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【Asshole Terror内閣の糞たれ自爆テロは続く】中山前国交相の「情報自爆テロ」?〜選挙日程コントロールに振り回されないために【日経BP】
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NBonlineトップ>CSR&環境>伊東 乾の「常識の源流探訪」
中山前国交相の「情報自爆テロ」?
〜選挙日程コントロールに振り回されないために〜
2008年9月30日 火曜日 伊東 乾
政治 中山元国交省 麻生内閣 暴言 オバマ 辞任 マケイン 米国大統領選
中山成彬・前国土交通相の「暴言」問題が世間を騒がせています。着任5日目での辞任は竹下登改造内閣の長谷川峻法相に次いで歴代2番の短さとのこと。後任には古賀派の金子一義・元行革相が就任し、マスコミでは「麻生内閣には明らかにマイナス」という論調が大勢を占めています。
が、本当にそればかりでしょうか?
もちろん間違いないところで、国土交通行政という観点からは明らかにマイナスでしょう。省内からも「なんだったんだ…」という声が上がっているようですし、結局1週間ほど、完全に役所は空転せざるを得ない。確かに行政の観点からは褒められたことは一つもありません。
でもパワーゲームのポリティクスという観点からはどうでしょう? ちょっとうがった見方かもしれませんが、一寸先は闇の政治の世界のこと、必ずしも今回のケース、賽の目が吉と出るか凶と出るか、分からないような気がするのです。
● 情報自爆テロの可能性
中山前国交相が成田空港問題に関連して「ごね得」と発言したり、「日本は単一民族」どと発言した当初、それがどの程度意図的だったか、あるいは本当に失言だったのかは、よくわかりません。所詮は選挙管理内閣、という軽口だった可能性もあるでしょう。
しかし、与党側からすら「かばいきれない」という声が上がるにつれ、中山氏の発言は明確に意図を帯びてきます。
27日、宮崎市で後援者から、選挙前のことだからくれぐれも失言に注意を、と言われた直後に「ガンの日教組をぶっ潰す」などと発言したのは、明らかに故意によるものと見えました。実際28日の記者会見でも「確信的にあえて申し上げた」と言い、29日にはテレビ出演して「持論」を展開し続けています。政治家が意図する時、自分のマイナスになることは決してしません。報道は市民の声として「あんな人物をどうして大臣にした?」と中山氏の不見識を責める意見を多数報道していますが、これを情報=インテリジェンスの観点から見るならば、それだけではない、もっと別の計算が途中から働いている可能性が考えられます。
テレビで中山氏は、以前日教組の問題をいくら刺激的に発言しても、報じられることがなかった、として
「いずれこういう番組に出してもらえることになるのではと思っていた。よく呼んでくれた。自分の信条を聞いてもらうために神様が導いてくれたんではないかと思う」
と話し、すでに誰も手がつけられない状態になっているようです。
報道では「反省の色なし」といった表現ばかり目にしますが、あえて言うなら、中山前国交相は「情報の自爆テロ」を決行しているわけで、実際にメディアをジャックすることには成功したわけだし、実際その効果はてきめんに上がっている可能性があります。
「麻生支持層」が多いとされるネットワーク上では「2チャンネル」などに圧倒的な「中山支持」の声も出ている。
もし政治不信層の「潜在ネット右翼」数百万票を引っ張れたなら、この特攻、たいした成果になっているのかもしれません。
● メディアジャックの第二幕?
