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2008年10月 7日 (火)
国会論戦で表出する麻生政権の問題点
予算委員会での論戦が始まった。「年金」、「資料事前検閲」、「天下り」、「猛毒米流通事件」など、国会で論じなければならない問題が山積している。論戦を通じて麻生政権の問題点が浮き彫りになっている。報道各社は国会論戦を詳細かつ正確に伝える必要があるが、多くのメディアが偏向報道を継続している。
年金データの杜撰(ずさん)な取扱いの問題に対して、国民は怒りと不信の気持ちを強めている。年金データが消滅した「消えた年金問題」に加えて、新たに社会保険庁が組織的に関与して年金データを改ざんした「消された年金問題」が明らかになった。
2007年7月の第21回参院選で安倍晋三首相は
「宙に浮いた年金5000万件は来年の3月までに名寄せして、最後のお一人までしっかりとお支払いします」
と演説した。
参院選で配布された「安倍晋三首相より、国民の皆さまへ」と題したビラは、安倍氏の署名をつけて、
「自民党は責任政党です。出来ることしかお約束いたしません」
「最後のお1人に至るまで、責任を持って年金をお支払いすることをお約束します」
と明記した。
安倍内閣メールマガジン(第31号 2007/05/31)は、
「私の内閣においては、年金の「払い損」は絶対に発生させません。
1億人の年金加入者に対して、導入前に3億件あった番号を整理、統合する作業を始め、導入直後にも2億件が残りました。その後、一つひとつ、統合を進めた結果、今残っているのが5千万件です。これらについて、徹底的にチェックを進め、1年以内に全記録の名寄せを完了させます。」
と記述した。
これらの約束が守られなかったことは言うまでもない。
公約を守らなかったことについて町村信孝官房長官は、昨年12月の記者会見で、「来年3月までにやるのは、5000万件の(記録の)解明をすることだ。来年4月以降も精力的にやっていこうということで、最後の一人、一円まで(払うことを)全部、来年3月までやると言ったわけではない」と釈明した。
町村官房長官は、
「選挙中だから『年度内にすべて』と縮めて言ってしまった」
とも発言した。
また、舛添厚労相は紙台帳とコンピューターデータとの突合問題を「社保庁の後継組織ができる時(10年1月)には解決する決意」と表明していたが、公約実現が困難であることが判明すると、
「表明したのはその方向で取り組むとの「決意」であって「公約」ではない」
と言い逃れた。
「消えた年金問題」を解決するには「紙台帳とコンピューターデータとの突合」を完了しなければならないが、紙台帳のデータは8.5億件ある。10月6日の国会質疑に従えば、これまでのデータ突合のスピードで単純計算すると、データ突合を完了するには25年の時間を要することになる。また、すでにコンピューターに入力されているデータについては、5000万件の問題されるデータのうち、これまでに処理された件数を基準に問題解決の時間を単純計算すると12年の時間を要することになる。
舛添厚労相は10月6日の国会答弁で、「60年間の社保庁の不祥事の山をこつこつこつ明らかにしているんだ。初めから分かっていれば苦労しない」と逆切れし、問題処理についての見通しをまったく示さなかった。厚労相が社会保険庁の責任を負う立場にあることを認識しない発言である。企業が不祥事を起こしたら、組織のトップが最終責任を負うのは当然である。それを「社保庁の不祥事をこつこつ明らかにしている」と発言するのは、自己の問題と位置付けていない考えの表れだ。「社保庁の不祥事」との表現は、「自分に責任のない他人が引き起こした不祥事」であるとの姿勢を示している。
野党が霞が関省庁に求める資料請求について、自民党の国会対策委員会が各省庁に対し、野党要求の資料を野党に提供する前に、自民党の国会対策委員会に資料を提出し、了解を取ることを求めた問題も国会で取り上げられた。公務員は行政部門の所属し、政治的な中立が求められる。議院内閣制の下では立法府における与党が内閣を組織するから、行政府と立法府における与党が強い関係を持つのは当然だが、政治的に中立でなければならない霞が関省庁が、与党からの直接的な指示に従うことは、明らかに違法である。
10月7日の衆議院予算委員会の質疑で、石破農水大臣が自民党による事前検閲が問題であり、問題のある行動に対する謝罪を示したが、自民党による情報隠ぺい、行政官庁に対する違法な介入の実態の一部が明らかにされた。野党の要求を受けて、河村官房長官は与党と省庁の関係、野党やマスコミの省庁への資料請求についての政府統一見解をまとめ、国会に提示することを確約した。
国会審議を通じて、自民党政権のさまざまなひずみ、歪みが明らかになっているが、麻生政権の政策基本姿勢の一端を明確に示したのが「天下り問題」に対するスタンスである。民主党の長妻昭議員は、2007年4月時点で、霞が関省庁からの政府関係機関への「天下り」が26,632人、4696機関に及んでいる事実を明らかにした。これらの「天下り機関」には、1年に12兆6047億円もの国費が投入されている。
