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2008年9月29日 (月)
敵前逃亡解散と偏向「NHKスペシャル」
麻生政権は敵前逃亡解散へ。NHKは偏向報道強化で政権交代阻止に全力投球。麻生政権は国会での論戦を恐れて、衆議院解散に逃げ込む構えを強めている。
日本経済の悪化が加速し、国民経済を守るための補正予算早期成立は焦眉の急を要する。8月29日に緊急経済対策を発表した自公政権が、臨時国会での補正予算成立に全力を尽くすべきことは当然だ。
民主党、社会民主党、国民新党の野党三党は、衆参両院での予算員会審議を、期間を限定して実施し、補正予算案の決議日程をあらかじめ確定する提案を示している。野党は補正予算案そのものに賛成できないかもしれないが、国民経済の疲弊に配慮し、政府提案の補正予算が国会で成立する道筋を確保することに協力する姿勢を示している。
野党はいわゆる「話し合い解散」を提案している。麻生政権が野党提案を拒否して、補正予算を成立させぬまま、衆議院を解散するなら、「国民生活を無視した党利党略に基づく解散」の批判が一気に強まることは間違いない。
自民党は過去1年間の国会審議について、「野党の反対で重要な事項を決定できない異常な状態が続いている」との、民主党を誹謗中傷するプロパガンダ、デマゴギーの流布に努めている。これまでも指摘してきたように、野党が与党と異なる主張を展開するのは当然だ。主張が同一なら、野党として存在する必要はない。
野党は参議院で過半数の議席を確保している。衆議院では自公が与党だが、参議院では民主、社民、国民新党が与党なのだ。参議院の野党多数議席は国民が選挙を通じて付与したもので、ゆるぎない正当性を備えている。
「衆参ねじれ」の下での国会では、与党が野党の主張を尊重して審議を進めなければ、意思決定できないのは当たり前だ。与党が野党の主張にまったく耳を貸さない、傍若無人の対応を示しながら、重要決定ができない責任を野党に押し付けるのは、誠に「かたはらいたし」である。
自公政権の支配下にあるメディアが、客観的に見て当たり前の与党批判を展開しないから、自公政権の詭弁がまかり通ってしまう。メディアの堕落は目を覆うばかりだ。
解散総選挙で国民の審判を仰ぐなら、限られた日程であっても、可能な限り国会審議を尽くして、与野党直接対決の論戦を国民の前に示したうえで、選挙を行うことを考えるべきだ。国会での論戦を避けるために、予算委員会審議を行わないまま、衆議院を解散するのは、麻生政権によほど「やましいいこと」があるのだと判断されて、反論できないだろう。
次期総選挙は日本の命運を分ける重大な選挙だ。重大な選挙であれば、なおさら、選挙前に国会論戦を国民の前に示すべきだ。判断するための十分な情報提供に政党が務めるのは当然の責務だ。個人がマイホームを購入する時、一生に一度の買い物だから、物件についての十分な説明を業社に求める。業者が詳細の説明を省こうと画策して、とにかく契約書を交わすことだけを誘導しようとする場合、この業者はまず間違いなく悪徳業者だ。
自民党はなぜ、正々堂々と選挙を戦わないのか。野党の建設的な「話し合い解散」の提案に難癖をつけて、国会論戦を回避しようとする姿は、姑息(こそく)以外の何者でもない。「勝っても負けても威風堂々」の姿勢を示さなければ、国民の不信感はますます強まるに違いない。
米国では11月4日に大統領選挙が実施される。民主党のオバマ候補が当選する可能性が高い。8年間2期続いた共和党政権からの「CHANGE」を米国の国民が求める傾向を強めている。オバマ氏が当選すれば、米国で史上初めての黒人大統領が誕生することになる。
悪政に苦しむ国民は当然、「CHANGE」を求める。自公政権は米国大統領選挙で、民主党が勝利する可能性が高まっていることから、11月4日以後の総選挙日程設定を嫌っているのだと考える。与党の焦燥ぶりが際立ってきている。
「決戦の総選挙」が目前に迫るなか、NHKは9月28日夜、NHKスペシャル「決戦前夜・麻生VS小沢」を放映した。NHKの偏向報道ぶりには目に余るものがあるが、当番組も例外ではなかった。NHKは正式名称を「日本偏向協会」に変更するべきだ。
9時から9時50分の番組中の構成はおよそ以下の通りだった。
冒頭5分 前振り・全体解説
9:06−9:15 自民党総裁選
民主党批判演説が織り込まれる
9:15−9:20 民主党に焦点
政策提案の財源が不明確だとの批判
9:20−9:23 その他政党
