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2008年11月14日 (金)
麻生首相は「政策より政局」を「政局より政策」と読み間違えたのではないか
麻生首相は「政局より政策」と発言してきたが、「政策より政局」という原稿を読み間違えたのではないかと思われる。年末の中小企業の資金繰りが大変だと力説していた麻生首相が「政局より政策」と考えていたのなら、補正予算の国会提出を来年まで先送りすることは考えられない。元々「政策より政局」を基本に据えていたのだろう。
「Easy Resistance」様、「私好みのimagination」様、「こわれたおもちゃをだきあげて」様、ありがたいお言葉をありがとうございます。心より感謝申し上げます。
月刊誌『文藝春秋』に赤坂太郎とのペンネームによる政治解説連載記事がある。政治評論家が持ち回りで執筆していると言われるものだが、2008年12月号には、「麻生が「解散先送り」を決意した夜」と題する記事が掲載されている。副題に「批判の多いホテルでの会食。そのとき、麻生はある人物を招いた−」とある。因みに赤坂太郎は麻生首相のことを指しているわけではなく、長く続いているペンネームだ。
麻生首相は『文藝春秋2008年11月号』に手記を寄せ、臨時国会冒頭での衆議院解散をかなり明確に宣言した。ところが、選挙での惨敗の可能性が濃厚になり、解散総選挙を先送りしたと見られている。こうした経緯から、同誌は麻生首相擁護の論評を掲載したと考えられる。
『週刊東洋経済』の政治解説連載記事は「FOCUS政治」だが、2008年11月8日号には政治評論家の歳川隆雄氏が「任期満了が浮上 解散めぐりなおバトル」と題する記事を執筆している。
いずれの記事にも10月5日の夜、麻生首相が帝国ホテルのバー「ゴールデンライオン」を「かご抜け」して、階上のスイートルームで、ある人物と極秘裏に会ったことが記されている。東洋経済記事によると、その人物は日本銀行の川合祐子金融市場局キャピタルマーケット担当企画役で、白川方明総裁の最側近の一人だという。
記事の内容から推察すると、『文藝春秋』記事は歳川氏が執筆したとも考えられる。密会には麻生首相の外交演説に手を入れるスタッフライター、新聞記者OBも同席したという。麻生首相は世界の金融危機が深刻化するなかで、その後開催が正式に決まった20ヵ国首脳会議などの場での、日本政府の新興国の金融危機に対応する施策などについて意見が交わされたことが記されている。
11月13日記事「憲法違反の外国為替資金特別会計」に記述したが、政府が国会の了解を取らずに、外貨準備を外国政府支援に流用することを国際会議で表明することは、憲法違反の疑いが濃厚だ。
一般国民は外貨準備の構造についての基礎知識を持たないから、「政府の外貨準備」と聞くと、政府が余裕資金として外貨準備を保有しているのだと勘違いしてしまう。100兆円の外貨準備が存在すると聞くと、日本政府もなかなかの金持ちだと錯覚してしまう。
だが、外貨準備はそのような余裕金ではない。政府が日銀から借金して外貨を購入しているのだ。外貨といってもドル紙幣を保有しているのではなく、大半は米国国債だ。つまり、日本政府が日本銀行から100兆円借金してそのお金を米国政府に貸し付けているのである。
かつて、橋本龍太郎首相が、日本政府が保有する米国国債の売却を示唆して物議を醸(かも)したことがあった。米国政府が睨(にら)みを利かせているために、日本政府が保有米国国債を自由に市場で売却できないと言われることが多い。
しかし、外貨準備を保有する経緯を踏まえれば、こんなおかしな話はない。日本政府が外国為替市場でドルを購入するのは、円高・ドル安が急激に進行する局面で、行き過ぎたドル安、円高を回避するために、ドル買い介入をする場合に限られる。ドル安が行き過ぎた局面でドルを買うのだから、市場が落ち着けば、当然、ドルは反発する。ドルが堅調な局面でドルを売却しても混乱は生じない。日本政府は値上がりしたドルを売ることで為替売買益を獲得できる。
ただ、別の側面から見ると、異なる意味も浮上する。日本政府が購入するのは米国国債だ。ドルが下落する局面では、海外の投資家はドル資産購入を嫌う。米国政府がどうしても資金を調達するには金利を上げなければならない。このような局面で日本政府が米国国債を購入してくれれば、米国政府の利益は極めて大きい。
