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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081111dde001010008000c.html
前空幕長論文問題:田母神氏、論文応募「幹部に紹介」−−参院外交委・参考人質疑
◇言論統制と反論
参院外交防衛委員会は11日、政府の歴史認識に反する懸賞論文を公表し更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長(60)に対し、参考人質疑を行った。田母神氏は同じ論文に航空自衛官94人が応募した問題について「航空幕僚監部の教育課長に『こういうものがある』と紹介した」と明らかにした。防衛省はこれまで、教育課長が自らの判断で募集要領を各部隊に送ったと説明しており、食い違いを見せた。田母神氏は一方で「私が指示したら(隊員の応募は)1000を超える」と述べ、直接の指示は否定した。
約6000万円の退職金の自主返納については、「その意思はない」と否定した。
また自身の論文について「村山談話は具体的にどこが侵略とは書いていない」と述べ、論文は政府見解に反していないと主張。論文公表を事前に防衛省に通知しなかった点は「職務に関係がないので通知しなかった」と説明した上で、「書いたものはいささかも間違っていない」と改めて持論を展開。「(論文で)日本がいい国だと言ったら解任された」と不満を述べた。
論文は集団的自衛権の行使に言及したが、田母神氏は「一般的な状況を書いた」とする一方、「今は憲法を改正すべきだと思う。国を守ることについてこれほど意見が割れるようなことは直すべきだ」と主張。「日本ほど文民統制が徹底している国はない。まだ(統制を)やると言われたら自衛隊は動けなくなる」「政府見解で言論統制をするのはおかしい」などと反論した。
論文を募集したマンション・ホテルを全国展開する総合都市開発「アパグループ」との関係については、田母神氏は「車代を含めて資金提供は一切受けていない」と語った。
野党側は「田母神氏になぜ懲戒処分の手続きをしなかったのか」と追及。浜田靖一防衛相は「田母神氏が徹底抗戦すれば処分に時間がかかる。隊員の士気が落ちる事態は避けたかった」と述べ、事態収拾を優先した点を説明した。
昨年5月、田母神氏は空自の部内誌「鵬友」に今回と同趣旨の論文を寄稿。これについて浜田防衛相は「チェックしていなかったのは問題だった」と不手際を認めた。田母神氏は「今年になり(世間に)騒がれたから話題になった」と語った。
この日は通常の参考人招致と異なり、田母神氏が委員の質問だけに答える形式を取った。田母神氏が持論を一方的に披露することを警戒したためで、会議の冒頭、北沢俊美委員長(民主)が「委員会は論文問題をただす場。個人的見解を表明する場ではない」と田母神氏にくぎを刺す場面もあった。
問題の論文は10月31日に公表された。「日本が侵略国家というのはぬれぎぬ」などと主張する内容。浜田防衛相は田母神氏を空幕長から更迭し、今月3日に定年退職させた。【松尾良】
◇村山談話「言論弾圧の道具だ」−−委員会後、語る
委員会終了後、田母神前航空幕僚長は報道陣の取材に応じ「村山談話の正体が、本日分かった。村山談話は言論弾圧の道具だ。自由な言論を戦わせることができないならば、日本は北朝鮮と同じだ」と憤った。退職金については「生活が苦しいので、ぜひ使わせてもらう」と返還の意思がないことを強調した。
毎日新聞 2008年11月11日 東京夕刊
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