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2008年11月12日
本当の悪は誰か
日刊ゲンダイで隔週に連載している原田武夫の「国際政治ナナメ読み」というコラムがある。
その11月11日号に、英紙サンデータイムズがその11月2日付の記事で、「今回の米特殊部隊による攻撃は、実のところ、シリア当局が完全に米国に協力して行なわれたものだった」こと、それどころか「シリアは9・11事件以降、米情報機関と密接に協力してきた」ことを、報じている事を紹介している。
そして原田氏は、これが「事実」なら大スキャンダルだ、何故なら、イランの核開発に協力しているという理由で米国はこれまでシリアを徹底的に批判してきた、しかもシリアは北朝鮮と緊密な関係を保持している、そのシリアが裏では米国とつるんでいたとなると、いままでのすべてが茶番だった事になる、と書いている。
「今回の米特殊部隊の攻撃」というのは、さる10月26日、米軍ヘリコプターが、テロリスト掃討のため、イラク国境に近いシリア東部のアブカマル近郊で建設中の民間ビルを越境攻撃し、ビルにいた子供ら8人の民間人を殺した攻撃のことである。
10月28日の読売新聞は、シリア国営通信がこの攻撃を第一報し、AP通信が米軍当局者の話としてこれが米国特殊部隊によるものだと伝え、そして、その攻撃がイラク駐留米軍からの攻撃であればイラク政権が反発し、交渉中の米国とイラクの駐留米軍地位協定の合意に悪影響が及ぶおそれがある、などと報じていた(10月28日読売)。
また朝日新聞は10月30日の報道で、シリアのアサド政権は対米批判を最小限に抑える異例の柔軟姿勢をとっているが、これは「被害者役」を演じて国際社会を味方につける狙いがあると書き、11月4日の毎日新聞は、この時期に米国が越境攻撃を実施した背景には、米国が対シリア強硬姿勢をあらためて示す狙いがあったとも見られているが、シリアが強い反発を示さなかったのは、シリアの関心はもはやオバマ次期政権にあり、あらためて政権末期のブッシュ大統領の威信の衰退を示している、などと、もっともらしく書いていた。
このように、誰もが米国とシリアは敵対関係にあると思っている時に、その実は米国とシリアが裏で手を結んでいると暴露されれば、原田氏ならずとも驚く。
しかし、実は私がレバノンにいた時に耳にしたレバノン人の認識では、米国とシリアが長年裏で手を結んで来た事は周知の事実であった。それどころかその先にイスラエルの情報機関モサドの存在が常にある、というのだ。
つまり中東情勢のすべては、イスラエルの情報機関モサドの手のひらの上で踊らされているという。
レバノン在任中に、私はついにその真偽についての確証をつかむ事はできなかった。
しかし、私がレバノン在任中にもっとも激しく批判していたのは、米国の中東政策でも、イスラエルのパレスチナ政策でもなく、シリアのアサド政権が米国の了承を得てレバノンを公然と軍事支配し続けていた事であった。
ところがある日突然に外務省から、これ以上シリア批判を続けると命に危険が及ぶから控えるように、という警告が私に届けられた。
この情報源はモサドを通じてしか考えられない。
外務省の中東情勢の情報源は、いまでは中東に駐在する日本大使からの情報よりも、モサドを通じた情報の方が有力なのである。
そういえば05年3月に起きたハリーリ・前レバノン首相の暗殺事件については国連の調査が3年越しで続いているのに未だに真相が明らかにされていない。
少なくとも国連は真相を知っているに違いないが、それを公表できない理由があるのだ。
米国・イスラエル・シリアの密通説の真偽については、もちろん今でも私は確証を持たないままである。
しかし、11月2日付の英紙サンデータイムズ紙の報道を知ったとしても、少なくとも私は原田氏ほど驚きはしない。
「中東情勢のすべてがモサドの手のひらの上で踊らされている」と断言するレバノン人までは信じないけれど。
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