www.nhk.or.jp/gendai/)を見て、<日本の特殊性>について色々と考えさせられました。番組のゲスト・斎藤貴男氏(ジャーナリスト)も話していましたが、“日本企業のことごとくが、この余りにも便利な制度(労働者の人権を根底から蹂躙する世界でも稀な非人間的雇用システム)、つまり日雇い派遣等の「派遣システム」(=下流(貧困)食いビジネス)に甘ったれてきた”と思います。
番組では主に運輸・流通業界等を取り上げていますが、トヨタ・キャノンらの一流企業も似たり寄ったりで、むしろリーディング・カンパニーとしての<善良な一般国民からあるべきと期待される社会的役割>を放棄したコチラの方がより悪質です。また、<社会のあり方の根本、言い換えれば企業(市場経済)の存在意義、あるいは人権と公共の意味などを理解するための教育>が日本では機能していないという現実です。無論、これは急に今始まったことではなく、これら“若者”の親たちが“さまよわずに済んだ”のは、たまたま運が良かったからに過ぎないと思われます。
そして、小泉・竹中らの政治家&御用学者、およびそれと呼応したマスコミ界の主流を占める「米国型・新自由主義」かぶれの登場で、その状態が深刻化しました。しかし、欧州諸国の政治家・財界人らの多くは、非市場部門(家庭、地域社会、公共など)を市場と対等の場所と見なし、その協力・協働関係を重視する考え方である「フレキシキュリティ」を労働行政の基本であると理解しています。
この点が日本と決定的に違います。欧州諸国の政治家・経営者らは、市場経済の持続的活力が、この非市場部門から創生されてきたものであることを深く理解しています。このことに気づかぬ(ふりをしている?)日本について、斎藤貴男氏は“日本は社会の底が抜けてしまった”と語っていました(フレキシキュリティの詳細については、下記の(参考関連情報)を参照乞う)。
(関連参考情報)
NHKスペシャル/セーフティーネット・クライシス? 非正規労働者を守れるか(12月15日(月) 午後7時30分〜8時44分)、http://www.nhk.or.jp/special/onair/081215.html
オランダ型フレキシキュリティ(オラン・ダモデル/<NHKスペシャル/セーフティーネット・クライシス? 非正規労働者を守れるか>で取り上げた)のベースとなった、首相(政府・国民代表)、経営者団体、労働団体の代表による「ワッセナー合意(1982)」について記述あり
→『2007-07-23付toxandoriaの日記/2007年春、ドイツ旅行の印象[ローテンブルク編/http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070723』
フレキシキュリティとは
→ http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D5%A5%EC%A5%AD%A5%B7%A5%AD%A5%E5%A5%EA%A5%C6%A5%A3
そもそも人間社会を特徴づけるものは、社会・経済・政治・労働・法制などの諸システムですが、今やサブプライム・ローン問題から始まった世界的な「金融・経済大パニック」で、その決定的欠陥が暴露されてしまった「米国型・市場原理主義」と「規制緩和原理主義」を、なぜ日本は律儀に追い続けるのか・・・、この点が不可思議です。しかも、『小泉純一郎・竹中平蔵・八代尚宏ら“日本改革の功労者”(?)へ現在の苦境の責任を全て押し付けるのは気の毒だ、今の経済・社会的な苦境は、たまたま経済循環的な不運が重なっただけだ・・・』という“、いわゆる経済知識が豊富で良識ある大人の方々(ジェントルマン?)のご意見”が未だに巷に多いことが気がかりです。
ともかくも、小渕・小泉両内閣で行われた二度に及ぶ「労働者派遣法・改正」(1999、2003/参照、下記★)が、このような米国型「市場原理主義」に基づく“下流(貧困)食いビジネス・モデル”を日本の労働市場へ拡げたことは舞違いがありません。その挙句の果てが「全就業者数に占める非正規雇用の割合=34%超(約2千万人)」と「中流階層の崩壊」(所得水準の低下傾向、預貯金ゼロ世帯が1/5→1/4へ接近中)だという現実を我われは虚心坦懐に直視すべきです。今更、この“百年に一度の苦境”(元FRB議長で自由原理主義の誤りを懺悔したグリーンスパンの言葉?)を株式投資(預貯金から投資への行動を加速させつつ)でリカバーしろと、彼ら“日本改革の功労者”(?)たちが発破をかけても、最早それはムリです。
★改正・労働者派遣法、http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kaisei/dl/haken.pdf
ところで、アメリカの「異常なほど肥大化した過剰消費社会」について、次のような驚くべきデータがあります(出典:2008.12.12付・日本経済新聞)。
