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2008年10月05日
偉大な指導者は現場主義だというポール・ケネディの言葉
ポール・ケネディという英国の歴史学者がいる。かつてベストセラーとなった「大国の興亡」の著者である。
そのポール・ケネディが10月5日の読売新聞「地球を読む」でフランクリン・ルーズベルト、ウィンストン・チャーチルと比べてブッシュ大統領を酷評している。
その趣旨はこうだ。
小児麻痺で窮屈な車椅子に乗るルーズベルトは第二次大戦の末期に信じられないほどの重要な国外旅行を行なった。英国ならびにソ連と交渉し、アイゼンハワーら司令官たちと協議するためだ。カサブランカ、カイロ、テヘラン、ヤルタ・・・その時の写真には、疲れきった彼の様子が如実に現れている。これらの会議に出席するため、ルーズベルトは死の直前、合計3ヶ月近い時間を費やした・・・
チャーチルもまた戦時中に行なった旅行の数という点では際立っている。主要な連合国との会議ばかりでなく、戦闘の現場に繰り返し行きたいと言い張り、英軍と英国の大衆を大喜びさせた・・・ノルマンディーでの戦闘の真っ最中に、葉巻をくわえたチャーチルが、英軍の監視台に立ち、眼下のドイツ軍拠点で砲弾が炸裂するのを眺めている写真が残っている・・・
この偉大な二人の戦時指導者の姿をなぜ思い浮かべたかと言うと、8年間の任期が終わろうとしているもう一人の戦時最高司令官(ブッシュ大統領)の事を考えたからだ。
イラク侵攻に先立つアフガニスタン侵攻が始まったのは2001年、ほぼ7年前である。この間にブッシュ大統領がイラクを訪れた回数と時間を書き出してみる。2003年11月27日に「2時間半」。米兵との謝肉祭夕食会に出席。バクダッド国際空港内の米軍基地からまったく出なかった。2006年6月3日に「5−6時間」。厳重に要塞化されたバクダッドのグリーンゾーンを訪れた。2007年9月3日に「6−7時間」。西部アンバル州の米軍要塞アルアサド空軍基地を訪問した。
つまり、戦闘が行なわれた5年あまりの中で、イラクにいた時間は丸1日も満たない。アフガニスタンを訪問に至っては一回限りである。情勢がかなり安定していた2006年3月1日に、カブールで「5時間」を過ごしただけだ。何の意味があったのか。
これを、一体どう説明すればいいのか。長く混乱した戦争をあおり、何千億ドルもの戦費を要求し、米国民に支持を訴える指導者が、現場でしばし時間を過ごし、現状を見る、それをしない。こんなことがありうるのだろうか・・・
読売新聞の記事でポール・ケネディが言いたい事は、偉大な政治家は現場主義であるという事だ。
そしてハリケーン・カトリーナの直後にせよ、イラクの都市の荒廃した街路にせよ、あるいは9・11同時テロ直後の世界貿易センターの瓦礫にせよ、ブッシュ大統領は災害や挫折の後の現場に近づくのが苦手であり、暗殺をおそれるあまりすべての危険から完全に守られようとした、それをポール・ケネディは、過去の偉大な指導者と比較して疑義を呈しているのだ。
このポール・ケネディの記事を読んだ私の頭によぎったのは小泉元首相の行動である。
5年半もの長きにわたって対米追従と郵政改革を叫んだ。テロとの戦いに協力するといって憲法違反を犯して自衛隊をイラクに派遣した。
しかし、ついにイラクには足を踏み入れなかった。退任した後ただの一度もブッシュ大統領に会おうとしなかった。命を賭けたはずの郵政民営化に至っては、民営化後の郵政会社に足を運んで民営化がうまく行っているのかを見届けようとはしなかった。民営化後の職員を励ます事は一度もなかった。
小泉の言動は、すべていかさまだったということである。
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