森田実氏が指摘されたように、小泉元首相がブッシュ大統領に、購入した米国国債は売らないと約束したのなら、それは、日本政府が米国政府に資金を贈与したことと同じになる。こんなことが許されるはずがない。
日本の外貨準備の管理を日本国憲法の規定に沿って、国会決議事項にしなければならない。内閣支持率が低迷して月刊誌で宣言した解散総選挙から逃げ回る麻生首相が、国際会議で点数を稼ぎ、支持率を上昇させるために、国民に10兆円もの資金負担を負わせる施策を、国会の同意を得ることもなく国際会議で表明することが許されてはならない。
麻生首相帰国後の国会での最重要議題の一つに、外国為替資金特別会計法の改正を取り上げなければならない。
米国発の金融危機のマグニチュードは恐ろしく大きい。デリバティブ金融商品の想定元本は600兆ドル=6京円程度に拡大していると見られている。米国政府は米国最大の保険会社AIGに対する資金支援の規模を8.5兆円から15兆円に拡大した。
AIGは2008年7−9月期の3ヵ月にサブプライム関連損失を3.1兆円計上した。昨年夏以降の損失は760億ドル(7.6兆円)に達している。AIG社が抱えるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の残高は4000億ドル(40兆円)に達しており、AIGが破綻すれば、金融市場に大激震が走る。
政府系住宅金融公社(GSE)であるファニーメイとフレディマックが発行する債券や住宅ローン担保証券が総額5兆ドル(500兆円)存在し、そのうち1.5兆ドル(150兆円)が海外の中央銀行や金融機関に保有されている。11月10日、ファニーメイは2008年7−9月期の決算が289億ドル(290兆円)の最終赤字になったことを発表した。
両社の発行する債券には政府保証はついていない。2社だけで500兆円のハイリスク金融商品が世界の金融市場に広がっている。米国政策当局はすでに100兆円の公的資金枠を提示しているが、金融市場の不安心理は後退していない。日本の金融機関のなかにもGSE債を大量保有している金融機関がある。
麻生首相は日本の金融機関のダメージは相対的に小さいと主張して、日本の外貨準備資金を新興国の金融危機対応に流用するなどと発言しているが、日本の金融機関の現状は急激に悪化している。
日本の金融機関は株式を大量保有しているため、株価下落が自己資本比率に強い影響を与える。政府は地方銀行の保有有価証券について、時価評価規制を緩和するとの方針を示したが、極めて危険な対応である。時価評価の見送りは、損失の隠蔽(いんぺい)と先送りに他ならない。日経平均株価が8000円を割り込むと、日本の金融機関も破綻リスクを濃厚に抱え込むことになる。海外に資金を回す余裕などあっという間に吹き飛ぶ。
日本経済の急激な悪化、金融機関の自己資本不足から、激しい信用収縮が発生し始めた。企業倒産が急増し始めたが、銀行の貸し渋り、貸し剥(は)がし、はこれから、急激に拡大する。2008年年末に向けて、企業倒産の激増が予想される。
「政局より政策」が発言の本意だとすれば、補正予算案国会提出の2009年への先送りを理解することができない。麻生首相は「政策より政局」の意味で「政局より政策」発言をしていたのだとしか考えられない。
経済の急激な悪化に対する施策の決定、実行を数ヶ月先送りして、その結果、企業倒産激増、株価急落、景気深刻化加速が表面化した場合、麻生首相の責任は厳しく追及されることになる。解散どころではなく、麻生政権は総辞職せざる得なくなるだろう。
日本経済の悪化は急激に加速し始めている。日本経済への対応を数ヶ月も先送りして新興国への10兆円の資金支援を国会の承認をも得ないで発表するような、無責任極まりない政権には、一国も早く退場してもらわなければならない。日本国民が悲惨な地獄に突き落とされてしまう。
補正予算案を臨時国会に提出し、野党の意見を受け入れ、理念も哲学もない定額給付金を撤回して修正した補正予算を早急に成立させる。そのうえで衆議院の解散に踏み切るべきだ。これから到来する大不況に対応するには、国民の信託を受けた強固な本格政権が不可欠だ。
麻生首相は首相として、まず「私利私欲」から離れるべきだ。政治は「公」のものである。政治を「私」にすることは許されない。
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