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社説
定額給付金 安直すぎて不安が膨らむ
自民、公明両党は苦肉の策と言いたいところだろうが、「ばらまき」の性格が一層鮮明になった。日本の将来は大丈夫か。そんな不安が首をもたげてくる。
政府、与党は追加経済対策の柱だった定額減税を、現金やクーポンなどを市町村窓口で支給する「給付金方式」に切り替えることで最終合意した。支給規模は二兆円に上る。
米国発の金融危機は世界経済に深刻なダメージを与えた。株価下落と円高が急速に進み、国内景気も悪化している。そこに配られるカネだ。歓迎の声もあるに違いない。
だが、一時的な給付金が確実に消費刺激につながるかは疑問だ。しかも財源は税金である。詰まるところ景気浮揚を期待して税を「先食い」するにすぎず、急場しのぎとしかいえない。財政悪化を助長すれば、そのつけは納税者に回ってくる。
合意に至るまでの過程で目立ったのも政治の安易さだった。定額減税はもともと公明党が主張し、総選挙への思惑もあって政府の総合経済対策に「年度内実施」が盛り込まれた。
それが即効性や対象者拡大による効果を狙い、最後になって自民党が給付金方式への変更を提案した。
所得税減税では税を納めていない低所得者層が外れ、個人住民税では控除が来年六月以降にずれ込むなどの問題点があるためだ。高額所得者を対象から除く案も地方自治体などの事務が過重になるとして見送られた。
国民の不安を取り除き、不況を克服するためにスピードが不可欠な要素であることは分かる。しかし、当初方針に縛られ、目先のカネを配ることだけにとらわれすぎたのではないか。一方で政策の妥当性をめぐる議論は置き去りにされた印象が強い。
給付金方式の先例には一九九九年に配布され、「ばらまき」との批判を浴びた総額七千億円の「地域振興券」がある。公明党が主導し、対象は十五歳以下の子どもを持つ世帯主や高齢者に限られていた。安直に過去の施策を膨らませるのでは知恵も感じられない。
それだけに選挙目当ての印象が際立つ。麻生太郎首相は衆院選を越年させる方針だ。給付金については年内実施を目指す考えを示唆した。給付の効果を見極めて、選挙の時期を算段したいという腹づもりもあろう。
ただ、不況の先行きが見通せないいま、有権者が求めているのは日々の安心だ。雇用がきちんと確保され、老後の生活の保障があってこそ財布のひもも緩むというものだ。一回限りの給付金に過剰な期待は抱けない。
求められるのは腰の据わった景気対策である。選挙にらみで政党が妥協しているようでは展望は開けない。
[新潟日報10月30日(木)]
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