9月22日の自民党総裁選という「メディアジャック」は、後半になると多くの国民にシラけムードで受け止められていましたが、中山氏の発言は大変にホットな反応を呼び起こしました。なんであれ耳目が集まってしまった。ここで与党側に立って広告代理店的に思考するなら、これを「メディアジャックの第二幕」と位置づけて、すべての向かい風を追い風に変えるよう、次の一手を考えるのが定石です。
逆に野党側はどうか、と見るなら民主党の鳩山由紀夫幹事長は26日午前の時点で「撤回して済むものじゃない。野党共闘の中で首相に対し罷免要求する」と強調し、社民党の福島瑞穂党首も「とんでもない人が閣僚になった。首相の任命責任も重い」と述べています。野党としては確かにここは攻めどころでしょう。でも、ここを攻めることにばかり気を取られていてよいのでしょうか? 将棋でも囲碁でも、誘う手には裏があるもの。ここで野党がヒートアップしすぎることは、与党も当然織り込み済みでしょう。
注意しなければならないのは総選挙日程にほかなりません。
先週までの状況では、内外の経済不安を念頭に、10月6日からの補正予算審議は不可避、と見られていたわけですが、今回の「自爆」でそうした空気がふっ飛ばされてしまった可能性があります。
だとすれば、早めの選挙日程を目論む勢力には、大きな追い風になっている。中山発言自体は補正予算の内容と一切無関係なものです。
それが、予算成立という本来の至上命題を放り投げて「冒頭解散」にこぎつける起爆剤として機能するなら(麻生政権としてはシナリオ外だったかもしれませんが)この自爆攻撃はかなりなインパクトを持ったことになります。
● 「御名御璽」の選挙対策所信表明
そもそも、当初見込まれていたのは10月総選挙でした。ところが米国金融不安など諸般の状況から11月にずれ込む可能性が濃厚になってきた。中山発言以前、最も有力な日程として「10月21日公示、11月2日投開票」が挙げられて、臨時国会で景気対策の補正予算成立を優先したい麻生太郎首相の意向を反映するもの、とされていましたが、景気対策など後手に回しても早期解散選挙がポリティクス上有利と考える人があれば、中山爆弾炸裂は大変上首尾だった可能性があります。
ちなみにこの11月2日という日程は、米国大統領選挙の11月4日とあまりに近すぎることを自民党側は懸念していました。
米国の民主党と日本の民主党、名前が重なっているだけで直接の政策関係などはまったく存在しないけれど、もしオバマ候補が勝利すれば、「チェンジムード」に流されて、国民の大半を占める無党派層が民主党に流れるのは目に見えています。
中山発言後、与党内では
* 予算委員会での野党側の厳しい追及を避けるために、各党の代表質問が終了する10月3日の衆院解散を求める意見
と逆に
* こんな状況ではとても選挙は戦えない、まだ任期は1年あるのだから、全面的に体勢を建て直してからの選挙を望む意見
の双方が上がっています。公明党はそうそうに11月2日選挙で動いているようですが、自民党内には動揺が見られます。
これはあり得ないことですが、臨時国会が中途半端に推移して、もし「10月28日公示、11月9日投開票」などという日程を組んだとしましょう。さらに米国でオバマ民主党大統領など成立した日には、自民党の大敗と政権喪失は火を見るより明らかになる。
もし議事を引き伸ばすのであれば、むしろ民主党に「頑張ってもらって」、米国大統領選挙の勝敗も見え、十分に自民有利な状況に持ち込んでから総選挙に打って出たいことになるかもしれません。
ここで重要なのは、どちらの観点から見ても、中山発言は一定の役割を果たすコマになっている事実です。
目の前にあるものを、どうやって権謀術数の上で有利に読み替えて使い倒すか、それがリアル・ポリティクスというものでしょう。そしてある時期以後、中山氏は明らかに、わざとやっている。長年望んでも出してもらえなかった、テレビメディアにも呼んでもらい「神様」など引き合いに出しながら、全国区で「信念を貫く」とぶち上げ続けています。次の選挙に備えるところにもブレはありません。
野党側は麻生氏の任命責任を問うと言うけれど、麻生氏自身は28日の時点で「こころからお詫びする」とテレビではやたらに神妙、中山発言はネット右翼に面白がられる始末で、決してマイナス要因ばかりではないかも知れません。
さらに、中山氏が「神様」などと発言した29日、麻生氏も所信表明演説を「かしこくも御名御璽をいただき…」という「麻生語」で始めるロールプレイングを行っています。
首相周辺は「秘書官が手の入れようのない『文学的な趣味』」などと語っているようですが、「かしこくも」の一言だって、よくよく検討すれば憲法問題にかかわりかねない、際どい表現である可能性が高い。そういう「スパイス」を至る所にちりばめながら、麻生政権は普段投票所に行かない人々の関心を、微妙にひきつけ続けています。
この「御名御璽」所信はさらに、前代未聞の「民主党への質問だらけ」の「選挙対策用」所信表明になっている。
攻撃は最大の防御という言葉もありますが、政権担当者というよりは野党のような舌鋒と「御名御璽」がセットになっているのは、中山氏が「神様」に後押しされて日教組を攻撃しているのに近いものが感ぜられます。
● 同じ前提で正反対の結論を導くインテリジェンス
何であれ、同じ「中山発言」が、景気対策すらふっとばす「早期解散の理由」にもなれば、解散時期を遅らせる言い訳にも使える。
畏友・佐藤優は「同じ前提から正反対の結論を引き出せるのが神学とインテリジェンス」と述べていますが、「中山発言という出来事」を、その時々の風向きを見ながら選挙日程をコントロールする、国民にインパクトの強い「情報」として使えることが重要でしょう。
本当に国民に見られたくない争点がどこかに消えてしまいますから、もしかすると「中山暴言爆弾」はどこかでは金鵄勲章モノなのかもしれません。
● 「安全な爆弾」による自爆?