「天下り」は「官僚主権構造」、「官僚利権」の象徴である。「天下り」を根絶することが日本の統治システムを刷新する「決め手」になる。自民党政権は国家公務員制度改革を謳(うた)いながら、「天下り」を廃止する姿勢をまったく示していない。
国家公務員法が改正され、「官民人材交流センター」が設立されることになっている。これまで各省庁が斡旋していた天下りを、内閣府に設置するセンターに一元化する構想だが、「天下り」を禁止するのではなく、「天下り」を制度的に確立するものである。センターが設置されると3年以内に各省庁の天下り斡旋は禁止されることになる。
経過期間については、「再就職等監視委員会」が設置され、監視委員会が各省庁の「天下り」斡旋についてのルールを定めることとされている。麻生首相は、監視委員会の委員人事が国会同意人事であり、民主党が賛成せず、監視委員会を発足できないことを理由に、現状の天下りを容認する考えを示した。
長妻議員は霞が関省庁が退職職員の2度目の天下りを斡旋し続けていることも指摘し、追及した。民主党は国家公務員の年功制賃金制度を修正し、国家公務員の終身雇用を保証したうえで、「天下り」の全面禁止を主張している。甘利明行革相は公務員には雇用保険が適用されないため、ハローワークを利用した再就職先探しは認められないとの答弁を示した。民主党は公務員にも労働基本権を認め、雇用保険も適用し、一般国民同様に、再就職を希望する場合にはハローワーク等を活用するべきだとの主張を示した。
長妻議員は麻生首相に対して、各省庁が斡旋している「天下り」の「渡り」の斡旋を即時禁止することを要請したが、麻生首相は拒否した。
麻生政権が官僚天下りを全面擁護する姿勢が明確に示されている。麻生政権は官僚機構を味方につけて総選挙を戦う戦術を採用していると考えられる。「国際評論家小野寺光一の政治経済の真実」主宰者の小野寺光一氏は、民主党が政権奪取するためには、官僚機構と敵対しないことが必要であるとの主張を示されている。
しかし、私は「政権交代」により実現しなければならない目標は「官僚主権構造」の打破であり、「政官業外電=悪徳ペンタゴン=利権互助会の利益を追求する政府」を倒し、「一般国民の幸福実現を追求する政府」することだと考える。この意味で、「天下り」根絶は、総選挙における最重要の争点として掲示するべきだと考える。この問題については「カナダde日本語」の美爾依さんと見解を共有する。「政権交代」実現のために、「小異を残して大同に付く」ことが大切だが、「天下り」問題は本質に関わる問題であり、私の見解を改めて明示しておきたい。
国会論戦の報道姿勢にバラツキが見られ始めている。NHK、日本テレビ、フジテレビの政権迎合姿勢は不変だが、TBSが野党の主張を従来に比べると詳しく紹介し始めた。「機を見るに敏」なみのもんた氏の発言姿勢が急変している。
政権迎合番組の代表はテレビ朝日「TVタックル」と「サンデープロジェクト」だが、10月6日「TVタックル」では、MCの北野たけし氏が計算し尽くした発言を示したことを見落とすことができない。北野氏は「民主党は魅力的な若手が多いが、人気のない代表が最大の問題である」ことと、「蟹工船ブームの共産党に頑張ってもらわなくては」といった趣旨の発言をした。
小沢氏のイメージを悪化させることが、「TVタックル」のメインテーマとされていると考えられる。この主題に沿った発言を、北野氏はタイミングを見計らって行ったのだと考えられる。また、反自民票の増加が見込まれるなかで、反自民票が民主党に流れれば、自民党は一段と厳しい状況に追い込まれる。反自民票が民主党ではなく、共産党に流れることを自民党は希望している。「TVタックル」では「共産党」を大きなテーマとして取り上げたこともあった。北野氏の発言はやはり計算され尽くした「政治的」発言と捉えられる。
他方、同番組に出演している江田氏の発言が激変した。これまでの「自民党寄り」発言から、「民主党寄り」スタンスに激変した。次期総選挙での自民敗北の可能性が高まりつつあることを受けてのスタンス修正と考えられる。同じく「脱藩官僚の会」のメンバーであり、自民党の中川秀直氏と一体化している高橋洋一氏が、懸命に民主党批判を展開していることと好対照を示していた。
フジテレビは10月7日朝の情報番組で、株価急落を理由に総選挙先延ばしを正当化する主張を全面的に展開し、麻生政権の総選挙先送りに対する援護射撃を積極的に買って出ていた。
「年金」、「国会が請求する資料事前検閲」、「天下り」、「猛毒米」などの各問題についての国会論戦を通じて、与野党の基本政策が浮かび上がってくる。有権者は国会論戦を直接、じっくりと吟味して視聴し、偏向報道に惑わされずに、与野党の基本政策を正確に把握する必要がある。正しい情報に基づき、正しく「政権選択」しなければならない。
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