各党代表コメント
9:23−9:32 民主党財源問題
焦点の都市部の民主党批判
9:33−9:40 小泉改革
小泉改革と麻生政権路線の相違
9:40−9:50 総括
民主党工程表検討など紹介
「決戦の総選挙」の争点を「中立・公正の視点」から「公平」に示さなければならない番組が、全体を「民主党が提示する政策の財源の不確実性」だけに焦点を合わせて編成されていた。「偏向報道」そのものだ。
民主党は、「天下り」の根絶を政権公約に明示している。民主党の小沢代表は財源問題について、「一般会計と特別会計の純支出合計212兆円」の約一割にあたる22兆円を段階的に主要政策の実行財源に組み替えてゆくことをすでに表明している。
「天下り」機関への政府資金投入だけでも年間12.6兆円に達しており、「政府の無駄」を抜本的に排除することによって、財源を捻出することは不可能でない。民主党は財源確保の具体的方法を順次示すとしている。与野党の政策を点検するひとつの論点ではあるが、総選挙の重要争点がここにだけあるわけではない。
総選挙の争点は、
@「市場原理主義」経済政策運営の是非
A「天下りなどの官僚利権」温存の是非
B「対米隷属外交」の是非
の三つである。
@「「市場原理主義」経済政策運営の是非」が、小泉政権発足から7年半経過した日本の、最大の政治問題である。「非正規雇用」、「働く貧困層」、「高齢者や障害者に対する社会保障の切り捨て」、「生活保護圧縮」、「大企業の繁栄と中小企業の疲弊」、「格差拡大」、「地方経済の停滞」などの諸問題は、「市場原理主義」に沿った経済政策運営がもたらした「ひずみ・歪み」である。
総選挙の第一の争点が、「「市場原理主義」経済政策運営の是非」にあることは疑いようがない。
政策財源問題を論じる際に、A「「天下りなどの官僚利権」温存の是非」を論じないのは、不自然極まりない。民主党提案の最大の重点は、「官僚利権の根絶」にあるのだから、自民党が「官僚利権」に対して、どのような姿勢を示しているのかを対比すれば、民主党が強調する財源確保策の信頼度が浮かび上がってくる。
外交における、対米隷属、対米追従の是非も重要な論点だ。米国のイラク攻撃に対する評価が問題を論じる原点になる。「力の強い米国だから、米国の不正義を問わない」のか、「たとえ米国の力が強くとも、米国の不正義を正そうとする」のかが問われる。
総選挙で苦戦を強いられる自民党は、民主党提案の政策が「十分に明確な財源に裏打ちされていないこと」に重点攻撃対象を絞っている。また、イメージ誘導戦術として、民主党が小沢一郎代表を無投票三選したことを捉え、「小沢氏の独裁イメージ」というデマゴギーを有権者に植え付けようとしている。
9月28日「NHKスペシャル」は、自民党の選挙戦術に沿って制作されたものであると考えられる。上述した総選挙の重要争点がほとんど取り上げられずに、民主党政策の財源問題だけが「クローズアップ」されていた。この問題は「クローズアップ現代」で、さらに「クローズアップ」されるかも知れない。
使われる映像、写真にも注意を払う必要がある。小沢氏のインタビューでは、カメラが小沢氏を下方から映し出していた。ライトアップの加減を含めて、「こわもて」のイメージを作り出す映像手法だ。下から撮影すると被写体の映像は、必ず「上から目線」になる。
パネル写真で使われた小泉元首相の写真は、人相の良くないものが選ばれている。麻生氏のイメージを相対的に浮上させるには、小泉氏のイメージを低下させる必要があるのだ。
私の視点が「偏っている」と感じられる人がいるかも知れないが、映像演出の専門家に尋ねれば、映像から判断される番組制作者の演出意図を正確に答えてくれることと思う。上述の評価は客観的に裏付けられると思う。
政権交代が実現する場合には、NHKの「解体的見直し」が必須である。「NHK政治部」が突出して「政治的」に変質している。「政治部」の意味は「NHKの政治部門」の意味なのかも知れない。
「決戦の総選挙」に際して、NHKが「日本偏向協会」であることは極めてゆゆしき事態だ。草の根から「メディアの偏向」の実態を訴えて、「真実の情報」を伝達してゆかなければならない。
麻生政権が敵前逃亡の解散総選挙に打って出ようとも、NHKが「偏向報道」を続けようとも、「総選挙」で「政権交代」を実現しなければならない。「政権交代」を実現しなければ、日本の「CHANGE」は始まらないのだから。
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