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http://www3.nhk.or.jp/news/t10015099051000.html
障害者自立支援法 見直し訴え
10月31日 19時16分
おととし始まった障害者自立支援法の抜本的な見直しを求める集会が、31日、東京都内で開かれ、全国から集まった障害者が、福祉サービスに自己負担を求める今の法律を改め、安心して暮らせる制度を作るよう訴えました。
この集会は、全国の障害者で作る3つの団体の呼びかけで開かれたもので、東京・千代田区の会場には全国から6500人の障害者や支援者が集まりました。集会では、まず、主催者の代表があいさつし、「障害者自立支援法で自己負担が始まったことでサービスを減らさざるをえず、障害者の日常生活に支障が出ており、早急な見直しが必要だ」と訴えました。続いて、聴覚障害者の代表が、実際に手話通訳者の派遣事業の利用が減っていることや、派遣事業を利用できない自治体もあることを紹介し、「生きるための基本的な権利が制限されたり、住む場所で格差があったりするのはおかしい」と訴えました。集会では、最後に、サービスを受ける際に原則1割の自己負担を求める今の法律を改め、障害者ひとりひとりの生活を踏まえ、安心して暮らせる制度を作ることなどを国に求めるアピールを採択し、参加者たちは国会議事堂へ向けてデモ行進しました。
■関連記事「読売新聞」
☆(上)援助は不可欠 「益」ではない
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20081028-OYT8T00447.htm
「支援法は憲法違反」提訴へ
障害者自立支援法では、障害者が公的介護などを受ける際、原則として費用の1割を負担しなくてはならない。この仕組みが、憲法が定める法の下の平等に違反するなどとして、障害者約30人が今月31日、各地で一斉に提訴する。(安田武晴、写真も)
蓄えたいのに
乾燥させた堆肥をミキサーにかけて細かくする林政臣さん。
月8万円を超える負担が重くのしかかる 「息子の障害は重く、年齢とともに医療などの費用がかさむと思う。少しでも蓄えておきたいのに、これではとても無理」。埼玉県白岡町の障害者支援施設「太陽の里」で暮らす林政臣さん(33)の母、たみ子さん(60)はため息をついた。
原告の1人である政臣さんは、最重度の知的障害を伴う自閉症で、頻繁に、着ている衣服を破ったり、水を大量に飲んだりする。最近は、施設職員の支援で落ち着いているが、日中、施設の敷地内で堆肥作りを行う時も、見守りが欠かせない。
施設で政臣さんを支援するための費用は、月に約41万円。このうち政臣さんは、2万4600円を自己負担している。原則は全費用の1割だが、多くの支援を必要とする人の負担が重くならないよう、所得に応じた上限があり、この金額に抑えられている。残る約39万円は、国と自治体が税金で賄っている。
政臣さんの負担には、食費と光熱費・水道代として5万7200円が加わり、負担の総額は8万円を超える。2006年4月に自立支援法が施行される前は、負担の総額は約5万円だった。
亡き父の思い
一方、1か月の収入は、障害基礎年金8万2000円と、扶養共済手当4万円、堆肥作りの工賃約1000円の計12万3000円。差し引き約4万円が残るが、服を頻繁に破ってしまうので衣料費が人一倍かかる。さらに、大量に飲むスポーツドリンク代、精神科などへの通院費もあり、ほとんど残らない。預貯金はなく、たみ子さんも、遺族年金とアルバイトで何とか暮らしており、小遣いなどを渡す余裕はない。
政臣さんの場合、扶養共済手当の4万円がなければ減免を受けられ、1割負担分は約1万6600円安くなり約8000円に、食費と光熱費・水道代も約1万1000円安く、約4万6200円になる。負担の総額は約5万4200円となり、自立支援法施行前より高い。
この扶養共済手当は、政臣さんの父が1979年から、病気で亡くなる96年まで、毎月4000〜5000円をかけ続けたお金だ。「夫は、政臣が年を取っても安心して暮らせるよう、手当を貯金してほしいという思いでかけてきたのに……」と肩を落とす。
増え続ける予算
自立支援法では、介護など公的支援を受けることは障害者にとって「益」であるとし、応分の費用を支払う「応益負担」の仕組みを取り入れている。増え続ける障害者支援の予算を、障害者も含め国民全体で支え合う仕組みにすることが目的だ。
応益負担の導入と引き換えに、ホームヘルプなど在宅支援について、国と自治体の費用負担を義務化。予算も毎年1割ずつ増え、施行前の05年度に約8000億円だった総費用は、今年度1兆円を超えた。
施行前は、所得に応じた「応能負担」だったため、自己負担ゼロの人も多かった。だが、在宅支援については、国や自治体に費用負担の義務はなく、予算内でやり繰りすればいいという不安定な仕組みだった。