当初の「ごね得」発言などは偶然かもしれませんが、26日以後の中山前国交相は、一部の議論(日教組)関連で、あえて「傷口を広げる」ような発言を繰り返し、ネットなどでは「親父の不見識」などと扱き下ろされています。しかし、すでに文相も2年ほど務めている彼は、そんなに甘口な人物なのでしょうか?
中山氏はラサール高校―東京大学法学部―大蔵省東海財務局理財部長などを経て大蔵大臣官房企画官まで上ってから政界入りした経歴を持っています。
さらに、大蔵省の同期で3つ年上の姉さん女房、中山恭子参議院議員と、夫婦そろって「超高級官僚→閣僚」という中山氏です。多くの報道は「失言」といいますが、いよいよもって確信犯でロールプレイをしていると考えたほうが、彼のパフォーマンスは読み解きやすいのではないでしょうか?
麻生氏自身が「長年官僚の経験を持つ人の発言としては通常考えられない」と言っているように、通常では考えられないことは「あえて」やっている可能性が高い。そう冷静に読むほうが、判断を誤らないのではないでしょうか。
夫婦そろって大蔵官僚時代から、ありとあらゆる腹芸も知っているはずの中山氏です。必要とあれば、政治家の前で土下座もするというのが腰の据わった官僚というもの。不惑近くまで大蔵省の裏も表も見、自分が政界転出したあと妻は大蔵省初の女性課長、女性局長を経て大臣官房参事官兼大臣官房審議官、というのが、中山夫妻の現実の姿です。
当選6回、65歳にもなる成彬氏、仮に失言癖があるとしても、一度発してしまった自分の言葉を、あとからどのように使ってゆくかは、すべて計算づくと考えるほうが賢明でしょう。
実際、金子一義氏が29日午前、皇居での認証式を済ませて国交相に就任するのと同時に、麻生首相は中山恭子氏に「首相補佐官(拉致問題担当)」に辞令を交付しています。安倍、福田内閣で拉致問題相だった恭子氏は新政権発足に際して退任していたが、「拉致被害者家族の信頼が厚いため」補佐官に復帰したものです。
理屈を厳密に立てれば、夫婦とはいえ両議員は別人格、ということになるでしょう。しかしそれにしてもこのタイミングです。むしろ紐帯の太さを印象付けられた人も少なくないのではないでしょうか?
さて、ここまで出来試合の中で、ダンナのほうの中山成彬議員を
「あんな人物を」「愚かだ」「大臣どころか議員失格」などと一般受けしそうな文句で攻撃しても、本当の狙いが見えなくなるだけで、建設的だとはまったく思えません。
28日「辞任の決意をしたのはいつ?」との記者の問いには答えを淀ませながら、一転して日教組批判となると、中山氏は声が一段高くなって「持論」を繰り返します。
この「持論」、いまや辞めると決まった国交省関連には無関係で、現実の政治日程とも関連が薄く、かつ野党が効果的に騒いでくれる「安全な爆弾」でもあります。
「肉弾三勇士」ならぬ「煙幕爆弾」を持って擬似特攻でメディアの前線に躍り出た、というのが、中山氏の行動を一番冷静に見たとき浮かび上がってくる実像ではないでしょうか? 情報メディア上に炊かれた「煙幕」にごまかされるべきではありません。
閣僚が2人にとどまった町村派からの「自爆テロ」という観測もあるようで、実際、後任も古賀派の金子氏に持って行かれました。が、なににせよ中山氏に計算があるのは間違いありません。(もっともその計算が、彼個人の今後の政治生命に有利 に働くかどうかはわかりませんが)。
ちなみにこの「安全な爆弾」の核弾頭「日教組が強いと学力が低い」について、大阪府の橋下徹知事が「なかなか本質を突いている」と擁護の発言をしています。メディアを意識的に利用し、財政再建を旗印に当選した地方公共団体の長と、「神様」のおかげでメディアで「持論」を展開する議員、そして「景気浮揚が一番」を掲げる麻生内閣のねじれた関係も微妙に気にかかるところです。
● 米大統領選でのスタンドプレーとハズシ