『・・・住宅を担保にカネを借りるホーム・エクイティ・ローンの残高は過去20年で10億ドル→1兆ドルと約千倍に膨張した。・・・そして、アメリカでは“呼吸をしていて平熱なら、誰でもカネを借りられるという“借金の民主化”が進んだ。・・・しかし、過去30年、平均的な米国人の実質所得(名目収入から物価上昇部分(率)を除いた金額)は12%程度しか伸びておらず、2000年以降はマイナス気味である。・・・今回の大金融危機で歯車が逆回転し始め、アメリカ人にも、本当にカネを使う価値があるのか一歩立ち止まって考える機運が芽生えてきた。・・・』
しかも。このホーム・エクイティ・ローンが増殖した背景には大量の移民ら米国の下層を占める約1億人のマイノリティの存在があります。ステップ返済のサブプライム・ローン(一定期間の金利据え置き後に返済金額が大きく上がる返済システムの高金利ローン)で巧みに契約へ誘い込まれたマイノリティら下流(貧困)層の人々の債務はハイリスク・ハイリターン証券と化し世界中の大手金融機関等へ転売され、やがて、そのサブプライム・ローンの焦げ付きが、今度は、その信用保証のため金融工学を駆使して開発された高度なデリバティブ商品(CDS(信用デフォルト・スワップ)など)の信用を貶めることとなり、このメカニズムの連鎖が「金融大パニック」の引き金を引いたことは周知のとおりです。
このような過剰消費を煽るアメリカ社会の中で自制心を失った下流(貧困)層に属する人々を主体とする顧客は「借金漬けのアリ地獄」に嵌っているか、完全な破産状態へ追い込まれています。そして、今や、全米人口(約3億人)の約1割(3千万人/全米人口の五人に一人)が「キリスト教関係等の慈善団体から日常の食糧供給(給食サービスなど)を受けなければ生活できない人々」であり、それがニューヨークでは約25%(206万人/同市全人口の四人に一人)という恐るべき数字となっています(関連で参照乞う → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081207)。
全米の完全ホームレス状態の人口は約350万人ですが、これを別に言えば全米人口の約100人に一人以上が路上生活者だということになります。「国民皆保険制」でない米国では、収入が低いため民間医療保険にも入れない、日々に生存の危機に脅かされている人々が4,700万人(16%)存在するというデータもあります(情報源:http://moneyzine.jp/article/detail/22149)。また、『アメリカでは金持ちトップ1%で、全金融資産の6割、トップ10%で全金融資産の9割をおさえている・・・ 』という驚くべき数字もあります(関連で参照乞う → http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081207)。
(関連参考情報)
解雇:「もうすぐホームレス」…元管理職、NY街頭で求職、http://mainichi.jp/select/world/news/20081217k0000e030053000c.html
ついでながら、“外圧”に弱い日本国民を元気付けるような情報があるので紹介しておきます。それは、OECDが発表したレポート「アメリカ経済についての評価」(Economic Survey of the United States 2008/http://www.oecd.org/document/32/0,3343,en_2649_33733_41803296_1_1_1_1,00.html)です。このレポートは、非常に困難な金融・財政・経済危機に苦しんでいる今のアメリカが、過去数十年にわたり経済活動の果実の分配を歪んだまま放置してきた(Nevertheless, the fruits of growth have not been evenly distributed in recent decades, raising questions about the social sustainability of such growth.)と端的に指摘しています。
また、医療保険制度の不備から米国民が不健康な社会環境に嵌ってしまったことも指摘しています。これを読むと、直近のOECDレポートが問題視する雇用・医療・福祉制度等にかかわる「米国の“歪んだモデル”」を、ひたすら後生大事に崇め奉る日本のリーダーたち(政・財・官・学)がサルのように見えてきます。
ともかくも、このような米国の「大金融パニックと下流(貧困)食いビジネス」の実態を概観すると、「小泉構造改革」の結果として米国型・市場原理主義の道を突き進む我が日本が、「米国型・下流(貧困)食いビジネス社会」と「米国型・格差社会」の実現を目標としてきたことが理解できるはずです。しかも、恐るべきことは、新聞・テレビ等の主要メディアが「小泉構造改革」の推進者たちと密かにつるんで、多くの国民を騙してきた節があることです。その最もベーシックな理由である「政権連立与党とメディアの利益供与についての互恵関係」は、既に別の記事で書きましたので、(下記記事◆)をご参照ください。また、その実現のための米国側からの支援(事実上の脅迫?)が、あの「新自由主義思想(トリクルダウン理論)」の実践プロジェクトたる「対日規制改革要望書」(参照、下記▲)だと見なすべきです。
◆2008-10-08付toxandoriaの日記/日本の民主主義を退行させた“小泉劇場&民放TV(マスゴミ)”の妖しい関係の罪の重さ、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081008
