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2008年11月12日
指導者の使命はあまねく国民を幸せにさせることである。少なくとも苦しめてはいけない。
11月12日の毎日新聞文化面で作家の古井由吉(ふるいよしきち)氏が「楽天の日々」というコラムで次のような事を書いていた。老年の読書について述べた一節である。
・・・老年の読書こそ、あの世まで(もって死んでいけない)どころか、本を閉じてしばらくすると、読んでいたその内容を忘れてしまう・・・いまさっきまで読みながら感心していたのに・・・その箇所をもう一度確かめたくなり・・・あちこち繰ってみるが、その場所に限って、どうしても見当たらない・・・どうせいい加減に読んでいたせいだ、と自分で思いなして止むことになるが、はたしてそうか。
書は読むが、しかし深くは解そうとはしない、という言葉が、たしか陶淵明の詩の中に見える。これを私は高年に入って座右の銘としている・・・
浜田和幸という国際情勢分析家がいる。私は彼の著書を読んで勉強させてもらっているのだが、その彼の最近著に「石油の支配者」(文春新書)がある。
それを読んで、忘れてしまう前にこのブログで読者に紹介しようと思って書いている。
この本は、最近の原油急騰の背景にある原因を、石油ピークオイル説をめぐる論争や、投機マネーの国家的操作、さらには誰も本当の統計数字が(原油の埋蔵、生産量のや世界を駆け巡る投機マネーの総量など)がわからないところからくる不透明さなどに求め、それを独占的に利用してきた米国と、米国に挑戦するロシアや中国の壮絶な資源争奪戦のなせる結果である、と書いている本である。
そして、そのような争奪戦に参加できる戦略を持たない日本政府が、米国が牛耳る割高な中東石油に頼り、結果として日本国民に高い原油のつけをまわしている事実を、無念の思いで指摘し、今からでも遅くないから日本は戦略を打ち立てなくてはならない、と警告している書である。
さて、私のこのような要約が、古井由吉氏の言う如く、「書は読んだが理解していない」結果でない事を願う。
自信がないから、興味ある読者は直接この書を読むことをお勧めするが、私がここで特に引用したい箇所は次の二点である。
一つは、われわれが当然のように口にする原油価格、すなわち1バーレル147ドルの最高値に跳ね上がったとか、それが現在は60−70ドルまで下がった、という数字は、あくまでもWTI(ウエスト・テキサス・インターミーディエイト)というニューヨーク先物取引価格を中心にした「親米価格」であって、たとえばベネズエラのチャベス大統領などは反米周辺国にバレル9ドルという安値で原油を売っている事、これは極端であるとしても、バレル20ドルほどで原油取引をしている反米諸国は多数ある事、その理由として、原油採掘原価はおおむねバレル10ドル以下で、20ドルで売っても利益は十分確保できる事、つまりこれを要するに、原油価格はきわめて政治的に決められる、という指摘である。
そうであれば、日本の指導者は、国民経済のために、外交力を駆使してよりやすい原油を世界の各地から安定確保するよう努めるべきではないか、対米、対中東」一辺倒ではなく、外交的な戦略を持つべきではないのか。
それを行なってアメリカの虎の尾を踏む事をおそれるのは、外交放棄ではないか、
という指摘である。
もう一つは、いま環境問題で当然視されている二酸化炭素排出権取引制度は、環境保護運動を利用した米国投機企業エンロン(天然ガスパイプラインの敷設・運営会社として発足したベンチャー会社がその後エネルギーの先物取引を通じ一大投機会社となり粉飾決算が明るみになって破綻した)が、ゴールドマンサックスと結託して米国ロビーを動かして作った制度であったという背景である。
それで一番カネをむしられるのが日本企業であるとすれば、これまた日本外交は国民経済を犠牲にして米国金融資本の餌食になっているということだ。
中国やロシアはいち早く米国との資源争奪戦にしのぎを削っている。
一頃の暫定税率廃止で一リットル何円高くなった、安くなったと大騒ぎし、今一人1万2千円の給付の名称や支払い方法で大騒ぎをしている日本の政治家は、目を醒ましたほうがいい。
そう浜田和幸氏はこの本で訴えているのだ、と私は思う。
間違っていたら、ごめんなさい。
古井由吉氏のいうように、本を読むが、正しく理解していないということだ。
それはまさしく田母神前幕僚長と同じだ。
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