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*表題は「毎日新聞」社説紙面から抜粋する
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20081028k0000m070110000c.html
社説:バブル後最安値 政治不況を招いてはいけない
日本列島を覆う閉塞(へいそく)感が一段と強まり、先行きへの不安が広がっている。
底なしのように下げ続ける株式相場は、その不安の表れだ。株価急落を背景に、政府・与党は衆院選挙を年内は見送る方向という。しかし、先送りが解決になるだろうか。むしろ、問題の長期化をもたらすのではないかと懸念する。現状維持では、閉塞感を取り除くことはできない。
週明けの東京株式市場は、大幅続落となり、日経平均株価はバブル崩壊後の最安値をあっさりと割り込んだ。先進7カ国の財務相・中央銀行総裁が、急激な円高に懸念を表明する緊急共同声明を発表し、政府も「緊急市場安定化策」の骨格を発表したが、株式相場を反転させられなかった。
◇一国の対応に限界
市場安定化策には、国による金融機関への予防的資本注入や、銀行が保有する株式の買い取り再開、時価会計の見直しなどが盛り込まれている。一つ一つの内容に問題があるわけではないが、過去のバブル崩壊後の対策をなぞったようなものばかりだ。現在の金融危機と景気悪化は世界規模で進行しており、一国で悪化に歯止めがかけられないのは明らかなのである。
麻生太郎首相は、日曜日の秋葉原の街頭演説で、「日本は世界で最も期待されている国だ」と強調した。確かに欧米に比べて、日本の金融も経済もかなり余裕があった。国内経済を悪化させないための対策をきちんと実施し、さらに世界の金融危機を収束に向かわせるため指導力を発揮する機会はあったはずだ。しかし、果敢に行動してきたと言えるだろうか。
東京市場での株価暴落の背景には、急速に進んだ円高がある。ただ、日本は単なる“被害者”ではない。円高は、超低金利の円を借りて、利回りの高い他通貨建ての投資商品で運用する取引が極端に膨らんだ末、これが逆回転し始めたことによる面が大きい。反動が始まれば一気に円高に振れる危険性は以前から指摘されていた。にもかかわらず、自民党政権は超低金利の長期化を望み、日銀も追従して円高に逆回転するエネルギーがたまるのを許した責任がある。
日本がなすべきことは確かに山ほどある。
麻生首相は、アジア欧州会議(ASEM)出席のため訪れていた中国での会見で、「国内的な政局の話より、どう考えても国際的な役割を優先する必要性を感じた」と語った。衆院の解散・総選挙より、金融危機対応を優先すべきだということだろう。
「選挙をしている場合ではない」との意見が理解できないわけではない。世論調査でも「景気対策か、解散か」と問われれば「景気対策」と答える人が多いのも事実だ。だが、解散を先送りすれば、有効な対策が取られ景気が好転する保証があるだろうか。
毎日新聞はかねて早期に衆院を解散し、総選挙を行うよう主張してきた。小泉内閣から3度も首相が代わったというのに一度も衆院選で国民の信を問うていない。一方、昨夏の参院選の結果、参院は民主党が第1党になるねじれが生じ、首相が政策を実行しようとしても国会が容易に進まない閉塞状況が続いている。
次期衆院選で自民・公明の与党が仮に現在より、数を減らしたとしても過半数を維持すれば、有権者の信を得たことになる。そうなれば「昨夏の参院選での直近の民意」を理由に対決姿勢を打ち出している民主党も国会対応を変えざるを得なくなるだろう。
民主党が過半数を取れば政権は交代する。参院で民主党は単独過半数には至っておらず、他野党の協力を仰ぐ必要があるが、ねじれは基本的に解消する。いずれにしても政治は動く。
早期解散をうながすため、これまで国会審議に協力姿勢を見せてきた民主党は、解散が先送りされれば一転、徹底抗戦に戻すという。そうした政局優先の対応に賛同するわけにはいかないが、現実には、解散を先送りすれば、国会が再び、機能不全に陥る可能性は大きいだろう。
◇「政治空白」とは
私たちは、これこそが、深刻な政治空白と考える。足元の経済情勢が日本の比ではない米国でも、何カ月もの時間を費やして国の将来を託すリーダーを選ぼうとしているのである。
一企業の株価は将来の業績を先取りする形で動く。その企業の集合体である市場全体の相場は、時に過剰反応はあっても、おおむね日本経済の先行きを映す。景気がどんどん悪くなっている最中でも、これから何かが変わる、好転の可能性があると市場が察すれば、株価は反転するものだ。今、日本経済が必要としているのは、単なる株価対策ではなく、何かが大きく変わる期待を生むことではないだろうか。先送りした結果、経済の実態がますます悪化し、今以上に選挙どころではなくなる恐れもある。
「急がば回れ」という。1カ月程度、衆院選の期間に使ったとしても、国民の信を得た政権が、この金融危機状況に対応することが、結果的に「政治不況」を招かない近道だ。
毎日新聞 2008年10月28日 0時15分
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