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http://money.mag2.com/invest/kokusai/2008/11/post_87.html
ゆうちょ銀の上場断念も?転換を迫られる郵政民営化路線
郵政解散から3年間で激変した環境
今から3年前の2005年8月8日、衆議院が解散された。同じ日に開かれた参議院本会議で、郵政民営化関連法案が否決されたためだ。「郵政法案が否決された際には衆議院を解散して総選挙を行う」と明言していた小泉純一郎首相(当時)は、夜の記者会見で次のとおり“意気込み”を見せた。
「郵政民営化が必要ないという判断を下された。私は本当にこの郵政民営化が必要ないのか、国民の皆さんに聞いてみたいと思います。いわば今回の解散は郵政解散であります。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、これをハッキリと国民の皆様に問いたいと思います」
ご存知のとおり、それからというもの、大手メディアは「小泉劇場」「刺客」「小泉チルドレン」といった流行語を作り出し、この“郵政解散選挙”を盛り上げた。その結果は、与党327議席、野党135議席、無所属18議席。コイズミの圧勝であった。
一方、2005年といえば日本でも株高が始まった年だ。当時、“越境する投資主体”たちが我がもの顔で「日本買い」に走っていたことは記憶に新しい。この年、わが国における外国人投資家の日本株式保有率は、1970年の調査開始以来最高の水準を記録したのである。
あれから3年。事態は大きく変わった。サブプライム・ショック、そしてそれに続く世界金融危機と、次々と新たな問題が日本と世界のマーケットを襲った。そのような中で、“越境する投資主体”たちはサブプライム問題に典型的な形で見られる証券化された金融商品に伴う多額の損失という、出口の見えない問題を抱えるに至っている。
その「救世主」として注目されたのが国営ファンド(SWF)であり、かのIMFもそうした「救世主」が活躍する舞台を整えるべく、国営ファンド(SWF)による投資ガイドラインを自ら作成したほどである。しかし、現在に至るまで、国営ファンド(SWF)は大規模な投資を開始していない。「大山鳴動して鼠一匹」とは正にこのことだ。状況は悪化するばかりであり、景気減退の中で各国は強烈なデフレを恐れ、自国内での資金の抱え込みを行い始めているのだ。
そのような中、日本においても「郵政民営化とは一体何であったのか」「どのようなメリットがあるのか」といった声が再び上がり始めているのである。政府・与党内においてすら既に見直し論が出ている。一時は総額350兆円余もの資産を抱えていた「ゆうちょ銀行」及び「かんぽ保険」の上場という一大プロジェクトが今、宙に浮きつつある。
フランスの「ゆうちょ」上場にサルコジ側近は反対
マーケットとそれを取り巻く国内外の情勢をめぐる「潮目」をウォッチする中、ここにきて非常に気になる報道が1つあった。「ラ・ポスト:サルコジの特別顧問によれば資本開放はもはやない」という報道だ(11月2日付、仏ラ・トリビューン参照)。2日、サルコジ大統領の特別顧問であるガイノ氏は、現在の経済・財政状況を鑑み、「現下において、ラ・ポストの資本開放はもはや論外である」とラジオのインタビューで答えたというのだ。
フランスは、日本と同じく郵政民営化に向けた動きを見せてきた国である。フランスの郵便局「ラ・ポスト」は、民営化プロセスに向け、事業売却によって25億〜30億ユーロを調達すべく計画している。また、2010年の部分民営化を目指し、事業体としての形態変更を政府に要請するとの発表を、今年8月に行ったばかりである。つまり、フランスの「ラ・ポスト」と日本の「ゆうちょ銀行」は、2010年という1つの「潮目」を共に目指してきたいわば「運命共同体」ともいえるのだ。
特にフランスのサルコジ大統領は、就任後、構造改革という名の「破壊ビジネス」を破竹の勢いで推し進めてきた人物である。それなのに今回の報道にあるとおり、同大統領の側近が「破壊」を否定する発言をしているのだとすれば、フランスのみならず日本の「潮目」をも揺るがす事態であると言えよう。
一方、同時に見逃してはならないのが、欧州のドイツを巡る状況である。10月27日に予定されていた旧国営のドイツ鉄道(DB)による政府保有株の放出に伴う部分的民営化が「延期」されたのである。欧州の雄であるフランスとドイツでのこうした実状は、米国がこれまで世界的に推進してきた「破壊ビジネスの歯車」が、今正に止まりつつあることを示しているのである。
ところが、地球の裏側で生じているこういった事態の進展について、日本の大手メディアは一切報じていない。なぜかといえば、こうした事態が日本の大手メディアにとって不都合だからである。2005年の郵政解散の際に、あれ程「小泉劇場」の盛り上げ役を買って出ていたメディアが、今さら「世界の“潮目”は国営の維持に向かっている」とは口が裂けても言えないのである。
しかし、いくら隠しても「真実」は変わらない。日本の大手メディアがこのような大きな流れを見て見ぬふりをしていることは、メディア崩壊の兆しに他ならないと言えよう。
親米言論人の行く末は
このような郵政民営化の動向を含めた世界における最新の「潮目」について、
私は、11月29・30日に横浜、さいたま、東京で、そして12月6・7日に大阪、名古屋でそれぞれ開催するIISIAスタート・セミナー(完全無料)で詳しくお話できればと考えている。
それにしても気になるのは、2005年当時、「構造改革路線の効用」なるものを毎日のように大手メディアで吹聴していた「言論人」たちだ。現在、構造改革に代表される「破壊ビジネス」がすでに時代遅れであることは、以前、我が研究所の公式ブログで解説した世界銀行レポート「 The Growth Report(成長報告書) 」(今年5月に発表)からも明らかである。同レポートでは、「政府機能のいたずらな削減(民営化・規制改革)ではなく『効果的な政府』こそが目標である」と明言している。世界銀行で圧倒的な支配力を持っているのは米国勢である。その世界銀行がこうしたメッセージを発しているというのであるから、“潮目”がもはや「破壊」から「創造」へと移ったことは明白なのである。
そうである以上、ゆうちょ銀行の上場は、これまで日本で展開されてきた「破壊ビジネス」の“ボス”的存在であった米国そして米系“越境する投資主体”たちにすら、邪魔者扱いされる危険性もあると言えよう。それなのに未だに「構造改革」を唱えてやまない自称「言論人」が日本には山の様にいる。しかし、彼らが淘汰されるのはもはや時間の問題である。残すは米国というボスに裏切られ、捨てられた哀れな彼らの断末魔のみである。
定見なきは、本当の「潮目」を察知することの出来ない日本の政財官及び大手メディアのお歴々たちである。彼ら「親米言論人」の喧伝に流されず、本当の「潮目」を見極めながら金融マーケットの荒波を乗り越えていく気概を持つことが、今、日本の個人投資家・ビジネスマンに強く求められている。
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