応益負担には様々な減免措置があり、実質的には応能負担に近い。自己負担も平均3%程度となっている。だが原告たちは、生きていく上で不可欠な支援を「益」とする考え方自体に反対している。
代理人の藤岡毅弁護士は、「応益負担は、障害がなければ負うことのない特別な支出を強いるもので、ハンディキャップ税とも言える不平等な仕組みだ」と強調している。
障害者自立支援法
障害者が自立した生活を送れるよう、必要な介護や就労支援などを公的に提供するための法律。全国で約50万人が利用している。原則、費用の9割の支出を国と自治体に義務づけ、残りの1割を利用者が負担する。06年4月施行。来年、見直しが予定されている。
(2008年10月28日 読売新聞)
☆(下)低所得層に 重い負担感
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20081029-OYT8T00404.htm
生活・就労支援の利用料 反発広がる
日常生活や就労の支援について、障害者自立支援法による原則1割の自己負担を取るべきではないという考え方が広がっている。自己負担は必要なのだろうか。(安田武晴、写真も)
生活に不可欠
手話通訳者(左)を介して会話する三原恭明さん。「手話通訳を利用するのに自己負担がかかるのはおかしい」と訴える 「聴覚障害者と、聞こえる人が会話をする場合、手話通訳は双方にとって必要。障害者側だけが通訳の利用料を負担するのはおかしい」
東京都昭島市の同市聴覚障害者協会会長、三原恭明さん(58)は、手話に力をこめた。自立支援法では、手話通訳者の派遣について、自己負担を徴収するかどうかを、市町村の判断に任せている。ほとんどの自治体が、自立支援法施行前と同様に無料を維持しているが、一部の自治体で、同法の1割負担の原則にならい有料化している。
三原さんが暮らしている昭島市では、昨年末まで、通院時に医師や看護師らと会話するために手話通訳者を派遣してもらうと、2時間200円を支払わなければならなかったが、三原さんたちの強い要望で現在は無料になった。金融機関での融資の相談や就職活動の面接など、有料のケースも一部残されているものの、日常生活にはほぼ支障がない環境が整いつつある。
三原さんは、「障害の有無にかかわらず、話をすることは日常生活に不可欠。自己負担がかかること自体、納得できない。完全無料化に向け引き続き訴えていく」と話している。
「あり得ない負担」
自立支援法では、障害者が公的支援を受けることを「益」と考え、その益に応じた負担(応益負担)を求めている。この原則は、就労支援でも同じ。働く力を高めるため、必要な介護や支援を行うからだ。だが、施設などでの就労、とりわけ、施設と雇用契約を結び、労働者として働く雇用型の就労継続支援にまで自己負担がかかることには、反発が強い。
大手食品容器メーカー「エフピコ」(本社・広島県福山市)は、雇用型の就労継続支援事業所を7か所運営し、知的障害者ら計約160人を雇っている。大半は障害の程度が重く、特別な支援が必要だが、自己負担を徴収していない。同社人事部で障害者雇用を担当している且田久雄さんは、「企業が人を雇用する際、利用料を取ることは通常あり得ない。障害者だからといって、自己負担を求めるのはおかしい。自己負担を取っていい部分と、取るべきでない部分を精査する必要がある」と話している。
「応益負担」利点も
応益負担では、所得にかかわらず、支援をたくさん利用する人ほど負担が大きくなる。このため、低所得であるほど負担感は重くなるという問題点がある。岡部耕典・早稲田大学客員准教授は、「応益負担は、低所得層にとっては“不利益”になる仕組み。多くの減免措置が講じられ、所得に応じて負担する『応能負担』に限りなく近づいているが、基本構造は変わらない。この際、応能負担に戻すべきではないか」と主張する。
一方、京極高宣・国立社会保障・人口問題研究所長は、「応益負担の長所にも、目を向けるべきだ」と強調する。利用者の負担により財源を確保し、需要を抑制して過剰な給付を防ぐ効果のほか、利用者としての権利性を高め、「お上の世話になっている」という意識をなくすことにもつながるという。
「障害者自身が支援の利用量に応じて負担することにより、支援の拡充が必要な場合に国民的合意が得やすくなる」と、京極所長。低所得の障害者へは、障害基礎年金の増額など、所得保障で対応することを提案している。
就労継続支援
障害者自立支援法に基づく就労支援のひとつ。企業などでの一般就労が難しい障害者が、福祉施設に通い、職員から支援や指導を受けながら働く。雇用契約を結ぶ雇用型と、結ばない非雇用型がある。今年1月時点で、雇用型は204か所あり、利用者は3574人。非雇用型は1582か所、2万9106人。
(2008年10月29日 読売新聞)
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