ここで米国に目を転じると、最末期のブッシュJr.大統領が24日にテレビ演説で「市場が機能不全に陥っている」と発言し、翌25日ワシントン・ミューチュアルが米国史上、過去最大規模で破綻しています。
同日オバマ、マケイン両候補をホワイトハウスに招き金融安定化策への協力を求めますが、融和的に振る舞うオバマ氏に対してマケイン氏は独自の救済策を振り回すスタンドプレーに出ました。揚げ句26日のテレビ討論会への欠席を通告したものの、世論は冷たく、オバマ候補からすら「大統領選を安定化策の交渉に持ち込むべきでない」とクギを刺されてしまった。狙いは完全に「ハズレ」となり、結局翌日のテレビ討論会に出てくることになったのはご案内の通りです。
このコラム、元来の予定では米大統領選のテレビ討論会に即して、米国の「外交政策」が実は国内の「景気浮揚策」にもなっているあたりからお話しする予定でした。が、そこに飛び込んできた中山氏の一件。ここで、米国でのマケイン氏の振る舞いと、日本の中山氏の振る舞いを直接比較するのは乱暴ですが、なんらかの計算でわざわざ傷口を大きくするような行動に出、狙いが当たったり外れたりする、というあたりでは、通じるものがあるかもしれません。
● 情報テロに撹乱されない有権者の見識を
話をもとに戻しましょう。「不慣れ」な国土交通行政、と本人も言っているようですが、今回のことで中山氏が失うものは今のところ限られています。
それどころか、開き直ったことでこれからの選挙戦、「右派の論客でリーダー」という役回りを、確実に手にすることが出来、今後選挙にかけての時期、「あの中山氏が…」と報道に取り上げられる頻度も確実に上がるでしょう。
彼としては一貫して「毅然としたパフォーマンス」を続けることが肝要なはずです。
そして選挙にさえ勝てば「ミソギ」が成立しますから、勝てば官軍ということになる。官僚政治家らしく自民党内からの反発などはどうにでもなると踏んでいるのかもしれません。
物事がどちらに転がるかはわかりませんが、中山氏が「神様」に感謝しながら、意図的に「持論」をメディア上で増幅させている事実は、もっと冷静に捉えたほうがよいものです。
そもそも、「一大臣の失言」という現象は、金融不安などグローバルな経済対策などとは一切無関係の「コップの中の嵐」で、それが政治日程に過大な影響を及ぼし、日本の舵取りを誤るようなことになっては、元も子もありません。
わざと発言するようになった中山氏の一言一句は出来るだけ間引いて、目下喫緊の課題に政府が正しく対処できることが本来もっとも重要なはずです。
「こどもの学力低下と日教組」に関する中山氏の「持論」は別に論じる必要があるかもしれませんが、少なくとも景気浮揚を考える上で主要な主題でないことだけはハッキリしています。そこを見間違えてはいけません。野党もピントの外れた攻撃に終始すれば、物事の要諦を見失うでしょう。
オバマ氏の「大統領選を安定化策の交渉に持ち込むべきでない」という表現になぞらえるなら「総選挙の計算を補正予算向けの交渉に持ち込むべきでない」はずです。
が、実際にこの国では政策日程をえんえんストップさせたまま、選挙向けにポリティクスの駆け引きに終始することが「政治」と称してまかり通っている。各種評論家もそのレベルで物事を捉えるにとどまるケースが多く、国民の過半数は一貫してシラけているという、日本のもっとも重篤な病を見ないわけには行きません。
前回「無党派層」がメディアで大きく揺さぶられる衆愚政治状況に触れましたが、民主主義における「民意」とは、その目の高さ、リテラシーの堅実さによってのみ支えられるもの。
選挙で問われるはずの「民意」が、メディア陽動で乱高下している現実は、過不足なくすでに「末期症状」を呈しているといえるものです。
「情報」ないし「広告代理店的」な観点で見るとき、私たち有権者が、濫発される撹乱情報に振り回されないのが、この国にとって一番大切だと思います。
(つづく)
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