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http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/news/20081106dde012070034000c.html
早い話が:おらあサンタだ、ね=金子秀敏
2兆円のばらまきだ。追加経済対策と称して、麻生太郎首相が国民に定額給付金をばらまこうとしている。これだけあめ玉をばらまく以上、解散・総選挙を打たない手はない。そうでなければ政治的意味不明の無駄遣いと批判される。
「クリスマス解散・年明け総選挙」という声がでてきた。首相は、政治空白を作らないと言ってきたが、米国では大統領選挙と上院議員選挙と下院議員選挙をいっぺんにやっているのだ。日本だけ総選挙で混乱するという道理はない。もしもクリスマス解散なら、あめ玉くばりの首相はサンタだ。
歴代首相にとって、解散は重大事だ。だれもが神仏に祈ったことだろう。大安や友引などの吉凶も気になるだろう。麻生首相はカトリックだからクリスマスは吉日。首相の尊敬する祖父、吉田茂元首相もクリスマスイブの前日に解散した前例がある。
日本の政界でキリスト教徒は少数派だ。むかし、青山葬儀所で自民党古参議員の葬儀を取材したことがある。珍しくキリスト教式だった。岸信介、田中角栄、三木武夫、福田赳夫、鈴木善幸の歴代首相経験者が列席した。
献花が終わり、オルガンが賛美歌320番「主よ、みもとに近づかん」を演奏し始めた。全員起立して歌い出した。が、首相経験者たちは一様に下を向いて黙っていた。一列後方から調子外れのだみ声が聞こえた。金丸信・総務会長だった。
武骨な見かけと賛美歌の取り合わせが人目を引いた。金丸氏にたずねると「賛美歌は、母親の背中で覚えた。オレの子守歌だ」と得意げだった。
金丸氏が生まれた大正時代は、地方の富裕な地主たちが都会からキリスト教系の名門女学校を出た女性を息子の嫁に迎えるのがはやったのだそうだ。晩年の脱税事件で悪いイメージばかりが強いが、大正デモクラシーの残影を感じさせる懐深さがあった。
大平正芳元首相はプロテスタント。首相番記者に向かって「赤字国債の発行は、大蔵大臣としてやってはいけないことだ。しかし、石油ショックから立ち直るまではと神に向かって祈った」と言っていた。だから赤字国債を返済するために一般消費税を導入する、と解散したが選挙は惨敗、翌年の選挙の最中に心臓発作で他界した。
賛美歌も祈りもハッピーエンドを保証するわけではない。なぜサンタたらんとするのか、麻生首相のいまの心は、神のみぞ知る。(専門編集委員)
毎日新聞 2008年11月6日 東京夕刊
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