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2008年11月07日
企業の社会的責任
私は会社経営者の立場に立った事がないのでえらそうな事をいうつもりはない。
しかし、ひとりの常識人として、企業には企業の存続に不可欠な利潤追求のほかに、「それを失えばいくら収益の高い企業であっても存続する価値はない」、という社会的責任があると思う。
11月7日のトヨタに関する新聞記事を読んでこの思いをあらたにした。
各紙が一斉に報じていたのは自動車業界の収益悪化である。
自動車業界といえばトヨタの存在が圧倒的だ。
なにしろ、財政赤字の国はあてに出来ないので、JR東海と組んで自己資金で東京から本社のある名古屋までリニア新幹線を走らせようとするほどの企業である。
だから各紙もトヨタの木下光男副社長の大幅減益発表のニュースを大きく報じていた。
読売新聞はその社説で、「あのトヨタすら大幅減益に」という見出しで世界経済状況の深刻さを強調し、その対応策にとしてコスト削減、新技術の導入、企業合併・買収などで生き残りを期待したい、などと書いていた。
しかし、報じられるトヨタの副社長の言葉にも、読売の社説にも、そこで生活している従業員の苦境や地域経済への影響に関する言及はない。
その一方で、11月7日の東京新聞は、派遣社員の大量解雇により街がガラ空きとなりつつあること、毎日新聞は、トヨタがくしゃみすれば下請けはかぜをひき、まご請は重態になる、という69歳の組み立て会社社長の言葉を引用し、国民生活に及ぼす影響の深刻さについて書いていた。
企業の社会的責任とはなにか。
それは公害、薬害、食品偽装など、明らかに反社会的行為を行なわないという事だけではない。
その関心を、企業の拡大や生き残り競争にだけに目を向けるのではなく、業績がいい時はその利益の一部を社会に還元し、業績の悪い時はその痛みを社会とともに分かち合って乗り切っていくという覚悟を持つという事ではないのか。
アシストというコンピューター会社の社長であるビル・トッテン氏の言葉を思い出す。
日本に帰化した米国人のビジネスマンである。
その彼がかつてその著書でこう言っていた。
今はまだアシストの業績は大丈夫だ。しかしいずれ厳しい時代が来るかもしれない。その時私は、社員に理解を求めるつもりだ。雇用カットをして乗り切るより、給与カットという痛みを皆で共有し、力をあわせて厳しい状況を乗り切る道を選びたい、と。
社会的貢献とはこういう事ではないのか。
人間が人間を疎外してはいけない。
みなで力をあわせて生きることこそ人間のみに与えられた知恵ではないのか。
弱肉強食の世界は動物の世界だけでよい。
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