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読む政治:前空幕長論文問題(その2止) 「危険人物」不安現実に【毎日JP】
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投稿者 ワヤクチャ 日時 2008 年 11 月 09 日 19:48:58: YdRawkln5F9XQ
 

読む政治:前空幕長論文問題(その2止) 「危険人物」不安現実に【毎日JP】
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081109ddm002010103000c.html

 <1面からつづく>

 「文民統制上、今回の一件はイージス艦の事故以上にダメージが大きい」と防衛省内局の幹部は嘆く。今年7月に出た防衛省改革会議の報告書を踏まえ、背広組と制服組が並立的に政治を補佐する新たな文民統制を模索していたためだ。

 出はなをくじいた田母神(たもがみ)俊雄前空幕長は一体どんな人物なのか。

 出身は福島県。71年に防衛大を卒業し、航空自衛隊では青森県三沢基地や石川県小松基地などでの勤務を経て、昨年3月に航空幕僚長に就任した。収賄で実刑判決を受けた守屋武昌前防衛事務次官の人事だった。

 東北なまりの残るぼくとつとした口調で、ユーモアを交え、歯に衣(きぬ)着せぬ発言を繰り返した。田母神氏をよく知る空自幹部は「この人のためなら水火も辞さずと思う」と語る。

 そんな田母神氏が、今回の懸賞論文を主催した総合都市開発会社「アパグループ」の元谷外志雄(もとやとしお)代表(65)と知り合ったのは小松基地勤務時代だ。小松出身の元谷氏は、空自小松基地金沢友の会の会長を務めていた。

 2人を知る関係者によると、元谷氏が懸賞論文を企画したのは、「財を成したんだから、社会に還元したらどうですか」と田母神氏が進言したことが契機だったという。ただ、最優秀賞になった田母神氏の論文「日本は侵略国家であったのか」は、「引用ばかりで低レベル。出来レースではないか」といぶかる声も防衛省内にはある。

 ◇言動に官邸懸念
 「そんな講演はやめさせろ。何を言うか、分からんぞ」

 今年5月、二橋正弘官房副長官(当時)は防衛省の中江公人官房長を一喝した。田母神氏が5月24日に東京大の「五月祭」で講演する予定だと、報告を受けたためだ。

 田母神氏は4月18日、名古屋高裁がイラクへの空自派遣を違憲認定したことを受け、流行のコメディアンをまねて「そんなの関係ねえ」と記者会見で発言。首相官邸は平静を装ったが、実際は「危険人物」とみていた。

 「田母神が余計なことを言って問題になった時、『官邸に連絡した』と言い訳するのか。ふざけるな」と二橋氏の怒りは収まらなかったが、石破茂防衛相(当時)が事前に講演内容をチェックし、「質疑応答はなしだ」とくぎをさしたと聞き、渋々講演を認めた。

 田母神氏の言動を懸念しながらも、手を出しあぐねた官邸の「不作為」が浮かび上がる。

 講演当日、田母神氏は「爆弾発言を期待している方もいるかと思いますが」と笑いを誘った。歴史については「日本が侵略国家だったから戦争になったという見方が飛び回っているが、そうではないという見方もある」などと断言を避けた。

 ◇前空幕長「300万円取ったんです」 自ら論文を配り歩く
 騒動は10月31日午後3時過ぎから始まった。定例記者会見を終えた田母神氏は、防衛省A棟11階の大臣室や次官室を訪ね、受賞論文を配り歩いた。同じころ、防衛省記者室にニュースリリースと論文が配られた。

 「賞金300万円取ったんです」。田母神氏は増田好平事務次官に胸を張ったという。増田次官と中江公人官房長は、渡された論文を読み「これはまずい」と直感し、地元・千葉にいた浜田靖一防衛相に通報。午後4時には首相官邸にも連絡した。

 夕方、議員会館に戻った浜田氏は電話で「論文の内容は幕僚長として問題ですよ。辞表を持って来られたらどうですか」と田母神氏に通告した。しかし、返事は「間違っていますかね」だった。防衛省に戻った浜田氏は午後10時に更迭を表明。人事は深夜の持ち回り閣議で承認された。

 空幕長は解任したものの、空将としての田母神氏の身分は残った。首相官邸は6000万円に上る退職金への批判を懸念し、懲戒免職にこだわった。

 公務員の懲戒には審理が必要だが、通常は本人が審理を辞退するため、翌日には処分が下る。しかし、岩崎茂空幕副長らの聴取に、田母神氏は「自分の正しさを堂々と議論する」と争う姿勢を見せた。

 政府高官は、河村建夫官房長官に「処分に持ち込むのは無理です」と報告。「田母神氏が制服姿で持論を訴えたら致命的だ」と考えた防衛省は3日夕、田母神氏の定年延長を打ち切り、退職させた。

 アパの懸賞論文に応募した航空自衛官は田母神氏以外に94人。空幕教育課はアパの応募要領を全国の部隊にファクスしていた。組織的な関与があった可能性は否定できない。

 田母神氏は11日、参院外交防衛委員会に参考人として招致される。大量応募の背景や自衛隊での歴史教育内容などが焦点だ。

    ◇

 編集委員・古賀攻、古本陽荘、松尾良、白戸圭一が担当しました。

毎日新聞 2008年11月9日 東京朝刊

 

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