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2008年11月10日
拉致問題はどうなってしまったのか
拉致問題といえば、最近はニュースになるのは、もっぱら横田早紀江さんによる国民への必死の訴えか、拉致被害者を救う会の調べによる拉致被害者のあらたな情報である。
横田早紀江さんの苦しみを思うにつけ胸が痛む。
拉致被害者の消息に関するあらたな情報が、日本政府の調査ではなく、民間NGOによって発表される事に、矛盾と苛立ちを覚える。なぜ日本政府が国民救出の先頭に立てないのか。
そう思っていたら、11月7日の東京新聞のコラム「大波小波」の中で、拉致被害者家族連絡会の元副代表であった蓮池透さんが独占インタビューに答えた、という記事を見つけた。
蓮池透さんの名前とは懐かしい。一時は毎日のようにメディアに出て政府に物申していた蓮池透さんであったが、弟の蓮池薫さんが救出された後はぱったりとメディアに出る事はなくなった。
その蓮池透さんが、コンビニなどに置かれている「実話ナックル」という雑誌の11月号のインタビューで率直に話した、というのだ。
「実話ナックル」という、一般国民にはなじみの薄い雑誌の記事を、全国紙である東京新聞が引用するのは異例だが、その事は、とりもなおさずこのインタビュー記事が注目すべき内容を含んでいるという事だ。
私はいまだ「実話ナックル」のインタビュー記事を読んでいないが、東京新聞の次の書き方を見るだけでも、かなり衝撃的な事を蓮池透さんが述べている事は想像できる。
・・・このインタビューを読めば、(蓮池透さんが急にメディアの最前線から姿を消した)その理由が何となくわかる。
家族を取り戻したいとの素朴な思いが、結局は金正日体制崩壊を目標とする政治的イデオロギーに回収されてしまったこと・・・
政治決着の局面を常に(裏切る形で)反故にしてきたのは、実は北朝鮮ではなく日本の側だった、
などを、蓮池さんはとても真摯な口調で語っている・・・
しかし、蓮池透さんの、この真っ当な主張は、なぜか大手新聞や週刊誌、テレビの報道番組などからは、ほとんど黙殺されているようだ・・・彼(蓮池透)が明かす水面下の事実や主張が広まったら困る人がいるのだろうかと勘ぐりたくなる・・・
この東京新聞の記事は、蓮池透さんの意見を真っ当な主張であると言い、そのような主張を述べるのは岩波の「世界」と「週刊金曜日」くらいだ、と書いているから、強硬な経済制裁に固執する日本政府の立場を批判し、北朝鮮との国交正常化を急ぐべきだ、と主張する立場に立っている事はあきらかだ。
「経済制裁強化ばかりを叫んでみても実効力はない。むしろ逆効果だ」、という意見には私も同感する。
しかし、拉致被害者救出より日朝国交正常化を急げ、とする「世界」や「週刊金曜日」や、そしておそらくこの東京新聞の筆者の意見には、私は賛同できない。
だから私はこのコラムの主張自体に特段の共感を抱いたわけではない。
私がこのコラムで注目したのはただ一点、すなわち「政治決着」を反故にしてきたのは実は日本側だった、という蓮池透さんの告白である。
これはどういう意味であろうか。
私はこう解釈している。
すなわち突然の小泉訪朝で発せられた日朝共同宣言の裏では、北朝鮮側が一方的に通告した拉致被害者の救出と、北朝鮮側のなんらかの形の謝罪と引き換えに、国交正常化を実現し巨額の経済援助を供与する、という了解が日朝間にあったのだ。
日本側としては、本来は、その時点でノーベル平和賞に値する歴史的和解となるはずであった。
しかし、救出されなかった多くの拉致被害者家族の慟哭と、それに共鳴する世論の声に圧倒され、さすがの小泉元首相もその密約を反故にせざるを得なかったのだ。
更に言えば、蓮池、地村、曽我の家族の釈放に際しては、日本に一時帰国させた後は再び北朝鮮に送り返すという約束があったにもかかわらず、これまた世論の声に押されて、日本政府、外務省はその約束を裏切ったのだ。
私は思う。もはや日本政府、外務省は、小泉訪朝時のすべてを国民の前で明らかにし、これからの対北朝鮮外交は、国交正常化、援助供与と引き換えに、拉致の全貌を明らかにし生存者すべての釈放を求める同時決着しかない。
そのような対北朝鮮外交を、国民の目の前で、国民の支持を受けて行う事しかない、と。
いつまでたっても米国の方針に期待するだけでは、拉致問題の解決はおぼつかない。
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