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2008年11月08日
オバマ外交の試金石はただ一つ、「テロとの戦い」をどう進めるかである
誰もが指摘していることではあるが、オバマ次期大統領が直面する課題は、ブッシュ政権の膨大な負の遺産をどう処理するかである。
そのうち、経済崩壊を食い止める事は、多くの人々の当面の関心であろう。
しかし、私はやはりオバマ外交に注目する。
そのなかでも、中東政策、すなわち対パレスチナ政策がどうなるのか、そのコインの裏側である「テロとの戦い」をどう進めるか、この事に的を絞って、私はオバマ次期大統領の出方を注視していきたい。
なぜならば、これこそが世界を分断したブッシュドクトリンからチェンジできるかどうかの試金石であり、対米従属外交の呪縛から逃れられない日本が、最も影響を受ける問題であるからだ。
次期政権の主要人事で、オバマ氏が最初に決定したのが、首席補佐官ラーム・エマニュエル氏(48歳)の指名であった。
その打診の段階で、イスラエルのメディアはいち早く「我々の仲間がホワイトハウスに」と期待を込めて一斉に報じたという(11月7日読売)。
そのエマニュエル氏の経歴を11月8日の各紙から読み取ると、父がイスラエルからの移民であるいわゆるユダヤ系米国人である。
若くして、議会を動かす司令塔のひとりにまで上り詰め、当選を重ねれば下院議長の座も確実だという実力者だ(朝日)。
その一方で、「仲たがいした知人に死んだ魚を送りつけた」、「食事中、政敵をのろいながらナイフをテーブルに突き刺した」、という攻撃的な性格を物語る逸話に事欠かない(読売)。
ベトナム帰還兵を描いたハリウッド映画「ランボー」の異名をとり、91年の湾岸戦争では、ボランテアーとしてイスラエルの基地で働いたという(毎日)。
そのようなエマニュエル氏は、同じシカゴを地盤とするオバマ氏と個人的に極めて親しいという。
このような人物を首席補佐官に指名したオバマ次期大統領の中東外交は、はたしてブッシュ外交からのチェンジを行う事ができるのか。
おりから中東を歴訪中のライス米国務長官は、「中東和平の年内の合意は不可能」と述べ、その難題をオバマ政権に引き継ぐ事を明らかにした。
オバマ氏はイラクからの撤退を繰返す一方で、「テロとの戦い」の継続を強調しその主戦場はアフガンだと公言している。
そのアフガンはどうなっているのか。
11月8日の産経新聞に、英国のクーパーコールズ駐アフガン大使の極秘電報をフランスの新聞がすっぱ抜いた記事を見つけた。
英国大使が仏大使にこう話したという。
「治安は悪化し、アフガン政府はあらゆる信頼を失った。米欧軍の存在は解決に役立つどころか、むしろ問題をこじらせている」。
この内話を報告した外交電報を、フランスの新聞が暴露し物議を醸したというのだ。
オバマ氏はアフガン介入を「勝たなければならない戦争」と呼び、増派を明言している(8日産経)。
オバマ陣営のある幹部は「安全保障での最優先はテロ組織アルカイダの掃討だ」と言い、オバマ氏も「どんな場所でも彼らに先制攻撃できる」とのべ、パキスタンへの越境攻撃も辞さない姿勢を示唆しているという(11月8日毎日)。
米ダートマス大のマスタンドゥーノ教授は「米外交政策の新しい夜明けが来ると信じている人々は、落胆することがあるかもしれない」と言う(11月8日毎日)。
国際情勢を正しく理解する事無く、オバマブームにあやかろうとするわが国の二大政党が、「アフガン戦争への協力を行なわないと日米関係が損なわれる」と勝手に決め込んで、アフガン戦争への協力を競い合う、そんな姿だけは見たくない。
エジプト・アハラム政治戦略研究所の二人の代表者がいみじくも指摘していた。
「オバマ氏はイラクからアフガニスタンへのシフトを優先外交課題に掲げている。しかしパレスチナ問題で重要な役割を果たさない限りこの地域ではいかなる政策も効果的ではない」(11月8日毎日、ハッサン・タリブ副所長)。
「中東での米国の信用を取り戻すために・・・イスラエルにユダヤ人入植地の拡大停止を要求すべきだ・・・米国がパレスチナ問題で『公正な和平調停者』だというメッセージをアラブ諸国に送る(必要がある)・・・」(11月3日読売、アブドルモネム・サイド所長)。
その通りなのだ。
あまりにも一方的で非人道的なイスラエルの政策を、米国がほんの少しだけたしなめるだけで、「テロとの戦い」は終わる。
この事を、オバマ次期大統領に助言する事のできる国は、中東の流血に関与してこなかったわが国、憲法9条を掲げる平和外交を誇れる戦後の日本をおいてない。
そしてそれはオバマ米国の為でもあるのだ。
オバマは耳を傾けるかもしれない。米国の言いなりになるばかりの日本が、その米国を変える事が出来るかも知れないのだ。
それこそが YES WE CAN なのだ。
この事に気づき、それを実行できる国際政治感覚のある政治家が出てこない日本を、つくづく残念に思う。
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