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http://www3.nhk.or.jp/news/k10015492731000.html
11月20日5時22分
来年5月に始まる裁判員制度に参加したい人は、実施まで半年となった今も33%にとどまり、依然として低いことがNHKの世論調査でわかりました。
来年5月に始まる裁判員制度について、NHKは今月、全国の20歳以上のおよそ2700人を対象に電話による世論調査を行い、60%にあたるおよそ1600人から回答を得ました。この中で裁判員制度に参加したいか聞いたところ、「ぜひ参加したい」と答えた人は6%、「参加してもよい」が27%、「できれば参加したくない」が44%、「絶対に参加したくない」が21%で、参加したい人はあわせて33%にとどまり、実施まで半年となった今も、一般の人の参加意欲が依然として低いことがうかがえます。年代別では、20代は参加したい人が54%で、参加したくない人の44%を上回ったものの、年代が上がるほど参加したい人の割合が下がり、60代では28%でした。参加したくない理由としては、「正しい判断ができるか自信がないから」が55%で最も多く、次いで「人を裁く責任を負担に感じるから」が26%、「仕事や家事などで忙しいから」が11%で、忙しさより責任の重さを理由にあげる人が多くなっています。また、裁判員制度を実施するうえで最も必要なことは何かという質問には、「心理的負担を和らげる対策をとる」が39%で最も多く、次いで「仕事を休んだ期間の収入を補償する」が21%、「裁判員を辞退しやすくする」が18%となっています。来年裁判員になる可能性がある候補者には、今月下旬から来月にかけて通知が届く予定です。
■関連記事「岩手日報」
始動する裁判員制度 まだ忌避感が先に立つ
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2008/m11/r1118.htm
最高裁の次期長官に、刑事事件が専門の竹崎博允東京高裁長官が就任する。最高裁判事の中から選任するのが通例だが、今回は異例の14人抜き。来年5月の裁判員制度スタートに向け、最高裁の意気込みをうかがわせる。
裁判員裁判の舞台となる各地裁は今月28日、裁判員候補者に名簿記載通知と調査書を発送。事実上、制度が始動する。盛岡地裁管内では約1800人が該当しそうだが、この段階に至ってなお、国民の間には忌避感が漂う。
森英介法相は、麻生内閣発足直後に「制度の中身に理解が進んでいない」との認識を示した。2004年5月に関係法が制定、公布されてから既に4年半。本年度だけで17億円6000万円の広報予算を投じているのに、効果がないとすれば問題だが、むしろ理解が進むほどに不安が高まっている可能性もある。
最高裁が今年初めに行った意識調査では「参加したい」「参加してもよい」が合わせて15・5%。最高裁は「義務なら参加せざるを得ない」を含めて60%以上が「参加の意向」とするが、この解釈は楽観的だ。憲法に定められた国民の3大義務に「裁判員」はなく、「義務だから」と参加を強要する形は制度の本望ではないだろう。
岩手日報社加盟の日本世論調査会の調査では、逆に「務めたいとは思わない」「あまり務めたいとは思わない」とする消極派が70%以上。「理解」促進への広報強化も、国民の不安の所在を突き詰めた上での取り組みでなければ、時間的にも意味がない。
裁判員裁判の対象は、殺人や強盗傷害、強姦致死傷、身代金目的の誘拐など、刑の最高が死刑、無期懲役、無期禁固に当たる重大事件。「国民の健全な社会常識」を期待する制度が、社会常識が及ばない事件を扱うのだから、そもそも国民に極めて負担の大きい制度なのである。
裁判員候補者になった段階から生じる種々の制約は、大半が制裁規定を伴う。裁判員になれば生涯、守秘義務を負う。仕事の都合や審理過程の精神的負担など、物心両面にわたる不安を押してまで制度を推進する意欲を、多くの国民は持てないでいる。
国民の側だけではない。先ごろ共同通信が行った調査では、全国52弁護士会長のうち18人が問題点や課題を指摘。法律専門家にも懸念が根強いことをうかがわせた。
最高裁司法研修所は、裁判員が参加する一審の判断を尊重するよう控訴審に求める研究報告書を公表した。一審判決が覆る例が増えると、制度の意義にかかわるからだろうが、裁判員への配慮を旨として司法が変わる状況に不安を抱く専門家は少なくない。
現行の刑事裁判のどこが問題で、何を変えたいのか。制度立案の過程で、その認識を国民と共有できたとは言い難く、大多数にとっては天から降ってわいた「義務」に等しい。状況によっては、本格スタートの時期にも超法規的な配慮が必要ではないか。
遠藤泉(2008.11.18)
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