▲2008-12-03付toxandoriaの日記/プライマリーバランスと労働分配率を軽視する政・財・官の誤謬
(原点から考えるシリーズ1)、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20081203
国家権力とメディアの癒着が容易に出来上がることは「男と女の仲」以上に容易であることは、ノーム・チョムスキーが著書『メディア・コントロール』(集英社新書)で指摘したとおりですが、我が国でも『小泉パフォーマンス劇場』下での「郵政民営化」騒動が新聞・テレビ等のメディアと政権の癒着の賜物であったことは、その後、次第に明らかにされてきたとおりです。我われは、ここでもう一度、現代は「情報操作し易い国内環境を創る」ことが<政治権力とメディアに共通利益をもたらす時代である>という、一般国民にとっての非常に大きなリスクが存在することを思い出すべきです。特に、かつての「郵政民営化」、「耐震強度擬装」、「ライブドア事件」のような“カネ絡みの政治的大地震”が同時進行する時期は要注意だということも忘れるべきではないでしょう(関連参照、下記▼)。
▼2006-01-29付toxandoriaの日記/日本のマスメディアに欠ける、「政治体制の妥当性評価」の視点、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20060129
また、「朝日新聞社の経営改革」と「小泉劇場」のシンクロナイズのような現象も見逃すべきではないと思われます。前社長のスキャンダルの火消しなどが課題であったようですが、秋山社長の改革路線で主筆(4本社編集局長と論説主幹の上に立つポスト)となった船橋洋一氏は親米派という点で小泉改革の水先案内人であった竹中平蔵氏と気脈が通じていることは良く知られていることでしょう。このご両人は、11月某日曜日の朝日新聞の<全面広告記事>(全8ページ)「『生きる力』を育む金融教育」で子供たちへの投資教育の必要性を説いていたようです(参照 → http://pokoapokotom.blog79.fc2.com/blog-entry-983.html)。
大スポンサー付の広告記事ですから、どうでもよいことのようですが、この「金融・経済大パニック」の最中に“よくやるな〜”という思いがします。証券会社も必死なのでしょう・・・。しかし、客観的に見て、朝日新聞の論調全般が、特に、ここ数年で訳が分からない内容となってきた(変調を来たしている?)ことが気がかりです。
しかも、その朝日新聞が103億円の赤字に転落した (H20年中間決算/前年同期は47億円の黒字)のも当然の帰結ではないかと思われます。案外、これらの一見では無関係そうな出来事のすべてが、竹中平蔵氏と気脈を通ずる船橋洋一氏が主筆になったことと関係しているのかも知れません。そもそも、日本国民のみならず地球上の全ての人間は「わざわざセーフティネットが必要な市場原理主義という名のアクロバットを自ら演ずること」など望んでいないはずです。それにもかかわらず、朝日に限らず、大方の日本のマスメディアは米国型「下流(貧困)食いビジネス病」を善しとする立場へ転向しており、その考えを変えるつもりは今のところなさそうです。
(以下の詳細については、当シリーズ記事3-3で書くつもりです・・・)
しかも、彼らは、それが必然的な「米トリビューン紙型ジャーナリズム破綻」(参照 → http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT12000012122008&landing=Next)への近道であることを実感していないようです。唯一、NHKだけが「下流(貧困)食いビジネス病」へのワクチンと見なすべき「オランダ型フレキシキュリティ」について報道しました(既述の(関連参考情報)を参照乞う)。
そもそも、企業は資本の論理で動くことだけのことであり、それ以上でも、それ以下でもないと見るべきです。しかし、日本がこれからも「米国型・下流(貧困)食いビジネス」を追い求めるべきかどうか、「オランダ型フレキシキュリティ」への道を選択すべきかどうか、労働分配をどうすべきか、プライマリーバランスをどう設計すべきか、国債を増発してでも内需拡大型の景気回復を図り下流(貧困)層の悪循環的発生を絶ち切るべきかどうか、・・・これら一見で困難そうな問題も、国民一人ひとりの<発想転換>しだいでどうにでもなることだと思われます。過半以上の国民が、それを支持すればよいだけであり、その参考になる公正な情報を提供するのがジャーナリズムとしてのマスメディアの仕事のはずです。それが健全な民主主義社会であり、<抑制された資本の論理>が活動できる地盤であるはずです。
・・・・・なお、シリーズ3-2、3-3の表題は下記になる予定です。
3-2、[2]米「ゼロ金利政策」突入と「ドル急暴落」の“危機”の深層
3-3、[3]米「トリビューン紙破綻」が予告する日本・主要メディア崩壊の危機
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