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2008年11月20日 (木)
麻生政権の致命傷になる補正予算提出先送り
11月20日、日経平均株価が8000円を割り込んだ。10月28日以来の7000円台突入である。株価が下落しているだけではない。日本経済が急激に大不況に移行していることが示唆されている。
NHKの定時ニュースで、当然トップニュースで取り扱われるべき事態である。ところが、NHK午後7時の定時ニュースでは、この経済急変がまったく報道されなかった。自動車産業の雇用削減が報道されたが、NHKは日本経済全体に迫る深刻な景気後退に警鐘を鳴らす株式市場動向をまったく伝えない。
理由は、日本経済がみぞうゆの経済危機に直面している現状を報道すると、それではなぜ麻生政権は景気対策を実行に移すために不可欠な補正予算の早期成立に取り組まないのかに焦点が当たってしまうからだ。
日本経済は極めて深刻な状況に直面している。麻生首相は10月30日に追加景気対策を決定して記者会見を行った。日経平均株価が7000円台に突入した直後だ。
麻生首相は「100年に1度の暴風雨が荒れている。100年に1度の危機と存じます」、「こうした状況の中でなにより大事なことは、生活者の暮らしの不安というものを取り除くことだと確信しております。すなわち国民生活の安全保障であります」と述べた。
そのうえで、「今回の経済対策は、国民の生活の安全保障のための、国民の経済対策です。ポイントは、スピード、迅速にという意味です」と明言した。
10月末と比べて現状は、深刻さがより増していると言わざるを得ない。10月末の株価急落後、世界の株式市場ではいったん株価が反発した。主要国の政策対応により、事態の悪化に歯止めがかかるとの期待が一時的には広がった。
しかし、日本の政策対応は完全に停止してしまった。麻生政権は10月30日に景気対策を決定したまま、完全なサボタージュに移行してしまった。11月14、15日にワシントンで20ヵ国首脳による緊急金融危機サミットが開催されたが、まったく成果をあげることができなかった。
麻生首相は「歴史に残る首脳会議だった」と自画自賛したが、金融市場はその後、株価急落の洗礼を麻生首相に浴びせた。麻生首相は金融危機サミットで、10兆円もの国民資金をIMFに拠出することを勝手に表明したが、国会の同意を得ていない。外貨準備は首相のポケットマネーではない。1ドル=95円で24兆円もの為替評価損を生み出している外貨準備から、さらに10兆円もの資金を新興国支援に流用することを表明してしまった。
日本国憲法第83条に「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」との規定がある。国会の決議を経ていない10兆円の外貨準備流用表明は憲法違反であると思われる。
20ヵ国緊急金融危機サミットでは、各国が財政政策を含む景気対策に取り組むこと、金融市場に対する規制を強化することなどを確認したが、新たな効果的な政策を示すことができなかった。
株価は一時反発したのちに、再び急落している。日本経済の悪化も鮮明になっている。11月17日に発表された2008年7−9月期の実質GDP成長率は2四半期連続のマイナスを記録した。日本経済はつるべ落としで深刻な不況に突入しつつある。
麻生首相は「政局より政策」の大義名分を掲げて、国民に宣言した解散総選挙を先送りした。月刊誌で「私は逃げない」と言い切った総選挙だったが、自民党が惨敗するとの選挙予測が示されたために逃げの一手に転じた。それだけでも姑息な首相のレッテルを貼られてしまうが、「政局より政策」と主張した以上、景気対策を具体化する補正予算を臨時国会に提出しないことが通用するはずがない。
景気対策の内容があまりにお粗末で、国会に提出すると、お粗末な政策の全貌が明らかにされ、支持率をさらに低下させてしまう恐れが高いことから、自民党は補正予算案提出を来年に先送りしようとしている。政治権力に迎合するマスメディアの一部は、必死に麻生政権を擁護しようとしている。
しかし、麻生政権の無責任極まりない対応で被害を受けるのは一般国民である。日経平均株価が8000円を下回ると、メガバンクでも保有株式が評価損を生み出す。地方銀行の自己資本比率は急落し、金融機関の融資姿勢は急激に慎重化する。
2008年度上半期に倒産した企業の負債総額は第2次大戦後2番目の高水準に達している。年末に向けて企業倒産の急増が予想される。11月20日のNHK定時ニュースは自動車メーカーが派遣労働者の大幅削減に踏み切る方針を報道したが、非正規雇用労働者を中心に、真冬の寒空の下に、雇用を切られる国民が激増する可能性が高い。
厚生省元事務次官を狙った卑劣な凶悪事件が発生する一方、麻生首相は常識を欠く軽はずみな発言を繰り返し、メディア報道が日本経済の悪化を十分に伝えていないが、日本経済は極めて深刻な状況に直面している。
病気への対応と同じで、景気悪化に対しては「早期発見早期治療」が、事態を深刻化させない鉄則である。10月末の株価急落局面で景気対策を決定して株価が反発したにもかかわらず、景気対策を具体化せず、悠長に補正予算案の国会提出を来年まで先送りするのでは、経済崩壊は必然である。
麻生政権が補正予算案の国会提出を見送るなら、麻生政権は今後の日本経済悪化の全責任を負わなければならないだろう。政府、政権が全身全霊を注いで国民生活支援に取り組み、それにもかかわらず経済が悪化するなら、政権に責任を負わせることは酷だろう。しかし、国民の負託を受けた政権として、当然実行しなければならない行動を放棄し、結果として国民に苦しみが押し付けられるなら、その不誠実さは徹底的に糾弾されなければならない。
補正予算案提出の来年への先送りを誘導する大島理森国対委員長の行動は、景気後退に苦しむ国民に対してあまりにも不誠実な行動である。鳩山邦夫総務相もテロ特措法と金融機能強化法の参議院採決に応じない民主党を非難する前に、国民の生活困難にしっかり目を向けるべきだ。
麻生首相が発言したように、今回の金融危機は「100年に1度の暴風雨」である可能性が高い。その認識を持ちながら、景気対策をたな晒(ざら)しにして具体化を来年に先送りする神経は尋常(じんじょう)と言い難い。
政策のサボタージュを押し通す結果として、国民生活が破壊したとき、麻生首相の発言権は完全に消滅するだろう。民主党の小沢代表が変則的な手法を用いてまで、補正予算案の臨時国会提出を麻生首相に直談判したのは、今回の不況が国民生活に与える深刻で甚大な影響を真剣に憂慮するからだ。
倒産、失業が急増し、多くの罪なき国民が苦しみに直面している。この苦しみを直視せず、麻生政権が党利党略、政局優先の行動を貫くなら、麻生政権は必ずその報いを受けることになるだろう。
年内に補正予算を成立させ、年末までに国民生活支援の政策が始動する状況を導くことが、国民に責任を持つ政治がとるべき行動だ。麻生首相は11月25日に補正予算の取り扱いを正式に表明する予定だ。「過(あやま)ちては則(すなは)ち改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」だ。方針を変更して補正予算案を今臨時国会に提出することを決定するべきだ。
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